いか文庫×べるを ~あなたの思い出の本、聞かせてくれなイカ?~ レポート

夏休みも後半の2015年8月22日(土)、新しく出来た「本の学校 本の庭」コーナーで、エア書店「いか文庫」の店主さん&バイトちゃんと、テレビやラジオでお馴染みのべるをさんをお迎えして、思い出の本について語るトークショーを行いました。

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エア書店「いか文庫」とは、本や本屋を楽しむ活動、いか文庫で繋がる「イカリング」を広げる活動している架空の本屋さん。
時には大学のイベントに出かけたり、時には本当の本屋さんでブックフェアを開いたり。
実際のお店はないけれど、様々なところに出向いて本の楽しさを伝える活動をなさってます。

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今回のテーマは「あなたの思い出の本、聞かせてくれなイカ?」。
3人に思い出の本を紹介していただきました。

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まずは、べるをさんから。
『江分利満氏の優雅な生活』山口瞳(ちくま文庫)
『中原中也詩集』中原中也(新潮文庫)
『メメント・モリ』藤原新也(三五館)

『江分利満氏の優雅な生活』は、高度成長期のサラリーマンの生活を描いた作品。作中、“死ぬまでに短編小説を世にひとつ残す事業を行えるだろうか”と主人公が自分の夢を語る箇所に、本を出したい、作家になりたいではなく、「1冊の短編集を出したい」というたったそれだけというところがかっこいいと感銘を受けたそうです。
『メメント・モリ』は大学の先生の勧められた本。
写真とそれに添えられた一文で構成された作品で、生死観がガラリと変わってしまう衝撃を受けたそうです。
「先生や、友達に教えてもらったりした学校で出会った本は、自分の力では出会えなかった本」というべるをさんのひとことが印象的でした。

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次は、いか文庫店主さん。
『父の詫び状』向田邦子(文春文庫)
『眠る盃』向田邦子(講談社文庫)
『マリカのソファー/バリ夢日記』吉本ばなな(幻冬舎)
『永遠の詩3 山之口貘』山之口貘(小学館)
『風が強く吹いている』三浦しをん(新潮文庫)

向田邦子さんの作品は、図書館でなんとなく手にとったのがきっかけで知ったそうです。
他の作家さんには見られないような文章を書く作家さんで、するする読めるとおっしゃってました。
「本屋として、一生おすすめしていきたい作家さんであり、こんな女性になれたらいいなぁという憧れの女性」という店主さんの力強い発言も飛び出しました。

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また、山之口貘さんの詩は、フォークシンガー高田渡さんの歌の歌詞が知るきっかけだったとか。
山之口さんは、人生からなにからとても面白くておちゃめ。
自分の境遇を正面から肯定し、貧乏を楽しみ、結婚がしたくなれば新聞に求婚広告を出すような人で、生き様もカッコよく、店主さんが今一番夢中になっている人だそうです。

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そしてバイトちゃんが紹介してくださったのはこちら。
『僕たちは世界を変えることができない。』葉田甲太(小学館文庫)
『自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか』岡本太郎(青春文庫)
『点をつなぐ』加藤千恵(角川春樹事務所)

『僕たちは世界を変えることができない。』はバイトちゃんが学生の頃に読んだ本で、150万寄付してカンボジアに学校を建てようとする大学生が主人公。
実際には学校を建てるだけでは現地の人は喜ばないという現実を世の中に知らせるために、当時は自費出版で出されていて、その姿勢に感動したそうです。
最初は小さな自費出版だったものが、本になり、果ては有名な俳優が出演するような映画になり驚きとともにすごいなぁと感じたんだとか。
また、岡本太郎さんの本のお陰で、バイトちゃんはいか文庫に参加することになったというエピソードも飛び出しました。
“自分の心を動かされるものがあったら、計画性なんて考えないでいいからとにかくやってみればいい”という岡本太郎さんの言葉に動かされ、そもそも大好きだったイカがどれだけ素晴らしいかを周りにアピールしていたら、店主さんと知り合うことになったんだとか!
まさに、人生を変える本となった1冊ですね。

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後半では、お客様からメールや投稿箱にいただいた「人生を変えた本」もご紹介。
「ペンネーム○○さん」なんていう、べるをさんの語り口調のお陰で、なんだかラジオの公開録音みたいな雰囲気も。
教科書に載っていた忘れられない物語や、子供の頃に読んだ本の影響で、大人になってからその物語の舞台になった街に出かけたお話など、誰もがなにかしらひとつはそういうエピソードがあるんだなぁとじーんとしました。

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店主さん、バイトちゃん、そしてべるをさん。
楽しい時間と貴重なお話をありがとうございました!

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