ハードボイルド的子育てに胸が熱くなる!「初秋」

2010年に亡くなった、アメリカのミステリー作家、ロバート・B・パーカー。
彼の代表作は私立探偵「スペンサー」シリーズ。
スペンサーという男は、たった一人の恋人を愛し続け、友を大切にし、体を鍛え、
依頼以上の仕事もこなす。依頼された仕事を引き受けた以上、命も顧みない・・・。
男の中の男、男性から見ても、女性から見ても理想の男性。
だから、このシリーズは男性女性ともにどちらからも支持を得た。

はまさきが初めて読んだのは、この「初秋」。
これを読んだことがきっかけとなり、アメリカのミステリー、
探偵小説にはまっていった。

この「初秋」は「スペンサー」シリーズの中でも異彩を放つ!
シリーズ中最高傑作と言われている。

初秋

私立探偵スペンサーは、離婚した夫から息子を取り戻してほしいと依頼を受けた。
彼にとっては非常に簡単な仕事だった。
早速仕事を完了したスペンサーだったが、
問題の少年ポールは、彼の心にわだかまりを残した。

ポールは、対立する両親の間で駆け引きの材料に使われ、
両親の愛情も知らず、固く心を閉ざして何事にも関心を示さない少年だったのだ。
そんなポールを見てスペンサーは決心する。
ポールを自立させるためには、一からすべてを学ばせるしかない。
それから、スペンサー流のトレーニングが始まる。

人生において何が大切か?
生きることはどういうことか
男として何が大切なのか・・・?
スペンサーはとことんポールと向き合い、
一緒にトレーニングをし、本を読み、音楽を聴き・・・
彼の問いには一つ一つ誠意を持って答える・・・。

人生の生き方を何も知らぬ少年と、彼を見守る
スペンサーとの交流が読んでいると本当に胸に響く・・。
ハードボイルドな中にも心温まるストーリー展開に
感動する・・。
ポールが成長し、スペンサーと再会する「晩秋」は
さらに感動。他人の気持ちを思いやる優しく繊細な
青年に成長したポールに驚く!

『初秋』
著者:ロバート・B・パーカー/菊池光訳
出版社:早川書房(ハヤカワ文庫)
価格:¥800(税別)