藤木稟さんのデビュー作「陀吉尼の紡ぐ糸」が角川ホラー文庫で登場です。

『バチカン奇跡調査官』シリーズの藤木稟さんのデビュー作が角川ホラー文庫で発売になりました。『探偵・朱雀十五の事件簿 陀吉尼の紡ぐ糸』です。
表紙のイラストがちょっと恐い・・・。
「バチカン」シリーズの原点ともいえる作品です。

舞台は昭和初期。日清・日露で大勝した日本が、中国大陸に目を向け始め、陸軍の発言力が増した頃の物語。
神隠しをテーマにした複雑怪奇な人間模様、そこで繰り広げられる男女の恋情。軍の思惑もからんだ殺人事件・・・。
神隠しの因縁まつわる「触れずの銀杏の木」の下で発見された男の死体。
しかしその直後、死体は消え去ってしまう。今度も神隠しなのか・・・?
一方、気の弱い新聞記者の柏木は、吉原担当の記者として、吉原の自衛組織の頭を務める、盲目の美青年・朱雀十五に出会う。
朱雀は元検事。そして今は吉原御用達の弁護士として、吉原を守っている。
キレすぎる故に、凡庸な人たちをコケにして楽しむ、ちょっとサディスティックな性格の持ち主。
気の弱い柏木を放っておけず、ついついいじわるに手を差し伸べてしまう・・・・。
このコンビとても良い感じ。
神隠しから次々と起こる不可解な事件を、朱雀十五はその怜悧な頭脳で解き明かしていく。

設定された、時代背景の詳細さ、神隠し伝説、宗教など、著者の博学ぶりも伺える、バチカンファンなら絶対にはまる、藤木ワールドが堪能できる、ホラーミステリーの傑作です。
第2弾『ハーメルンに哭く笛』も発売中です。

『陀吉尼の紡ぐ糸 探偵・朱雀十五の事件簿1』
著者:藤木稟
出版社:角川書店(角川ホラー文庫)
価格:¥743(税別)