ノンフィクションのようなミステリー『遠海事件』!

先日、「ミステリー小説を楽しむ会」という読書会を行いました。
その時に参加者のお一人が紹介され、ほかの参加者さんから
「読んでみたい!」と一番声の上がった作品。
詠坂雄二『遠海(とおみ)事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか』(光文社文庫)
早速読んでみました。

遠海

若く有能な書店員だった、佐藤誠。
書店で万引きした女子高生に本気で説教する、人間味あふれる男性だ。

しかし、佐藤誠はこれまでの人生でなんと!86件もの殺人を犯した殺人鬼。
その犯罪はいつも完璧に計画的で、死体を含めた証拠隠滅も徹底していた。

そして、佐藤は恩人でもある会社の上司とその娘を殺害する。
ところが、佐藤はこの殺人に限り、致命的な証拠を残すのだ。
遺体の首を切断するという猟奇殺人の痕跡を残してしまった。
なぜ、彼は遺体の首を切断することになったのか?

事件発生から、県警捜査一課の阿比留刑事は、佐藤に対して執着するが、
結局、動機も見当たらず、さらにアリバイを崩すことが出来ず、
迷宮入り事件になってしまう。

徹底的に証拠隠滅を図り、殺人事件自体を無きものに
してきた佐藤誠。遺体が出なければ事件として立件
出来ないから、完璧なまでの完全犯罪だ。
では、なぜ、遠海事件では証拠隠滅を図らなかったのか?

遠海市で起きた異常な事件の真相、そして伝説に彩られた佐藤誠の実像とは!?

フィクションでありながら、まるでノンフィクションの
事件ルポを読んでいるような感覚に陥いる・・・。
著者が企てた、挑発的で不可解な「遠海事件」の謎を解くことが出来るのか!?

『遠海(とおみ)事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』
著者:詠坂雄二
出版社:光文社(文庫)
価格:¥600(税別)