みをつくし料理帖シリーズ完結記念 高田郁さんトーク&サイン会 レポート

ピンと張り詰めた冬の空気を感じられるようになった 2014年11月29日(土)、3年ぶりに再び米子の地で、高田郁さんにトークイベントを行っていただきました。
高田郁さんの3年前のトークショーは、2011年3月19日に錦町店で予定されていました。
その直前、3月11日に東日本大震災がありました。
震災直後だったため、そのトークショーを予定通り行うかどうか私たちも非常に悩みました。
その際、高田さんが「こんな時勢だからこそ、トークショーをさせてください」とおっしゃってくださって、予定通り開催することが出来ました。
あの時は私たちも高田さんのお申し出が本当にありがたくて、また、お客様にも喜んでいただけて、とても嬉しかったことを今でも覚えています。
実は、高田さんもそのトークショーのことをすごく大事に思ってくださっていたそうで、「みをつくし料理帖」シリーズが完結した時に、こっそりプライベートで米子にお越しいただく計画をなさっていたそうです。
それで、今回お越しいただくことになったのですが、「みをつくし料理帖」シリーズの出版元・角川春樹事務所のご担当が、「せっかくですから、プライベートではなく、読者のみなさんに会いましょう!」とご提案くださって、ふたたび米子で高田さんのお話がうかがえることになりました!

この日、盛大な拍手の中、登場された高田さんをよく見ると、なんと今井書店のエプロン姿!
色々な書店でサイン会などされる際、「街の本屋の応援団長」として、そのお店のユニフォームを着用なさることがあるそうなんです。
今回も今井書店のエプロンを締めて、颯爽とご登壇いただきました。

※以下、「みをつくし料理帖」シリーズの内容に触れる箇所がございます。小説を未読の方はご注意下さい。
※高田郁さんのご意向により、顔写真は掲載しておりません。

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参加されたお客様は、ほとんどの方が「みをつくし料理帖」シリーズをお読みになっているとのことでしたので、トークショーの最初からシリーズの裏話でスタートです。
時代小説の世界に入られたとき、「売れる時代小説には3つの条件がある」ということを、とある出版社の方から言われたそうです。
江戸市中が舞台で、ミステリー要素があって、剣豪もの。しかし、高田さんが書こうとしているものはどれにも当てはまらない。
でも、売れるものか、書きたいものかと比べた時に、やっぱり書きたいものを書こう、売れるものは分からないけれど、刃物を出すなら包丁にして、料理で人を幸せにする話を書きたいとお決めになったそうです。
当時の担当編集の方が高田さんのお話を聞き終えると、深く頷いて「面白そうですね。是非やりましょう!」と一言。
こんな経緯で生まれたのが「みをつくし料理帖」シリーズとのことです。

「みをつくし料理帖」シリーズに出てくるお料理は、全部高田さんが実際に作ってみてお書きになっているそう。
生麩をお作りになった時は、小麦粉をこねて洗ってを9回繰り返したら、腕がぶらんぶらんになるくらい痛くなってしまったんだとか。
そこで病院に駆け込んだところ、ご担当のお医者様からは、「腱鞘炎だね。作家だから仕方ないね」と言われたとか。
実は小説を書いて痛くなったわけではなかったのよー、と会場の笑いを誘っていらっしゃいました。

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「みをつくし料理帖」シリーズは読者の方からたくさんお便りが届くそうです。
そして、小松原派と源斉派と真っ二つに別れるのだそうです。さらにいえば、その2つの派閥は仲が悪い!?(笑)
でも両方が認めているのは「翁屋」の料理番・又次で、7巻が出た時には、小松原派も源斉派も一致団結(?)して、「先生!ひどい!」「もう読まない!」なんてお便りが届いたそうですよ。

9巻の『美雪晴れ』が出た時には、書き下ろし作品としては異例の「次巻完結」という文字を入れることにしたそうです。
ある読者の方からのお手紙に「自分は人生の後半に差し掛かったが、「みをつくし料理帖」の完結を見ずには死ぬに死ねない」と書いてあったそう。
その他にも、同じような声がたくさん届いていて、担当編集の方と相談してその一文を入れることにしたとのことでした。
高田さんの優しさですね。
「でも、10巻終わって、これでどうなってもいい!と思われたらそれは切ないので、番外編を書きます!でもいつになるかわからないから、みなさん油断せず健康に気をつけて、長生きして付いてきてくださいね」とおっしゃってました!やったー!番外編ですよ!楽しみが増えましたね。

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『天の梯』の巻末には、10年後の料理番付表が付いています。
大半が実際に江戸時代に料理番付で取り上げられていた料理屋さんですが、ところどころ高田さんの遊び心が記されています。
西の大関に注目です。
「“病知らず”、源斉先生と知恵を出し合ってるんでしょうね」と高田さん。
また「一柳改メ天満一兆庵」とあります。「佐兵衛さん、あの後すごく精進したんでしょうね」とヒントを下さいました。
これはもう、番外編を読まない訳にはいきませんよね。

他にも「みをつくし料理帖」シリーズ以外の作品の内緒話も聞かせてくださいました。
実は、『銀二貫』の井川屋の店主・和助と番頭・善次郎の名前は、なんと!高田さんのご先祖様のお名前から取って名づけられたそうです。これにはびっくり!!
また、『あい 永遠に在り』を出された時のお話も面白かったんですよ。
それまで出されていた作品は主に文庫だったので、読者の方もリーズナブルで手に取りやすかったんですが、『あい 永遠に在り』はハードカバーの単行本での出版だったんです。
高田さん、実はすごく小心者で、その当時、ハードカバーは高くて売れないという夢を延々ご覧になったそうなんです。
風呂敷にぎっしり『あい 永遠に在り』を詰めて背中に担ぎ、担当編集さんと吹雪の中を行商して歩いている。
大雪を掻き分けながら前を歩く担当編集さんの足元がズクズクになってしまっていて、「次の街に着いたらスニーカーを買ってあげるからね」と励まして歩き続ける夢だったそう。
それを、夢にも出てきた担当編集さんにお話されたら、「高田さん、ひとつ言ってもいいですか?スニーカーはいりません。長靴にしてください」と冷静にひとこと(笑)
「こっちはこんなに心配しているのにひどいでしょー!?」って、会場も爆笑のエピソードを披露してくださいました。

その他、高田さんの小説の作り方もとても詳しく語っていただきました。
巧妙な伏線の秘密を教えていただく度に、会場からは「おぉ~!」と感動と驚きの声が。
これは、参加されたお客様だけの秘密。「みをつくし料理帖」を最後まで読んだ人も、もう一度1巻から読むと新たな発見が絶対ありますよ!

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サイン会では、その都度立ち上がってファンの方お一人おひとりの手を取って、「○○さんに良いことがたくさんありますように!」と全員におっしゃってました!
これには、私たちスタッフも大感動!
声を掛けられたお客様も涙を浮かべる方がいらっしゃったのですが、私たちも思わずもらい泣きしてしまいました。
高田郁さんのファンが熱いのは、高田さんご本人のこの素晴らしいあたたかさがあるからですね。

そして「街の本屋の応援団長」はこんな感動も下さいました!
今井書店全店分のサイン入り色紙を書いてくださったんです!!!

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20店舗分、しかも一枚一枚、絵が違うんですよ!!! 本当に感激しました。
これは、今井書店各店にそれぞれ展示してますので、ぜひ店頭で見てくださいね。(CD店舗は除きます)

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感激連続のトークショーとサイン会でした。
高田郁さん、とっても濃密な時間をありがとうございました!

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