犯罪被害者をサポートする警察官を描く!「邪心」

堂場瞬一さんが、今一番力を入れている警察小説シリーズ
「警視庁犯罪被害者支援課」シリーズ第2弾が発売されました。
タイトルは「邪心」です。

第1弾を読んだ時、犯罪者を捕まえるのではなく、
犯罪被害者をサポートする部署があることに驚き、
そういう警察官がいることに感動しました。
小説の中では、この部署は微妙な立ち位置で描かれていて、
登場人物たちの心の葛藤がリアルでした。

今回は「リベンジポルノ」の被害にあった女性を
サポートする支援課のメンバーたちが描かれています。

邪心

「リベンジポルノ」。男性が元カノに復讐するために
仲睦まじかった時のショットをネットに流布させたりする嫌がらせだ。
知的でクールな大学院生・綾子から、犯罪支援課の村野らに
相談が持ち込まれた。
流布されたらしい写真を確認すると、それほど猥雑とは
言えず、対処に困った村野たち。
支援課のなかでも事件にするかどうか意見が割れた。

そんな時、被害者支援のボランティアをしている愛と
綾子が暴漢に襲われる事件が起こった。
愛はそれほどひどい怪我を負わなかったが、一緒にいた
綾子が頭を強く打ち、意識不明の重体に陥った。

綾子が支援課に相談したことから、村野たちも事件に
関わってゆく。捜査一課では「リベンジポルノ」の件を
事件にしなかったことを責められた。こんなことになり
村野は激しく後悔した。
そこで、村野は捜査一課の連中から邪魔者扱いされようと、
この事件に深くかかわってゆくのだ。
さらに、村野は被害者支援のボランティアをしている愛と
向き合うことが多くなり、過去の自分たちの関係を見つ直してゆく。

綾子、そして綾子を取り巻いていた男達を調べてゆくと
隠れていた人間の本性が現れてきた・・・
なぜこんな事件が起きたのか・・・?

人間の邪悪な心がリアルに描かれた傑作。
とても奥の深い警察小説。

『邪心 警視庁犯罪被害者支援課2』
著者:堂場瞬一
出版社:講談社(文庫)
価格:¥770(税別)