以前このブログで紹介した、中山七里「贖罪の奏鳴曲」が
昨年の秋に文庫になりました。
ものすごく面白かったので、文庫化を機に再度紹介!
おぞましい少年犯罪の過去を持つ、弁護士・御子柴礼司。
冒頭から、死体遺棄だ・・・・。主人公は殺人鬼か?
と思わせるスタート。
弁護士・御子柴礼司は、実刑必至の犯罪者から執行猶予を
勝ちとる‘辣腕弁護士’。だが、莫大な報酬を要求する
‘悪徳’でもある。しかし割にあわない国選弁護を引き受ける
等、意外な一面も持ち合わせる・・・。
雑誌記者の遺体が発見され、捜査を進める警察。
捜査線上に浮かんだのは、弁護士の御子柴礼司だった。
しかし、御子柴には鉄壁のアリバイがあった。
保険金目当てで夫を殺害した罪で、1審、2審で
無期懲役の判決を下された主婦。彼女には重度の
障害を持つ18歳の息子がいた。御子柴は最高裁で
その主婦の国選弁護を買ってでる。
やがて明らかになった杜撰な調査と弁護。
保険金殺人事件の真相とは?御子柴と殺された
雑誌記者との関係は?2転、3転する展開に度肝を
抜かれる!
御子柴が調べる保険金殺人事件の行方と、警察が御子柴を
追いつめるために、彼の過去に迫る過程が交互に描かれ
ただの謎解きでは終わらない、奥の深いミステリー。
特に、著者がこだわりをもって描いた「音楽によって感性が目覚める」
シーンは圧倒的な臨場感で迫ってくる!
その描き方から、ピアノの旋律が聞こえてくるようだ。
心に闇を抱き、なんの感情も持たなかった少年・御子柴に
人間らしい感情が生まれてくるこのシーンはとても感動的!
ミステリーとしての完璧な展開と人間ドラマが織りなす
重厚なミステリー作品。
まさにベストミステリーの傑作!
『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』
著者:中山七里
出版社:講談社(文庫)
価格:¥680(税別)