最後は絶句!の警察小説「刑事のはらわた」

「脳男」で鮮烈デビューを果たした、首藤瓜於氏。
一風変わったミステリー作品が多い中、「刑事のはらわた」ほどラストが衝撃だったものは無い・・・・と思います。
(はまさきが今まで読んだ警察小説・・・少ないな・・・。)
「刑事の墓場」「刑事のはらわた」・・・タイトルも変わってるし・・・でも何だろうと思って絶対に手が出てしまう・・・そして読んでしまう・・・。

所轄の刑事だった八神は、幹部に目をかけられ、県警本部へ異例の抜擢。
だが、畑違いの鑑識課でベテラン課員を率いて緊張の毎日。日々、臨場、解剖の繰り返し。
そんなある日、アパートで孤独死した老人の事件で、上司から呼び出しを受ける。
老人はガス漏れによる一酸化炭素中毒で亡くなっており、事件性はないとの判断で決着をつけたが、八神は何か自分の落ち度かと不安になる。
だが上司から知らされたのは、老人が偽名だったこと、職業もなにもかもでたらめであったことだった。
そしてその老人と面識があったのかどうか執拗に聞かれた。
八神はなぜそんなことを聞かれるのかさっぱりわからなかった。
やがて八神はその老人の事件の真相を知ることになるが、その頃から警察組織に対して不信感を抱くようになる。
そんな気持ちを心の奥に秘め、日常の業務をこなしていた頃、新たな事件が発生する。
愛宕港で男性の死体が引き上げられた。窃盗で5か月前に出所したばかりの男だった。
その男は身元を隠し、いつも解剖が行われる大学に清掃員になりすまして入り込んでいた。
男の行動に不審を抱いた八神は、秘かに調べ始める。
やがて、未解決の金塊盗難事件に行き当たる・・・。
前半部分は、事件と鑑識と解剖について綿密に詳細に描いてあり、後半は熱心に金塊盗難事件を調査する八神の姿が描かれている。
なぜ、金塊盗難事件に八神はここまでこだわるのか?八神は何をしたいのか?読んでいるとだんだんわからなくなってくる。
この事件が、この小説が一体どんな決着をみるのか、まったくわからない。でも面白い。気になってしょうがない。
ラスト数ページで全くありえない展開になってしまう。
何なんだ!この小説は!!と怒ってしまうかも知れない・・・・。
でもこれが首藤瓜於の作品なのだ。
正統派の警察小説を読んでいる読者がこの作品を読んだら、絶対にぶっ飛ぶこと間違いなしの超、変わり種警察小説!

『刑事のはらわた』
著者:首藤瓜於
出版社:講談社
価格:¥600(税別)