第61回江戸川乱歩賞受賞作「道徳の時間」が発売!

今年も江戸川乱歩賞受賞作が発売となりました。
受賞作は「道徳の時間」
著者は呉勝浩さん。

タイトルからして面白い!
呉さんは、タイトルにこだわりがあったそうです。
「この作品の始まりは、タイトルでした。」
と語られています。

道徳の時間

主人公である、ビデオジャーナリスト・伏見が暮らす街で
「生物の時間を始めます」「体育の時間を始めます」などという
メッセージを残すイタズラ事件が連続で発生していた。
そんなころ、地元の陶芸家が死亡。その現場にも
「道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?」という落書き
が残されていた。
陶芸家は殺されたのか?イタズラ事件と陶芸家の死亡事件は同一犯なのか?
という疑いが強まった・・・。
そんな頃、伏見に13年前に小学校で起きた殺人事件のドキュメンタリー
映画の仕事が舞い込んできた。
その事件とは、小学生を含む300人の前で教育界の重鎮が青年に刺殺された事件。
犯人は、動機も背景も一切黙秘したままで無期懲役の判決をうけた。
だが、裁判の過程で「これは、道徳の問題なのです」とだけ語っていた。
現在と過去の事件には何かの繋がりがあるのか?
ドキュメンタリー映画の撮影中、女性ディレクターが証言者に
ある意図を持って質問しているが、一体何のためなのか?
伏見は憤りを感じながらも、現在と過去の事件の謎に挑んでゆく・・・・。

ミステリーで「謎が謎を呼ぶ展開」という言葉があるが
この作品はまさにそれ!
次々に謎が提示され、主人公がその謎に翻弄されてゆく。
それは読者も同じ・・・。
一体どうなっているの・・・・?
読み進むうちにその謎が解明されそうだが、またどこかの時点で
「え・・・?」となってしまう。
結局、最後の最後まで謎が解けないのだ。
なので、クライマックスはかなりの驚きです!
物語全体を覆う不思議な世界観にも魅了されてしまいます!

今年の乱歩賞も大収穫でした!

『道徳の時間』
著者:呉勝浩
出版社:講談社
価格:¥1,600(税別)