2重の密室殺人の謎を暴く!吉敷竹史シリーズ「北の夕鶴2/3の殺人」

島田荘司さんの人気シリーズは御手洗潔のほかに
警視庁捜査一課・吉敷竹史シリーズがあります。

はまさきは以前「奇想、天を動かす」を読んでから
この吉敷刑事シリーズも大好きになりました。

御手洗潔は、ある意味、あまりにも浮世離れしていて、
時々、人間?と思うことがありますが、
この吉敷はとっても人間味あふれる刑事。
いつも珍妙・奇妙な捜査を担当することになり
御手洗なみの頭の回転でトリックを見破る達人。

北の夕鶴

5年ぶりに別れた妻・通子から電話がかかってきた。
吉敷は突然のことだったので驚き、その電話にただならぬ
気配を感じた。
そして電話の内容から、夕鶴9号に乗ると考えた吉敷は、
通子を追って上野駅に急いだ。
そこで発車直後の列車内に彼女の姿を見つける。
しかし、吉敷は悲しそうにうつむく通子に声をかけることが出来なかった。

そして、翌日列車内で通子と思われる女性の死体が発見される!
吉敷は休暇をとり青森へと急いだ。
青森の警察で遺体の確認をすると、その女性の遺体は通子とは
全く別の人物だった。
生きていたのかと胸をなでおろす吉敷だったが、また別の不安が募った。
通子が乗っていた寝台列車に別の女性の遺体。
殺害したのは通子なのか・・・?
だが通子は何処へ消えたのか?
夕鶴9号は、終点の青森の前に盛岡に停車する。
通子はそこでおりたのではないか・・・・。
吉敷は盛岡へと飛ぶ。そこでなじみのコーヒー店で通子の情報を得ると、
吉敷は北海道へと向かった。
そこで、通子は調金の店を出していたらしい。
だがそのあと、吉敷は通子に関する驚愕の事実を知る!
なんと、彼女は知り合いの兄弟の妻たち二人を殺害した
という容疑がかかっていたのだ!!
通子が殺人を犯す訳がない。吉敷は通子の無実を晴らすため
真犯人を突き止めようと奔走する。

別れた妻に対する吉敷刑事の恋心が切ない。
夫婦生活が破たんして別れた訳じゃない。
吉敷が忙しさを理由に通子を孤独にしてしまった・・・。
その思いがあまりにも強すぎて、今度こそ彼女を
守り抜くと誓うシーンは泣ける。

さらに寝台列車のトリック。
そして、通子が殺害したとされる事件。
密室状態の通子の部屋に、女性二人の刺殺体がある。
だが、管理人の証言で二人が部屋に入った形跡はない。
どうやって通子の部屋に入ったのか?
殺害の動機は一体何か?

何者かに襲われ半死半生の吉敷が、数々の謎に
命を懸けて挑む!!

哀しく切ない通子の過去に心が震え、
意表をつくトリックにえええ~っと、叫びたくなる!
面白すぎる、本格推理の超!超!傑作。

『北の夕鶴2/3の殺人』
著者:島田荘司
出版社:光文社(文庫)
価格:¥590(税別)