青春小説か?ミステリーか!?「霊応ゲーム」

復刊ドットコムで絶大な支持を得た、
パトリック・レドモンド「霊応ゲーム」(ハヤカワ文庫)を読みました。

物語の面白さ、翻訳の上手さでいっきに読んで
しまいました!
「その女アレックス」と同じくらいの衝撃!

霊応ゲーム

物語は、ジャーナリストが45年前に名門パブリックスクールで
起きた不可解な事件を取材するところから始まる。

1954年、名門パブリックスクールに学ぶ、14歳の気弱な
少年・ジョナサンは、同級生たちから壮絶ないじめを受けていた。
そして、教師もなぜかジョナサンを目の敵にした。

だが、あることがきっかけで、ジョナサンは、クラスで一目置かれている
孤高の少年・リチャードと仲良くなる。
リチャードの強さに強烈に惹かれたジョナサンは、彼の虜になってゆく・・・。
二人が親密になるにつれ、ジョナサンをいじめていた同級生たちが
一人、また一人と不可解な事件や事故に巻き込まれていく・・・。

やがて、ジョナサンは、リチャードの束縛に恐怖を抱くようになり、
彼から離れようとするが・・・・!?

物語の前半部分は、いじめられている少年を救う救世主・
リチャードとジョナサンの間に芽生えた友情を中心に
描かれて、パブリックスクールにおける美しい男子たちの
青春物語のような展開・・・。

しかし何か不気味な気配がする・・・。

リチャードとは一体何者なのか?
事件や事故に巻き込まれた少年たちに何が起きたのか!?

14歳という微妙な年代の少年たちの歪んだ心、ガラス細工のように
傷つきやすい心を巧みに描き、その危険な心理状態をミステリーに
仕立てた、凄い作品!

少年たちが徐々に壊れてゆく心理描写が見事です!
悪魔的魅力を含んだミステリー小説。

『霊応ゲーム』
著者:パトリック・レドモンド著/広瀬順弘訳
出版社:早川書房(文庫)
価格:¥1,400(税別)