第6回「読書交歓会」レポート

第6回「読書交歓会」レポート
2月14日(土)なんとバレンタインデーに! 第6回「読書交歓会」を行いました。
テーマは「冬」。女性3人、男性4人の計7人。まだまだ厳しい寒さが続く中、
冬に関する本がたくさん紹介されました。
本日の読書交歓会のお供は、「森のコーヒービーンズチョコレート」
チョコ味の後にくる、コーヒーの苦みがお口の中をきゅっとしめてくれる、大人の味!

それでは、今回の交歓本はこちら~

●フィンランドの冬!(男性)
・「白夜の国のバイオリン弾き」小野寺誠 講談社文庫 ¥583(税別)
著者が実際にフィンランドで暮らしたことをエッセイに綴った。著者はルポライターだが、バイオリンが弾けるということで、フィンランド民謡の楽団に入り、その音楽の素晴らしさ、人々の絆が描かれている。熱気に包まれたフィンランド民謡。バイオリンの名人の音が聴いてみたくなる。
最近、フィンランドでは、へヴィメタルが流行っているらしい噂・・・?
・「つむじ風食堂の夜」吉田篤弘 ちくま文庫 ¥580(税別)
冬と言うキーワードはひとつも出てこないけど・・・・。風変わりな「つむじ風食堂」に集まった人たちが、ただただおしゃべりをする。でもその内容がとても面白い!「二重空間移動装置」なる「万歩計」を販売する登場人物。そのやりとりが良い。
映画化されてます。映画もとても良かった。
・「白い幻想」前田真三 ¥1,200(税別)
写真集。ドラマ「北の国から」が流行ったころ、結構話題になっていた。とても美しい冬景色の写真集。

●冬を感じるミステリー 
・「最後のディナー」島田荘司 文春文庫 ¥562(税別)
御手洗潔探偵シリーズ番外編、3つの短編を収録。その中の「大根奇聞」が印象に残る。
主人公は、御手洗探偵の助手(ホームズでいうとワトソン的役割)の石岡氏と女子大生の犬坊里美。昔、飢餓状態の僧侶を救うため、桜島の噴火の灰で覆われた畑から老婆が大根をどうやって見咎められずに盗んできたのか?
御手洗潔がテレビドラマ化。2時間のスペシャルドラマ。「傘を折る女」。主演・玉木宏、堂本光一、御手洗潔シリーズ初のドラマ化。楽しみ。
・「骨は珊瑚、眼は真珠」池澤夏樹 文春文庫 ¥419(税別)
こちらも短編集。中でも「北への旅」が良かった。誰もいなくなった地球上で最後に迎えるクリスマス。最後にツリーに灯がついた瞬間に受け取った一番つらいプレゼントとは?

●今年‘冬’に読んだ本(男性)
・「工場日記」シモーヌ・ヴェイユ 筑摩文庫 ¥1,200(税別)
著者は哲学者。フランスでは哲学の教師はエリートじゃないとなれない。このシモーヌさんが実際の工場で働き、その体験を淡々と綴る。どれだけ悲惨な現場なのか伝わってくる。自らが体験したことで伝えたい。工場で単純作業を担当する人は無関心で人に対して冷たくなり、人間性が失われる。しかし職人が集まると関係が良好になる。もの凄い感受性の持ち主で、最後は自ら食を断ち亡くなってしまう程。
・「重力と恩寵」シモーヌ・ヴェイユ ちくま文庫 ¥1,200(税別)
断想集。苛烈な自己無化への志意に貫かれた独自の思索と、自らに妥協をゆるさぬ実践行為で知られる著者。独特の言い回しが理解しにくい。実存主義のボーヴォワールとのやりとりは常にかみあっていない。

●冬なので‘中原中也’(女性)
・「汚れつちまつた悲しみに・・中原中也詩集」中原中也 集英社文庫 ¥380(税別)
魂の詩人。凄く感受性が強い。中也の詩は何もかも無くなってしまう感じが良い。
そして雪の情景が鮮烈!

●コロンビアからアンデス山脈を越えてペルーへ!(男性)
・「EDEN~It’s an Endless World!~①~⑱」遠藤浩輝 講談社アフタヌーンコミック 1巻~7巻各¥505 8巻~17巻各¥514 18巻\533(税別)
未知のウイルスで人類が絶滅。孤島で暮らす、科学者とエノアとハナの3人。だがある日人類は絶滅などしていない事実を知る。科学者が死んだあとエノアとハナは孤島をでて二人で暮らす。(ここまでが1話)第2話はいきなり20年後。二人の息子・エリヤは、コロンビアからペルーへ!なぜそんなことになったのか?徐々に判明してゆくが、完全にわかるのは8巻まで読んでから!
著者の社会的主張が魅力で、非常に文学的な漫画。
原父連邦は世界中の国々を併合しようとする。ときには他国の文化を破壊し地球連邦政府という大きな政府を作ろうとしている。少数民族の弾圧、民族浄化、宗教対立、テロ、経済格差、麻薬、などあらゆる世界的規模の問題が盛り込まれ、ちょっとお腹いっぱい!?
作者は「漫画は自分の人生の切り売り」と言っていた。作者はどんな人生を送っていたか気になる・・。攻殻機動隊が好きな人にはおススメ!ただし、「人がゴミのようだ!」と言うシーンが多くあるので、そういう描写が苦手な人にはおススメしません。

●‘冬’みたいに寒々とした作品(女性)
・「終の住処」磯崎健一郎 新潮文庫 ¥340(税別)
芥川賞受賞作。しかしこの作品、私にはこの感覚がわかりません。30歳を過ぎて結婚した夫婦の遠く隔ったままの歳月。夫婦の日常を淡々と描かれて、その内容に何も感じられなくて落ち着かなくて、とても寒々しい印象の作品だった。結婚って、人生の冬???
・「吉野弘詩集」吉野弘 ハルキ文庫 ¥680(税別)
吉野さんの代表作、‘祝婚歌’が今、注目されていますが、私は「I was born」が好き。「生まれさせられる」というニュアンス。人間は受け身の存在なんだねというくだりがとても気にいってます。

●極寒の日本アルプスが舞台の冒険小説!冬はこれしかないでしょう~(女性)
・「ホワイトアウト」真保裕一 新潮文庫 ¥840(税別)
日本最大の貯水量を誇るダムが、武装グループに占拠された。職員、ふもとの住民を人質に、要求は50億円。残された時間は24時間!荒れ狂う吹雪をついて、ひとりの男が敢然と立ち上がる。同僚と、かつて自分の過失で亡くした友の婚約者を救うために。
織田裕二主演で映画化になった。なぜか、銃を発砲するシーンとか、テロリストのくだりとか日本の中でこれはありかなという描写もあったれど、圧倒的な描写力、緊迫感あふれるストーリー展開は、細かいことに文句をつける間もないくらい面白い、一気読みの本。雪山の恐ろしさも凄いインパクト!吉川英治文学新人賞受賞。

「冬」を色々な解釈で紹介して頂きました。詩集、哲学書、ミステリー、エッセイにコミック。さらに純文学まで、幅広いジャンルに盛りだくさんの作品。気になった本、ぜひ手に取ってみてくださいね。

さて3月は、読書交歓会はお休みして、「第1回読まず嫌い読書会」を行います。
世に言うベストセラー作家なのに、1作品も読んだ事がない、あまりに話題になり過ぎて敢えて読まずにいた、そんな作家や作品ありますよね。そんなあなたへのアマノジャク企画。それじゃ1回は読んでみようということで、第1回目は「村上春樹」の「国境の南、太陽の西」を課題図書にしました。村上春樹を読んだ事ない人はもちろん、村上春樹の魅力を存分に伝えてやるゾ!!!というファンも大歓迎です!
そして、4月は「スタート」というテーマで「第7回読書交歓会」を行います。あなたのおすすめの本をぜひぜひご紹介ください。

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