今後のサイバー犯罪の脅威を描く!警察小説「ビッグデータ・コネクト」

身近に迫る、サイバー犯罪の脅威を描いた、
至近未来警察小説「ビッグデータ・コネクト」藤井太洋著(文春文庫)。
新聞の書評欄で取り上げられ、面白そうだなと思い読み始めました。

読み始めて仰天!
サイバー犯罪がどのように進化し、
マイナンバー制度導入後、個人情報が
どうなるのか?どんな事件が起きるのかが予測され、
非常にリアルな社会派のミステリー小説で驚きました。

コンピュータシステムの用語など、専門的な
ことはわからないのですが、なんとなく
こういうことだろうと推察しながら読んでいくと
からくりがわかってきます。

ビッグデータ

京都府警サイバー犯罪対策課の万田警部は、
ITエンジニアの誘拐事件の捜査を命じられた。
その捜査の協力者として現れたのは、
2年前に、万田自身が取り調べた、PC遠隔操作事件の
容疑者、ハッカー・武岱だった。
無実で通したが、結局冤罪で汚名を着せられた。
武岱に昔の面影は無く、犯罪者のレッテルを貼られ、
それに対抗しようと心身ともに武装した姿だった。

二人は捜査を進めるうちに、誘拐されたエンジニアは、
進歩的市長が主導するプロジェクト、「コンポジタ」の
開発責任者だと判明した。
誘拐犯の要求は、「コンポジタ」計画の即刻停止!
莫大な個人情報を狙う悪意!
行政サービスの民間委託計画の陰に蠢く闇を暴く!

事件を追う警察小説として大変面白い!
マイナンバー制度導入後、私たちの個人情報の管理は
どうなるのか?
至近未来を予測したミステリー。
さらに驚きべきは、IT企業とエンジニアの厳しい
現実。IT業界の隠れた闇も白日の下にさらした!

優れた警察小説であり、IT業界の闇にスポットを
充てた社会派のミステリー!

『ビッグデータ・コネクト』
著者:藤井太洋
出版社:文藝春秋(文庫)
価格:¥790(税別)