独白ミステリーの極致「敗者の告白」

「鬼畜の家」でブレイク中のミステリー作家
深木章子さんの最新作「敗者の告白 弁護士睦月怜の事件簿」を読みました。

元弁護士という著者。
事件の証言者から聴いた話を検証し
真相に至る過程を描くのはお見事です!

敗者の告白

IT企業の経営者・本村弘樹の妻と小学生になる息子が
別荘のベランダから転落死した。

そしてその事件当日に、雑誌記者に送られてきた、
一通のメール。それは、本村の妻・瑞香の手記だった。
その手記の内容は驚くべきものだった。
この手記の登場により、本村は妻子を殺害したとして逮捕された。

瑞香の手記には、夫が愛人と共謀し、自分と息子を殺す計画を
立てていると書かれていた。その理由は息子が夫の友人の
子どもであること、さらに資産家の母が亡くなり、瑞香が相続した
遺産を自分のものにすること、そして最愛の娘を亡くされた償い・・・?

だが、逮捕された直後に、今度は本村の母親に亡くなった孫の
朋樹からメールが送られていたのだ。
朋樹のメールの文面は瑞香以上に世間をあっと驚かせた!
自分はパパとママに殺される、おばちゃん助けて!
僕が妹の由佳を殺したから、パパのお友だちのところの
美優ちゃんを殺そうとしたから・・・

朋樹のメールから、警察は瑞香の素行を調べ始めた。
そして明らかになった瑞香の正体は、本村の想像を
はるかに超えたものだった・・・・。

本村の弁護士・睦月怜は、本村、瑞香の周辺の
人物から証言をとった。
その証言を徹底的に検証してゆくとあるひとつの仮説に
繋がった・・・・。

物語は、ほぼ手記と証言者の独白、本村の独白。
しかしそこにちりばめられた伏線の数々。
そこからいかにして、妻子転落死事件の真実に
繋げるのか?

読みは始めると気になってしょうがなくなる!
超絶ミステリー技巧の傑作!

『敗者の独白 弁護士睦月怜の事件簿』
著者:深木章子
出版社:角川書店(KADOKAWA)
価格:¥1,600(税別)