安積班シリーズ最新刊「潮流」が物凄く面白い!

今野敏先生の大人気シリーズ「東京湾臨海署安積班」の最新作が発売されました。
タイトルは「潮流」です。
安積班シリーズとしては、第15作目で、今回は長編です。

「潮流」は、警察ミステリー作品としても、警察組織内を描く人間ドラマとしても
これまでにないほど面白く、シリーズ中最高傑作ではないかと思いました。

潮流

珍しく、何事も起こらない朝だった。
安積班がのんびりと仕事に向かおうとした矢先、
東京湾臨海署管内で立て続けに救急車の要請が入った。
残暑が厳しい8月下旬、誰もが熱中症ではないかと
疑ったが、搬送された3人が同じような症状で死亡してしまう。
解剖の結果、「リシン」という毒物が検出される。
そして、被害者の身体からリシンを仕込まれた金属球が発見された。
捜査一課との合同の捜査本部が出来、安積班も捜査に参加。
そんな中、臨海署へ犯人と思われるものからメールが届いた。
安積は、このリシン事件は過去に安積班が扱った事件が原因ではないかと疑う。
そこで、安積は、過去の事件を洗い出す。そして4年半前の事件に着目する。
それは、ジャーナリストが起こした傷害致死事件だった。
裁判で判決が出た後も収監中もその被疑者は一貫して無実を訴えていた。
もしや「冤罪」だったのか?
安積はこの事件を再捜査することを決心する。

リシン事件の犯人を追う展開と、かたや傷害致死事件の真相を
再捜査する展開。2重の展開がこの作品のミステリー的な面白さを際立たせている。

さらに、過去の事件を掘り返し冤罪の有無を暴こうとする安積班の
動きを徹底的に封じ込めようとする警察組織。
安積をとりまく刑事たちの思惑、警察内部の人間ドラマも緻密に描かれていて、
今までにない面白さを感じた!

安積の警察官としてのぶれない姿勢。
「警察だからこそ、間違いは正さなければならない」と訴える。
この言葉に深く深く感動!

安積班の絆の深さと安積係長の人間としての器の大きさに
またもや感動しました。
本当に面白かったです!

『潮流 東京湾臨海署安積班』
著者:今野敏
出版社:角川春樹事務所
価格:¥1,600(税別)