凄い展開だ!?『冤罪死刑』

以前から気になっていたミステリー。
「冤罪死刑」緒川玲著。
読んでみました!

冤罪死刑

冒頭は、幼女誘拐殺人を起こした男の死刑執行のシーンから
始まる。物語の根幹をなすシーン。
ある日、資産家の娘が誘拐された。身代金は6千万。
誘拐犯人は、身代金受け渡しに誘拐した娘の母親を指名した。
母親は犯人の言う通り、警察を出し抜き指定された場所に
金をおいた。だが、娘を解放すると言っていた場所に行っても
娘の姿は無く、数か月後、雑木林で白骨遺体となって
発見された。
その後、誘拐犯が逮捕された。
犯人とされた男は、取り調べ中、一度は自供したものの、
裁判では否認。
そこで、冤罪ではないかと疑う正義感に燃える女性弁護士と
冤罪スクープを狙う通信社記者が事件を洗いなおすと、
意外な事実が判明する。
一方、幸せな家庭を築きながら、幼い時から小児性愛の
傾向があった男は、二人の女児を誘拐し殺した罪で
死刑判決を受けていた。彼のカウンセラーは、この男が
まだ何かを隠しているのではないかと疑うのだが・・・。

冤罪、死刑制度、小児性愛、偽証、老刑事の告白・・・。
日本警察が抱える様々な問題に焦点を当てながら、物語は意外な展開を見せる。
幾重にも張られた伏線が鮮やかに回収される、会心作!

おっと、こうきたか~と思わずうなってしまった。
冤罪ミステリーの傑作です。

『冤罪死刑』
著者:緒川玲
出版社:講談社
価格:¥750(税抜)