人間を襲う!スズメバチの恐怖を描くサバイバルホラー「雀蜂」

「黒い家」で衝撃デビュー。「悪の教典」ではサイコパスの恐ろしさを
描き切った、貴志祐介さんの新作はなんと!蜂!しかも見るのも恐い、
スズメバチ!
一度スズメバチに刺された人で、アレルギーを持った人がもう一度
スズメバチに刺されると命に関わる重篤な状態に陥る。
いわゆる、アナフィラキシー・ショック状態だ。
そんな恐怖を背負った男が、スズメバチとの壮絶な死闘を繰り広げる
サバイバル・ホラー。
蜂苦手な人は恐いと思いますよ~。

スズメバチ

11月下旬の八ヶ岳の山荘で目覚めた、小説家の安斎は不気味な
羽音を聞く。それは安斎が最も聞きたくない‘蜂’の羽音だった。
過去に一度、スズメバチに刺され病院に担ぎ込まれた安斎は
医師から、もう一度刺されたら命に関わると言われていた。
安斎にとって蜂は死神のようなものだ。
しかも目の前に迫ってきたものは、死神・スズメバチだったのだ。
逃げようにも外は吹雪。通信機器も使えず、一緒にいた妻は
忽然と姿を消していたのだ・・・。
これは妻が自分を殺すために仕組んだ罠なのか・・・?
雪深い山荘になぜスズメバチの大群がいるのか・・・?
安斎とスズメバチの壮絶な死闘が始まった・・・。

蜂が人間を襲う恐怖が圧倒的な臨場感で描かれていて
眼を見張る。
登場人物の恐怖とシンクロして、蜂にさされたことが
ある人なら目の前に襲いくる蜂の大群のシーンを
読めば息を呑んでしまうことと思う。
子どもの頃に蜂にさされたはまさきも、ほんとに
恐かった。
しかも、蜂の恐怖が去ったあとは、人間の恐ろしさまで
描かれている。
クライマックスの大どんでん返しは誰が予想できるだろうか?
自然と、人間の恐ろしさを融合させ、究極の恐怖を
描きだした貴志祐介さんに脱帽!

『雀蜂』
著者:貴志祐介
出版社:KADOKAWA(角川ホラー文庫)
価格:¥520(税別)