北欧ミステリーに新たなヒーロー登場「犯罪心理捜査官セバスチャン」

スウエーデンの脚本家コンビが描いた斬新な
ミステリーです!M・ヨート/H・ローセンフェルトの
「犯罪心理捜査官セバスチャン」(東京創元社)
とても面白かったです。

アメリカの超人気テレビドラマ『メンタリスト』を
少し彷彿とさせるストーリーです。

セバスチャン

ヴェステロース警察にかかってきた1本の電話。
「息子が家に戻ってこない!」
息子は16歳。それならば親に内緒で友人宅にでも
転がり込んでいるのでは・・・?
そんな報告書が同署の警部・ハラルドソンの机に放置されて
2日後、心臓をえぐり出された少年の惨殺死体が発見された。
センセーショナルな事件のため、ヴェステロース署の
刑事部長・シェスティン・ハンセルは国家刑事警察の
殺人捜査特別班に救援要請を出した。
そのメンバーは、リーダーのトルケル以下、男女合わせて
4人の腕利き刑事たち。
そこに一人の男が加わった。彼の名はセバスチャン・ベリマン。
心理学者で殺人捜査特別班の元トップ・プロファイラー。
しかし、セバスチャンは、自信過剰で協調性ゼロ!
さらに女性大好きのトラブルメーカーだった。
だが、仕事にかけては彼の右に出るものはいない・・・。

捜査はなるべく早く解決させた方が良いと判断したトルケルは、
セバスチャンを捜査に加えたのだった・・・。
ところが、セバスチャンには別の目的があったのだ・・・。

セバスチャンが捜査に加わることによってチーム内に
微妙なずれが生じる。だがセバスチャンはそんな些細なことに
動じない・・・。セバスチャンのプロファイリングや、
刑事たちの連携により、事件当日の少年の足取りや、ガールフレンドの存在、
さらに、殺害された少年の背景などが明らかになる・・・。

北欧のミステリー小説は、主要な登場人物の描写、背景が詳細なため、
長編になりやすい。結構なかだるみになったりするが、この作品、
セバスチャンの魅力が際立っていて、こいつ次に何をするんだろうと
つい期待をしてしまい、ページをめくってしまう。
そして、殺人捜査特別班チーム内の人間関係も詳しく描かれていて
ドラマとして面白い。
さらに、ヴェステロース警察の警部・ハラルドソンのこっけいな
悩みや、女性上司・ハンセルに対する異常なまでの対抗心が
ちょっと笑いを誘うほどに描かれていて、残虐な事件のつらさを
少し解消してくれている。
物語の展開も、地道な捜査によって徐々に明らかになるところ、
少年の意外な素顔など、読ませる!
(セバスチャンがかき回すこともあるが・・・)
そしてクライマックスは、2転3転する展開!真相になかなか
辿りつけないもどかしさがたまらない!

セバスチャンの魅力にはまり、シリーズ第2弾
「模倣犯 上下」も読み始めました!

『犯罪心理捜査官セバスチャン 上下』
著者:M・ヨート/H・ローセンフェルト 訳:ヘレンハルメ美穂
出版社:東京創元社(文庫)
価格:上下各¥1,100(税別)