「機龍警察 未亡旅団」愛憎渦巻く衝撃の展開!

「機龍警察 未亡旅団」を読みました。
読み終わった後、切なくて泣きそうになりました。

今回は女性テロリストVS機龍搭乗員。
城木理事官と由紀谷警部補に焦点を充てています。

未亡旅団

チェチェンの紛争で家族を失った女だけのテロ組織「黒い未亡人」。
彼女たちが日本に潜入した!

世界各地の紛争の状況はテレビやネットのニュースで知ってはいるけれど、
何も出来ない。安全な日本に居て、なぜこんな紛争が続くのかと
疑問を抱きながら視ているだけだ・・・。

しかし、この「機龍警察」で少しばかり、紛争の実態を知った。
日本にいたら信じられない事の数々!一体なぜ?どうして?
眼をそむけたくなる現状だ。

この物語は、そんな紛争地帯で虐げられ続けた女性たちが
ついに立ち上がり、復讐を誓い、男たちに刃を向ける。
「黒い未亡人」たちの目的はそれだったはず・・・・。
だが、いつの間にか、リーダーのシーラ・ヴィヴァロワによって
ただのテロリストに成り下がっていくのだ・・・。

その「黒い未亡人」が日本に潜入した!何の目的で?
それを阻止しようと、公安部と特捜部が手を組むが・・・。

城木理事官は、実の兄、宗方亮太郎議員に疑念を抱く・・・
一方、由紀谷警部は、ある少女と出逢い一瞬だが心を通わせる・・・。

しかし、その少女は「黒い未亡人」のテロリストの一人だった。
由紀谷はその少女の心を開こうと、自らの過去を語る・・・。
「白鬼」と呼ばれ暴れまわっていた過去、母との確執。
たった一人の友人の死、警官になろうと思った理由・・・
その過去に心を動かされた少女とそして、城木理事官。
城木もまた、幼いころから厳格な父と優秀過ぎる兄との
間で息苦しさを感じていた。その父のせいで母は
城木をすてて出て行ったのだ・・・。

やがて、少女は、母と慕うシーラを裏切り、由紀谷に日本での任務を話す。
まだ未成年の女子たちを子供用のキモノに塔上させ、さらに自爆させる
事への激しい憤りを感じる、姿警部。
最強の女性テロリスト・ラードナー警部
裏切られた故国・ロシアを想う、オズノフ警部。

彼らの想いが交差したとき、女性テロリストたちとの闘いが始まった!!

女性テロリストたち、機龍搭乗員、由紀谷、城木、そして城木の兄・亮太郎の
苦悩や哀しみが切々と描いてあり、闘いのシーンは凄まじいけれど、あまりにも
胸に迫り、泣きそうになった。
これは、シリーズ中一番の傑作ではないか?!

『機龍警察 未亡旅団』
著者:月村了衛
出版社:早川書房
価格:¥1900(税別)