切なくなってしまった・・・。「イノセント・デイズ」

早見和真さんの作品、恥ずかしながら初めて
読みました。
「イノセント・デイズ」

版元さんの本の紹介文があまりにも刺激的で
つい、買ってしまいました。

イノセントデイズ

元恋人だった男の家に放火し、その男の妻と双子の子どもたちを
殺害した田中幸乃。
死刑判決を受け静かにそれを受け入れ、ただ待つ日々。
そして、幸乃の死刑は執行された・・・。幸乃にとっては
やっと・・・いう想い。

幸乃の死刑執行から物語は始まる。
「整形シンデレラ」「稀代の鬼女」とも言われた、死刑囚・田中幸乃。

子ども時代、父・母・姉・幸乃の4人家族はこの上ない幸せな
家庭を築いていた。
近所の男の子、翔ちゃん、シンちゃんともとても仲が良かった。
しかし、母が事故で亡くなったことから、幸乃の倖せは消える・・・。
最愛の父から、たった1度だけ手を挙げられ幸乃は否定された・・。
私は誰にも必要とされないのか・・・。
幸乃は、ただひたすら自分を必要としてくれる人を愛した。
裏切られてようと、それでも必要だと思ってくれるなら、その人を大切に思ったのだ・・・。

幸乃に関わった人たちの口から語られる、幸乃像は決して殺人鬼には
感じられない。優しい、自分の事より友人、恋人だ。
だから、読んでいると切なくなる・・・。
なぜ・・と思ってしまう。

そして、ただ一人幸乃の無実を信じる男。
彼は必死に幸乃の無実の証拠を探すのだが・・・・
果たして幸乃はそれを望むだろうか・・・。

最後のほうは、どうしても助けてあげて欲しいと
想った。
ラストを読んでこのタイトルの意味がわかるとほんとに
切なくなります。

『イノセント・デイズ』
著者:早見和真
出版社:新潮社
価格:¥1,800(税別)