横山秀夫先生の本格ミステリー短編集『真相』が面白すぎます!

「64」を読んで凄く感動して、横山先生の以前の作品を読み返しました。
やはり横山先生の警察小説は面白いです。
謎とき、警察組織の軋轢、専門職の矜持、人間ドラマなど重厚な作品が多く、改めて凄い作家さんだなと再認識!
ところが、警察小説だけでなく、ミステリー短編集もすごく面白い作品を発見しました。
タイトルは『真相』です。表題作を含む5点を収録。
どの作品も、ミステリー小説としての面白さ全ての要素を満たし、非常に完成度が高いです。

短編集は、表題作『真相』、『18番ホール』、『不眠』、『花輪の海』、『他人の家』が収められているが、特に面白い作品は、『真相』と『18番ホール』。
『真相』は、何者かに殺害された息子を持つ父親のところに犯人逮捕の知らせが警察から入った。
十年前の事件がやっと解決し、安心した父親だったが、捕まった容疑者は、事件当日の息子の行動について思いもよらぬ供述をしたのだ。それを知った父親は激怒するが・・・。
『18番ホール』は、祖父が村長をしていた村の選挙に出馬することになった男性。
県庁に勤める男性は、祖父と同じ「開発推進派」として、立候補しようと考える。
参謀は子供のころからの幼馴染。絶対に勝てる選挙だ。しかしその前に男性にはどうしてもやらなければならないことがあった。

どの作品も、登場人物が抱えている謎がある。表の顔と裏の顔。
そのギャップが大きければ大きいほど、真相が明らかなった時の衝撃が大きい。

高校のときにフレデリック・フォーサイスの「シェパード」という短編集を読んだ。
ミステリー作品としてはあまりにも有名な作品。
大どんでん返しの連続。あまりのインパクトの強さに今でもその時の衝撃が忘れられない。
この短編集『真相』も、久々にそれくらいの衝撃を感じた凄い作品ばかりでした。

『真相』
著者: 横山秀夫
出版社:双葉社
価格¥600(税別)