切ない展開!北海道警シリーズ「憂いなき街」

佐々木譲さんの大人気警察小説「北海道警察」シリーズ第7弾の
「憂いなき街」の文庫が発売されました。

佐伯警部補、津久井刑事、小島百合刑事、新宮刑事など、おなじみの
キャラが登場!
今回は、佐伯と小島の関係が急展開!

憂い

「サッポロ・シティ・ジャズ」の開催に湧く初夏の札幌。
市内で起きた宝石商の強盗事件を追っていた機動捜査隊の津久井卓は、
当番明けの夜、行きつけのジャズバー「ブラックバード」に立ち寄る。
そこでピアニストの安西奈津美に出会った。奈津美は、人気アルトサックス
プレーヤー・四方田純から声をかけられ、シティ・ジャズの出演を
控えていた。ジャズの話で意気投合した二人は急速に惹かれあった。
そんな中、中島公園近くの池で女性の死体が見つかる。
そして、現場近くのカメラの映像に奈津美らしき人物が写っていた。
殺害された女性は、四方田純のファンであったことから、二人の間に
トラブルがあったのでは?ということで、奈津美に容疑がかかってしまう。

「憂いなき街」はこのシリーズには珍しく、登場人物のプライベートな
部分にもスポットを充てている。
様々な事件が同時進行し、佐伯警部補、小島百合が活躍する警察ミステリーの
面白さとともに、大人の恋愛物語が上手く織り込まれ、
いつもの「道警」シリーズとはちょっと異なる。

津久井が恋した奈津美には警察官の相手にはふさわしくない過去があり、
警察官としての矜持が、津久井の気持ちに歯止めをかける。
だが、頭ではわかっていても恋しい気持ちはどうする事も出来ない。
そんな津久井刑事の心の葛藤が丁寧に描いてありとても共感した。
また、佐伯警部補と小島百合の関係も一歩前進するが、
バツイチの佐伯はどうしても積極的になれない。
そんな態度に小島は歯がゆい思いをしながらも
大人の態度で受け入れる。その小島百合が健気でかわいくて
さらに、かっこいいのだ!

こんな大人の恋と対照的に起こる殺人事件は
だめな大人を象徴する事件だ。

恋愛がからんだ道警シリーズ。今回は女性にもおススメの作品!

『憂いなき街』
著者:佐々木譲
出版社:角川春樹事務所(ハルキ文庫)
価格:¥660(税別)