強いこだわりと執念が真相を暴く!「ラバーネッカー」

イギリスのメディアで絶賛!
英国ミステリー界の超新星、べリンダ・バウアーの最新作です。

アスペルガー症候群の医大生が献体の解剖途中で
不審物を発見したことから、殺人事件ではないかと
疑う。

ラバーネッカー

母サラと二人で暮らすパトリックは、アスペルガー症候群の18歳の
青年。幼い時、父親が目の前で事故死したが、パトリックはその「死」
の意味を理解できず、「死」への探求が始まる。
小動物の死体を解剖し「死」とは何かを問う息子に、母サラは次第に
恐怖を感じ、息子との関係にひどいストレスを感じるようになる。
やがて、カーディフ大学の医学部に入学し解剖学を学ぶことになった
パトリックは、実習で遺体の解剖と死因特定を課される。
だが、19番の遺体の担当になったパトリックのグループは、なかなか死因に
辿りつけなかった・・・。
一方、大学病院の終末医療病棟で、昏睡状態にあった「わたし」は
ある日眼を覚ました直後、隣のベッドの患者が何者かに殺害されるのを目撃!
何とかこの殺人を周りに伝えようとするが、体も言葉も不自由でそれが出来なかった。

解剖中に遺体から不審物を見つけたパトリックは、19番の個人情報を
まんまと入手。彼の娘と接触する。パトリックは19番が何者かに
殺されたと直感し、警察に伝えようとする。しかしその動きを知った真犯人は
パトリックに迫る・・・・。

アスペルガー症候群の特徴を活かした異色の設定。よくここまでミステリーに
仕立てあげたなあ~と思わず上手い!と言いたくなるくらい面白かった。
また、そんな息子との関係に悩む母の姿がリアルで切ない。
純粋なパトリックにやがて、怒り、悲しみ、喜び、恋といった感情が芽生え、
友人たちとコミュニケーションをとれるようになる過程が、とても微笑ましかった。

英国異色のミステリー、一読の価値ありです。

『ラバーネッカー』
著者:べリンダ・バウアー著/満園真木訳
出版社:小学館(文庫)
価格:¥830(税別)