「真夜中のパン屋さん」シリーズ、しみじみと心に沁みます。

『真夜中のパン屋さん』シリーズ、大沼紀子著とは、どんな本?!
読もうかどうしようか悩んでいたところ、読む機会がありシリーズぶっ通して読みました。
いやいや、面白い、ものすごく良い、しみじみと泣けるし・・・・。読ませるシリーズです。
『真夜中のパン屋さん 午前零時のレシピ』で始まるのは、真夜中だけ営業する男二人のパン屋。このパン屋のパンは異常なまでのおいしさで、常連さんが結構いるらしい。
そこへ、女子高生が訪ねてきた。
この少女、このパン屋のオーナー・暮林の妻の腹違いの妹らしい・・・・。
少女は母から置き去りにされ、手紙を持たされ、パン屋を訪ねて行くように言われたらしい。
当の暮林はは何の疑いもせずに、この少女を居候させることに・・・。
ここからパン屋のオーナー・暮林と、パン職人・弘基、そして居候の少女・希美のパン屋さん生活がスタートすることに。
お店がつぶれちゃった、ニューハーフのキレイなお姉さん、怪しい行動の小学生、覗きが趣味で引きこもりの脚本家などなど、心に少し闇を抱えた人たちが小さな事件を起こしたり、巻き込まれたり・・・。
怪しい小学生・こだま君は、母親にネグレクトされている。希美もそうやって母親から置き去りにされた過去(いまもだけど)があり、他人事とは思えない。
何とか助けてやりたいと、暮林、弘基も加わり、こだまを守ろうと奔走する。
引きこもりの脚本家は以外にも役立ってくれて、とてもいいやつ。
『真夜中のパン屋さん 午前零時のレシピ』
『真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒』
『真夜中のパン屋さん 午前2時の転校生』
真夜中のパン屋に集う人たちは、暮林をはじめ、弘基もみんなそれぞれに悩みや、苦しみを抱えて生きている。
しかし、絶望してはいない。自分たちができることをして、皆の心を癒している。
飄々として、とても優しい暮林、ちょっとやんちゃで短気なパン職人・弘基。ひねくれキャラだけど可愛い希美。
暮林がとてもいいキャラで、このシリーズの要。どんなにつらいことが描いてあっても、この暮林で癒される。
また弘基と、ひねくれものの希美との掛け合いがコミカルでテンポが良い。
さらに、その都度登場するパンがそんな人たちのおなかも満たし、心を満たす。
ほんとにおいしそうなんです!このシリーズを読むと、めちゃめちゃパンが食べたくなるんです!
家の近所にパン屋があるんですが、とうとうクロワッサンを買いに行きました。
『真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒』は、弘基の元カノが結婚詐欺を繰り返す女性として登場。いかに彼女を救うのか・・・?
そして『真夜中のパン屋さん 午前2時の転校生』は、希美のクラスに、超へんてこりんな転校生がやってくる。席が隣になった希美になにかとちょっかいを出してくる。
なんとなく友達になりかけていたのに、この転校生、実はとんでもないやつだった!?・・・・。
巻が重なるごとにキャラクターに愛着がわきます。心にしみじみと染み渡る、ほんとにハートフルな作品たちです。
『真夜中のパン屋さん 午前零時のレシピ』
『真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒』
『真夜中のパン屋さん 午前2時の転校生』
著者: 大沼紀子
出版社:ポプラ社
価格:¥620 1巻(税別)
価格:¥640 2・3巻(税別)