瞠目の本格ミステリー「殺意の構図」

「鬼畜の家」で第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を
受賞し、その後次々と本格ミステリーを描き続ける、元弁護士の著者。
本当にひねりの利いたミステリーで、最後の一頁まで
ミステリーファンを楽しませてくれる、凄すぎる作家さん。
そんな著者の最新作は、私立探偵・榊原聡シリーズ「殺意の構図」。

冤罪事件に端を発した連続不審死。
複雑に絡み合う家族関係、見えない利害対立
そして狡猾な犯行計画・・・。

殺意の構図

街の弁護士・衣田征夫は、友人の姪の依頼で不慣れな
殺人事件を担当することになった。
容疑者は、友人の姪・朱美の夫、峰岸諒一。彼は妻の父で、
養父でもある巌雄宅に放火、殺害した疑いで逮捕された。
現場には諒一のライターが落ちていた上に、巌雄を罵倒
する諒一を見たとの目撃者もいる。さらに、顔と手にはやけどのあとが・・・・。
だが、諒一は否認を続け、弁護士の衣田にも詳細を話さない。
そんなさなか、諒一の妻・朱美が別荘の地下で水死した。
すると諒一は、「妻が死んだ以上、もはや秘密を守る必要はなくなりました
全てをお話します。」と事件当日のアリバイを話し始めた・・・・。

事件の関係者が次々と亡くなる。
事件なのか、事故なのか・・・?
事件の発端から、事件に関係する二つの家族の情景が丁寧に
描かれ、読んでいるとだれもが犯人ではないかと疑ってしまう。
途中で事件の真実が見えそうになるが、巧みにそらされ、
益々謎は深まり、最後の一頁まで気が抜けない。

こんなに上手い本格ミステリーは初めてだ。

一体犯人は誰なのか?真実はどこにあるのか?
殺意の在り処は?
複雑に絡み合った謎を、探偵・榊原聡が巧緻に解き明かす。

精緻に組みあげられた、本格ミステリーの傑作!

『殺人の構図 探偵の依頼人』
著者:深木章子
出版社:光文社
価格:¥1,700(税別)