「機龍警察」シリーズ初の短編集「火宅」

機龍警察」シリーズ初の短編集「火宅」を読みました。

表題作「火宅」ほか、「焼相」「輪廻」「済度」「雪娘」
「沙弥」「勤行」「化生」の8編。

どれもとても味わいある作品ばかり。「機龍警察」ファン
には垂涎の作品!面白いです!!

機龍火宅

「火宅」は、特捜部主任・由紀谷が、死の床にある元上司の
秘密に迫る!つけられたタイトルの意味が深い!

「焼相」は、キモノを身に着けた二人のチャイニーズマフィアが
児童教育センターに居た子どもたちを人質に立てこもった!
SITが呼ばれたが、過去の失態を恐れ突入をためらう中、
特捜の機龍兵(ドラグーン)が呼ばれる・・・。

「輪廻」は、武器密売組織と医療機器メーカーとの密会から、
特捜の機龍兵搭乗員・姿警部が、ある兵器のオプションの
可能性を指摘する。それは非人道的なものだった・・・。
近い将来、本当に起こるかもしれないと思わずにはいられない
恐さを感じた。

「済度」、特捜部に入る前のライザの彷徨・・・徹底的に
非道でクールなライザの姿がある。

「雪娘」は、ロシア警察時代の苦い思い出を胸に秘め、少女を
守ろうとする、ユーリの優しさが際立つ。

「沙弥」は、由紀谷が警察官を目指すきっかけとなった
エピソード。由紀谷の友を想う気持ちが胸に迫った作品。

「勤行」は、宮近理事官が己の仕事に改めて誇り
を見出すエピソード。宮近と城木のコンビの良さが
際立った作品。これはとても愉快な気持ちになった!

「化生」は、経済産業省の官僚が転落死した事件から、
特捜部と捜査一課・二課の合同捜査チームとの対立
が激しくなり、沖津特捜部長が窮地に陥る・・・。
疑獄事件捜査の末に鈴石主任が悪夢の未来を幻視する・・・。

至近未来警察小説、傑作の短編集!

『機龍警察 火宅』
著者:月村了衛
出版社:早川書房
価格:¥1,400(税別)