カラクリ人形と大正レトロと本格ミステリーが絶妙にマッチ「からくり探偵」

ユーモア満載の本格ミステリー。
新たに発見しました!
『からくり探偵・百栗柿三郎』伽古屋圭市著(実日文庫)です。

表紙は何とも言えないほんわかな雰囲気。
でも事件はなんとも血なまぐさい・・・。
そんな難事件を、一見頼りなさそうに見えるちょっと不遜な態度が
たまに傷の名探偵・百栗柿三郎と、人語を解する猫型カラクリ人形・お玉さん
そしてひょんなことから、助手になったお千代さんの3人で解決しちゃう
4つのミステリー。

カラクリ探偵

ある屋敷で不可解な主人殺しが起こる。
殺害したのは「人造人間(ホムンクルス)」!?
そんなばかな!最初に疑われた、屋敷のお手伝い
千代さんは、自分の疑いを晴らすためと事件の真相を
はっきりさせるために、探偵を探して・・・おっと
目の前に「百栗庵 よろず探偵 人探しも承り」と小さく書いた
看板を発見。これは天子様のお導きと気を良くした
千代さんは、一見頼りなさそうな青年・百栗柿三郎に
調査を依頼。しかし何ともやるきなさそうな・・・・
第1話「人造人間の殺意」。

探偵よりも発明に精を出す・百栗柿三郎。
得意げに見せられた懐中時計もどき。
それは、「懐中時計型麻酔銃」だった。
一体何に使うのかと思案しながら歩く千代さん。
藪の中で分解死体を発見!殺されたのは、
化粧品会社の社長だった。
そんな中、百栗庵に殺された社長の執事が訪ねてきた。
なぜあんなむごたらしい分解死体になったのか?
柿三郎は調べてみることに・・・・。
第2話「あるべき死体」

日々発明に明け暮れる柿三郎。
今度は「回転慣性乾燥装置」なるものを
発明。千代さんとともにその性能を
確かめるべく装置を動かすとなんと爆発!!
そんな大騒ぎの中、百栗庵に一人の婦人が・・・。
彼女は「一斎居士」の下に身を寄せた息子が
戻って来ないので、連れ戻してほしいと依頼してきた。
一斎居士とは、果心居士の末裔とうそぶく怪しげな手妻を使う男だった。
柿三郎は千代さんをその宿舎に潜入させ、
依頼者の息子を探すことに・・・・。
カラクリ猫・お玉さんと千代さんが大活躍!
第3話「揺れる陽炎」

一斎居士事件から、奇術や手妻のカラクリ覚え、
千代さんに披露する柿三郎。
そんな頃、またしても百栗庵に来客が・・・。
凄惨な事件で両親を失い、行方不明になった
少女を探してほしいとの依頼だった。
依頼した男は、遠縁にあたるものから頼まれたらしい。
柿三郎は、珍しくやる気を出し、すぐに動く。
どうやって行方不明の少女を探すのか?
千代さんとその男は、行方不明になる直前まで一緒に
いた友だちに話を聞くことに。さらに柿三郎は
犬を使って消えた少女の行方を匂いを頼りに探す
と言い出した・・・・。
第4話「惨劇に消えた少女」

大正時代のモダンな設定が、全体を通しての物語にピッタリ。
主人公は冴えない風貌で探偵稼業は、やる気がないのに
めっちゃ頭脳明晰で、発明大好きだからとても博学。
その博学さを活かし、彼自らが考案した指紋採取などの科学捜査、
そして状況証拠を元に繰り出される実験から、明晰な推理を展開。
面白いです!
珍妙な発明よりも、探偵のほうがずっとあっているのに・・。

百栗柿三郎、お千代さん、そしてカラクリ猫のお玉さん
この3人(?)の絶妙なかけあいがたまらない!
続編、絶対に描いてほしい!面白さです。

『からくり探偵・百栗柿三郎』
著者:伽古屋圭市
出版社:実業之日本社(文庫)
価格:¥593(税別)