鬼貫警部事件簿シリーズ「憎悪の化石」の凄いトリック!

以前、放送していた火曜サスペンス劇場の
「刑事・鬼貫八郎」シリーズ。
鬼貫警部を、大地康雄さんが演じていました。
大好きなドラマです。
その原作が、鮎川哲也さんの「鬼貫警部事件簿」シリーズです。
シリーズ中、名作中の名作、第13回日本探偵作家クラブ賞を受賞した
「憎悪の化石」を読みました。
ドラマとはまた違う味わい。本の方もとても面白かった。

憎悪の化石

熱海の旅館で、湯田真壁という男が殺された。
その殺害現場は凄惨を極めた。
さらに何かを物色したらしい痕跡があった。
そして、別の場所に預けてあった、被害者の鞄の中から
恐喝の材料となるものが発見された。
湯田は、元記者で、そこを円満退社し大阪の興信所に勤務していた。
非常に優秀な社員だったらしい・・・・。
だが、警察は、被害者の記者時代、さらに興信所勤めで
何かネタを掴み、誰かを強請って恨みを買ったのだろう
と推理した。

恐喝の材料から、湯田に恨みを持つ人間は12人に絞られた。
熱海署のベテラン刑事・井伊と若手刑事の志村は、彼らの
アリバイを徹底的に聴取したが、全員にアリバイが成立
した。
そこで捜査は行き詰まり、警視庁の鬼貫警部に引き継がれる
ことになった。
鬼貫警部と相棒の丹那刑事は、執拗に容疑者に迫り、
犯人を特定するが・・・。

戦後の背景を引きづる事件の真相。
意表をついたアリバイのトリック。
捜査員たちの鋭い推理など、読ませる社会派ミステリーで
とても面白かった。
昭和の懐かしい雰囲気。
ノスタルジックで、今読むと逆に新鮮に感じました。

『憎悪の化石 鬼貫警部事件簿 鮎川哲也コレクション』
著者:鮎川哲也
出版社:光文社
価格:¥660(税別)