ゴシックロマン、サスペンス、ミステリーの傑作『レベッカ』

海外のミステリー小説を読むきっかけとなった作品が、高校の時に読んで衝撃を受けた、ダフネ・デュ・モーリア著「レベッカ」です。
あまりのインパクトに、ストーリーの細かなデイティールまで覚えている、忘れられない作品。

 

孤独な主人公・「私」は、ある夏の日、大富豪のマキシムという男性と出逢う。
マキシムは海難事故で前妻を失い、さびしそうな影を背負っていた。
やがて二人は恋におち、「私」は後妻に迎えられた。
マキシムの屋敷・マンダレーは、中世に建てられたお城のような邸宅だった。その荘厳さに圧倒された「私」。
しかも、その邸宅はマキシムの美貌の前妻「レベッカ」の存在感が色濃く残っていた。
レベッカを慕う家政婦頭は「私」に対し、常に敵意をむき出しにした。
「私」はレベッカの存在感に圧迫され、不安とレベッカに対する強烈な嫉妬心に苛まれるようになる。
ある日マキシムは、マンダレーで豪華な仮面部舞踏会を開く。
その時家政婦頭に着せられたドレスがマキシムの怒りを買い、二人の関係に亀裂が・・。
それは家政婦頭の「私」に仕掛けた罠だった。
さらにその翌日、海底から発見されたレベッカのヨット。
そこから恐ろしい秘密が次々と明らかになっていく。

幸福に見えた結婚、しかしレベッカの影におびえる日々。ひたひたと忍び寄る不気味な予感と恐怖・・。そしてクライマックスからの怒涛の展開・・・・。
しかしそれに怯むことなく、愛に生きようとするヒロインの強さ。

ゴシック、サスペンス、ミステリー、さらに愛に生きようとするヒロインの美しさ!現代に通じる、ミステリー小説の面白さの全てが描かれた、最高傑作。

この傑作をヒッチコック監督が映画にした。ジョーン・フォンテイン、ローレンス・オリビエが主演のサスペンス映画。ヒッチコックの手でこの作品はさらに素晴らしくなった。映画は名作です。

『レベッカ 上下』
著者: ダフネ・デュ・モーリア/茅野美ど里訳
出版社:新潮社
価格:上巻¥710 下巻¥630(税別)