ドイツの凄いミステリーパート2「深い疵」

今回紹介する「深い疵」は、以前紹介したドイツの凄いミステリー
『白雪姫には死んでもらう』、ピア&オリヴァー刑事シリーズ
第1作目となる作品です。
同僚が面白いと言って先に2作目「白雪姫~」を貸してくれ、そのあと
この「深い疵」が1作目だと気が付き教えてくれたものです。

深い疵

「白雪姫には死んでもらう」は大変面白く、ピア刑事とオリヴァ―刑事のコンビが
気に入ってしまいました。第1作目も気になりますよね。

ホロコーストを生き残り、アメリカ大統領顧問まで務めた
著名なユダヤ人が射殺された。その遺体はナチスがユダヤ人を射殺
したときと同じやり方だった。さらに、凶器は第2次世界大戦時
使用された拳銃と同じものだったのだ。司法解剖の結果、
驚愕の真実が発見される。著名なユダヤ人は実はナチスの親衛隊員
だったのだ。その後も同じような年齢の男女が次々に同じ凶器、
同じ方法で射殺された。被害者の過去を調べるうちに、不可解な
真実が次々と判明する。
女性実業家をめぐる家族の確執、憎しみ合う兄弟、復讐のために
手段を選ばない男。複雑な人間関係が事件をさらに混乱させる。
いったい誰が犯人なのか?
最後の最後まで本当にわからない。
第2次世界大戦の混乱の時代から悲劇が続く、哀しい過去が
事件を起こしてしまった。
ミステリーとしての面白さもそうだが、きっちりと書きこまれた
人物と背景、人間描写が素晴らしい。奥の深いミステリー小説。

『深い疵』
著者:ネレ・ノイハウス/酒寄進一訳
出版社:東京創元社(文庫)
価格:¥1,200(税別)