北欧の警察小説『国家刑事警察特別捜査班』シリーズが渋くて良い!

ここのところ、ちょっと海外の警察小説にはまっています。
しかも北欧の警察小説シリーズが面白いんです。
前回書きました、「特捜部Q」シリーズから始まり、今回はスウェーデンの作家、アルネ・ダールが描いた『靄の旋律 国家刑事警察 特別捜査班』にすっかり魅了されてしまいました。

スウェーデンの所轄署に勤める、ポール・イエルム警部補は、怪我を追いながらも、人質立てこもり事件を解決し、一躍ヒーローに!
職務規定違反で内部調査を受けていた、ポールはさらに注目される羽目になるが・・・・。

その頃、スウェーデンでは、実業界の大物が次々に処刑されていた。
一刻も早く事件を解決したい警察。上層部は急遽、特別捜査班を編成。
ポールはその特捜班に呼ばれることとなる。
特捜班の面々は個性的だが、超優秀な刑事ばかり。この特捜班は、事件解決のためには管轄も命令系統も越えることが出来る。しかしやはり多少の軋轢も生む。
それぞれに事情を抱えた6人の精鋭たちの精力的かつ地道な捜査が始まった・・・。

時代は1990年代後半。スウェーデンもバブル景気のあと国内の景気がいっきに落ち込んだ頃。
なぜ実業界の大物ばかりが狙われたのか・・・?その背景がしっかりと描かれている。

さらに6人の特捜班のメンバーも非常に魅力的だ。
アメリカの刑事みたいな男・グンナリ・ニーベリ、スマートでダンディな刑事・アルト・セーデシュテット、ちょっと斜に構えた、ヴィゴ・ノーランデル刑事。ラテンの血が流れる、ホルヘ・チャベス、紅一点、美貌の女性刑事・シェスティン・ホルム、そして主人公・ポール・イエルム。
特にポールのプライベートな苦しみは、刑事を生業とする男性の、世界共通の悩みと苦しみ・・・。
このチームをまとめるのは、思慮深いが、いざチームの危機となれば猪突猛進する、ヤン=オーロフ・フルティーン警部。理想の上司かも・・・。

日本で言うと、今野敏先生の「安積班」のように、チームが協力して難事件を解決する・・・。
海外警察小説では、久々にそんな感じの作品に出会いました。
すごく面白かったです。
この作品は、シリーズ化され、スウエーデンではすでに10作品で完結しているようです。
日本で次の作品がが発売されるのが楽しみです!!

『靄の旋律 国家刑事警察 特別捜査班』
著者: アルネ・ダール
出版社:集英社
価格¥980(税別)