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2016-07-18

青杏スタッフの手仕事に出会う旅 国造焼訪問レポート

倉吉市に工房を構え、明治から代々続いている、国造焼さん。
現在は、三代目山本浩彩さん、四代目の佳靖さん、花野子(かやこ)さんの3人で、初代から続く伝統の技を今に伝えています。
今回は、シンプルで洗練されたデザインと、どのような食卓にもなじむ使い勝手のよさで青杏+でも多くのファンがいる四代目・山本佳靖さんにお話を伺いました。

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国造焼(鳥取県倉吉市) 四代目 山本佳靖さん
<プロフィール>
1981年 倉吉市に生まれる
2001年 父、三代浩彩に師事
09年 倉吉市美術展覧会 市展賞受賞
13年 鳥取県美術展覧会 県展賞受賞
日本陶芸展 入選
14年 日本伝統工芸展中国支部展 入選

◆作陶の道をすすむきっかけ

青杏スタッフ(以下・青杏):山本佳靖さんは、国造焼さんの4代目にあたりますが、最初から窯元を継ぐつもりだったんですか?

山本さん(以下敬称略):子どものときは特に継ぐつもりはなくて、土をさわった記憶もほとんどありません。
スポーツが好きで、小・中・高校と、サッカー部でした。
高校卒業後、一度県外に出ていたのですが、20歳頃に実家に戻ってきて、家を手伝うようになりました。

青杏:作陶に興味が出てきたきっかけは何だったんですか?

山本:展示会などで、自分の作品を買ってくれる人と接するうちに、やりがいを感じるようになり、作陶にのめりこんでいきました。

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↑こちらが、山本さんが初期に作った作品。色味も今とは違う雰囲気です。

◆粉引、線紋、しのぎ……それぞれのシリーズができるまで

青杏:国造焼さんは、シンプルな「粉引」、星座のような模様がかわいらしい「線紋」、細かい文様が特徴的な「しのぎ」などいろいろなシリーズがありますが、最初に作ったのはどの形ですか?

山本:しのぎと粉引です。白い釉薬メインで、バリエーションを出すために色々な技法を取り入れています。

青杏:粉引シリーズを最初に作ったのは、いつごろですか?
山本:24、5歳の頃です。シンプルな中にもオリジナリティを出すように、試行錯誤しました。

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↑初期に試作していた粉引シリーズ。フチの色やサイズ感など現在との違いが見受けられます。

青杏:初めて数年でここまで作れるって、凄いですよね。

山本:毎日土に触って、日々研究しました。形をミリ単位で変えるだけでも、印象が全然違ってくるんです。

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↑現在の粉引シリーズ。シンプルなデザインと使い勝手の良さで親しまれています。

山本:2番目にできたのが面取り、その次に作成したのが線紋シリーズです。

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青杏:星座みたいな模様が特徴的ですよね。

山本:実は、線紋シリーズは偶然できあがったものなんです。
窯出ししたら、釉薬が剥がれて模様が入っていたことがあって、それがヒントになりました。
家族からも、「模様として使えるんじゃないか?」とのアドバイスがあり、改良して今のような形になりました。
いまは針のようなもので模様を入れています。

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しのぎシリーズの製作も実演していただきました。細かい文様を刻み込んでいきます。

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灯油窯。焼き上がりまでの約12時間、つきっきりになるそうです。

◆日々研究!新しい作品への意欲

山本:釉薬の研究もしていて、白以外の色も試みています。

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青杏:綺麗な青色ですね!それぞれ微妙に色が違う……

山本:少しずつ配合を変えて、色々と試しています。本も参考にしながら研究しています。

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青杏:山本さんが一番気に入っているシリーズは、どれですか?

山本:どれも好きですが、一番好きなのは、粉引ですね。
自分でも使ってみて、使い心地などを確かめています。

青杏:お酒も飲んでみるんですか?あまり強くないと伺っているんですが…(笑)

山本:最近、ちょっと飲めるようになりました(笑)ぐい飲みとか、自分でも使って試してみたいので……。作業終わりに少し飲むことはありますね。

青杏:作業はどれくらいの時間されているんですか?

山本:朝の9時半くらいから作業を始めて、夜の11時くらいまで作業しています。

青杏:すごい集中力ですね。

山本:1日があっという間に終わってしまいますね。時間が足りないと思うことが多いです。
熱中しているので、ストレスを感じることもあまりないですね。

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落ち着いた語り口のなかから、作陶に対する情熱を感じる、山本佳靖さん。
展示会期間中などでも、毎日土を触り、精進しているそうです。
定番として愛されている作品はもちろん、日々の研究から作り出される新しい作品も要注目です。
青杏+のサイトでも一部商品をご紹介していますので、こちらも是非ご覧下さい。

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粉引ボウル(小)http://www1.imaibooks.co.jp/seian/product/0000005820290

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白釉線紋小鉢http://www1.imaibooks.co.jp/seian/product/5767663

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白釉面取タンブラー(切立斜)http://www1.imaibooks.co.jp/seian/product/5767960


 

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国造焼
〒682-0915 倉吉市不入岡390
TEL:0858-22-8388

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