バチカン奇跡調査官「独房の探偵」はローレンの魅力爆発!

バチカン奇跡調査官」シリーズ最新刊「独房の探偵」、
短編集なのですが、非常に面白い作品ばかりで堪能しました。

独房の探偵

第1話「シンフォニア 天使の囁き」
骨肉種に侵された、平賀の弟・良太を描いた短編。
幼くして、小児がんと診断され、ドイツの病院に入院中。
容体が悪化し平賀に連絡が入った!
平賀はドイツに飛ぶ!
ちょっとオタクっぽい兄の平賀。弟はどんなふうに描かれているのかと興味津々で読み始めた。
死の病に侵されているのに、妙に達観している良太。
そして賢く、心優しく、兄に対する愛情は深い。
しかし、良太には誰にも言えない秘密を抱えていた・・・。
その秘密が精神的に心優しい良太を苦しめるのだ。神に愛された少年・良太の苦悩を描く。

第2話「ペテロの椅子、天国の鍵」
神聖であるべきバチカン内に於いて、次々と明るみに出る腐敗・・。
それに苦悩する、ローマ法王。側近のサウロ大司教が、覚悟を持って、
ローマ法王にバチカンの隠された不正を話す。サウロの覚悟に法王はある決心をする。

第3話「魔女のスープ」
ロベルトは、奇跡調査の合間に禁忌文書研究をする。
それは、異端審問、魔女裁判に関するものだった。
当時の被告は、103歳まで生きたとされるベッラ・バッキ。
魔女として審問会にかけられたが、自らは、「不老長寿」のスープを作り、
法王に献上したので、カソリックに背くものではないと主張!
当時のヨーロッパ人の寿命が30代後半~40代前半に対し、
そのスープを飲んでいた法王たちは80歳まで生きた。
ロベルトは、ベッラが調合したスープに興味を持ち、再現することにした。
レシピを見ると怪しげな材料が並んでいる。
ロベルトは、ベッラが晩年過ごしたサンマリノの館に向かう。
そこで小説家のエリーナと出会う。
ロベルトの目的を聞いたエリーナは、小説構想そっちのけでロベルトの実験に協力することに!
彼らがべッラのレシピで再現したスープとは!?
この作品は、いつもとちょっと違う楽しい物語!化学の勉強にもなりますよ~

第4話「独房の探偵」
本筋では行方不明になっている、ローレン・ディルーカの物語。
ローレンの年齢は13歳。まだバチカンの仕事をする前の姿が描かれている。
超!天才のローレンは13歳にして、世界的な大富豪だ。
しかし、ローレンは刑務所の独房生活を楽しんでいる。
ローレンは独房から部下にあらゆる指示を出し、世界を思うままに動かしている。
そんなとき、国家治安警察(カラビニエリ)のアメデオが訪ねてきた。
ローレン曰く、イタリア警察は複雑な事件が解決できない無能の集団。
そんなイタリア警察を幾度となく、ローレンは助けてきた。その時の刑事が
アメデオだ。ローレンのおかげでアメデオはどんどん出世し、今や組織のトップに
君臨している。そんなアメデオが血相を変えてやってきたのだ。
ローレンは楽しそうに「今度はどんな事件だ?」と聞く。
独房内で鮮やかに事件を解決するローレンの推理が見事!!

バチカンワールドを思うさま堪能できる1冊です!

『バチカン奇跡調査官 独房の探偵』
著者:藤木稟
出版社:KADOKAWA
価格:¥640(税別)