百田さんの新刊「フォルトゥナの瞳」を読みました。
本屋大賞受賞後1年半ぶり待望の新作です。
ミステリーとはいえないかもしれません・・・・。
今回も作風がガラリと変わりました。
ほんとに引き出しのたくさんある作家さん。
凄いです。
幼いころ、両親と妹を亡くした木山慎一郎には
友人も恋人もいない。ただ、真面目だけが取り柄・・・。
一日中、へとへとになるまで働き、夜眠るだけの日々。
夢も自信も持てない孤独な人生だった。
そんなある日、電車でふと乗客の手を見た。
その手が透けて見えたのだ・・・・。
見間違いかと思い、もう一度見た。
しかし、透けて見える・・・。
慎一郎は自分に何事が起ったのか、恐怖を感じた。
やがて、自分には人の「死」や「運命」が見える能力が宿ったことを
知った慎一郎は、何とかその人の運命を変えることは
出来ないかと思い始める・・・。
何とも深く、悲しい物語だ・・・・。
どうしようもない選択をたった一人で抱え
がんじがらめになり、苦悩する青年の姿・・・。
切な過ぎて言葉もない。
人の死を変えることで、その報いはすべて
自分に返ってくるというのに、それでも
悩む青年のピュアすぎる心の葛藤を読み
泣けてしまった。
もし、自分自身にこんな能力が宿ったとしたら
どうするだろう・・・。
大切な人の死が見えたなら、どうするだろう
う~ん
深すぎて悩む・・・。
『フォルトゥナの瞳』
著者:百田尚樹
出版社:新潮社
価格:¥1,600(税別)