結婚って恐い~。サスペンス短編集

各店で展開中のミステリー好き太鼓判「サスペンス小説ベストセレクション」の中から今日のおススメを1冊。

角川文庫『崩れる 結婚にまつわる八つの風景』貫井徳郎著です。

貫井さんと言えば東京創元文庫『慟哭』で大ブレイク。その後は「後悔と真実の色」で山本周五郎賞、「乱反射」で日本推理作家協会賞を受賞。過去に2度直木賞候補になるなど、ミステリ小説界の重鎮です。

その貫井さんの初期の短編集です。
第1話「崩れる」から衝撃的な展開。あこがれの画家の卵と結婚し、幸せな家庭を築くはずだった女性。しかしどこかで歯車が狂い始め、絶望へと向かう・・・。
第2話「怯える」は新婚で妻は妊娠。幸せの絶頂期にあった男性は、あるきっかけで昔つきあっていた彼女と出会う。その彼女の行動に一抹の不安を覚える・・・・など。
公園デビュー、ストーカー、DVなど様々な現代社会の病巣を「結婚」というテーマで描いた、社会派ミステリー。
結婚について、貫井さん独特の視線で、ミステリアスに描いています。

最近ではボリュームのある、硬質なミステリーが多い中、ミステリー作家・貫井氏の隠れた一面を知ることが出来る貴重な1冊です。

『崩れる 結婚にまつわる八つの風景』
著者:  貫井徳郎
出版社: 角川書店
格:  ¥590(税別)