まんまとはまりました!『ブラッド・ブレイン1 闇探偵の降臨』

小島正樹さんの「ブラッド・レイン」シリーズ
第1巻「闇探偵の降臨」を読みました。

読み終わったら思わず面白~いとつぶやいて
しまいました。

警視庁捜査一課の百成は、確定死刑囚を収監した
陸の孤島「脳科学医療刑務所」を訪れた。
そこには未解決事件を次々と解決する「闇探偵」
と呼ばれる月澤凌士がいた。

確定死刑囚が警察の捜査にアドバイスを
することは、警察の中でもごくわずかな
人間しか知らない。

百成は、警察上層部の命を受け、奇怪な
事件や難事件が発生すると月澤に面会し
事件のあらましを話すのだった。

百成は、月澤に団地の二階の天井から
聞こえてくる奇妙な声の謎を解いてほしいと依頼する。

その奇妙な出来事は、連鎖する怪事件の序章だった。

何の関連性も見いだせなかった、それぞれの事件。
月澤の推理でやがてひとつに繋がってゆく。

月澤凌士という強烈なキャラクター!
緻密過ぎるほど練り上げられた伏線。
そして、想像のはるか上をゆくトリックの数々。
さらに、どんでん返しにもほどがあるだろう~
と叫びたくなるほどの圧巻の逆転劇。

文句なく物凄く面白いミステリー!
あ~はまりました。
2巻を読むのが楽しみです!

『ブラッド・ブレイン1 闇探偵の降臨』
著者:小島正樹
出版社:講談社(タイガ文庫)
価格:¥720(税別)

濃密な人間ドラマが織りなす哀切のミステリー『罪と祈り』

貫井徳郎さんの新境地です。
こんなに心に沁みるミステリーを読んだのは
久々です。

濱仲亮輔は、警察から父の死を知らされた。
父・濱仲辰司は、墨田川で亡くなっていたらしい。
父の突然の死に亮輔は言葉を失う。

辰司は元警察官だった。当初は事故かと思われたが、
側頭部に殴られた痕が見つかった。

真面目で正義感溢れる辰司が、なぜ殺されたのか?
父の殺害に疑問を持った亮輔は、一人調べ始める。

一方、亮輔の幼馴染みで刑事の賢剛は、警察官として
尊敬していた辰司の死の謎を追う。
賢剛が幼い頃、父・智士が自殺した。
その後、智士の親友だった辰司は、賢剛を
我が子のように可愛がってくれた。

賢剛は自身の父・智士の自殺とのつながりを疑う。

父親たちの時代はバブル全盛期の時代だった。
そして、当時世間を揺るがした未解決誘拐事件。

亮輔と賢剛、辰司と智士、現在と過去が
交互に描かれ事件の真相に迫ってゆく。

濃密な人間ドラマをバックボーンに、
現在と過去、二つの事件の過程が描かれる。
その謎解きの面白さもさることながら、
バブルに翻弄された人間たちの葛藤が
圧倒的な臨場感をもって描かれ心に響く。

著者、2年ぶりの最新長編は、これまでにない
傑作ミステリー。

『罪と祈り』
著者:貫井徳郎
出版社:実業之日本社
価格:¥1,700(税別)

鳥取県日野郡日南町が舞台の驚愕ミステリー!「日南X」

米子在住の作家・松本薫さんの日野郡三部作目は
ミステリー小説!「日南X」です。

以前、時代小説「謀る理兵衛」を読みましたが、
キャラクター描写、時代背景、ストーリー展開、
どれも素晴らしく、ものすごく面白かった印象が
あります。

この「日南X」も大変面白いミステリー小説です。

時は平成4年。大手新聞社の記者・牟田口は、
米子支局に異動となり、高校生の娘と二人で米子で
暮らすことになった。

ある日、部活途中の娘が教師と部活仲間とともに、
赤猪岩神社でナイフが刺さった男性を発見!
すぐに警察に連絡した。警察官を連れて現場に
戻ってきた娘たちは、驚愕する。
倒れていたはずの男性の姿が消えていたのだ!

多数の目撃者がいるにも関わらず、警察は
見まちがえでは?と言って去っていった。
だが、それは謎に満ちた連続殺人、はたまた
拉致事件の前兆だった。

古事記ゆかりの赤猪岩神社で起きた遺体消失と
不可解なメッセージから始まるこの物語。

主人公の大手新聞社支局の新聞記者が地元警察の
ベテラン刑事とタッグを組んで難事件に挑む!

オオクニヌシ伝説、日南町の影の歴史、
地元ゆかりのエピソードを背景に、過去と
現在が繋がってゆく。

そして、調査の過程で明かされる謎の人物たち。
日南Xとは誰なのか?

また、非常時の中だからこそ強まる家族の絆や、
苦難に巻き込まれた友達との交流・・・。
真の友情とは何かを考えさせられる。

絶妙なタイミングで配置された伏線の数々に翻弄
されつつ、最後の最後まで読ませる面白さだ。

たった一つの謎を残したままのラスト….。
それがこの物語にふさわしいと感じた。

『日南X』
著者:松本薫
出版社:今井出版
価格:¥1,500(税別)

衝撃のクローズドサークル!第2弾「魔眼の匣の殺人」

前代未聞のクローズドサークルで起こる連続殺人事件の
顛末を描いた「屍人荘の殺人」。
その衝撃も冷めやらぬうちに新たな作品が登場!
「魔眼の匣の殺人」だ。

人里離れた「魔眼の匣」と呼ばれる施設を訪れた
新生ミステリ愛好会の剣崎比留子と葉村譲。
彼らは、班目機関の拠点施設で何が行われいたのか
調べるためにここを訪れた。
過去に、超能力研究が行われていたらしいのだ。

その日は彼らの他に、高校生の男女、ツーリング
途中の若者、派手な装いの女性、頑固そうな男性と
その息子らしい小学生くらいの男の子が、
「魔眼の匣」を訪れていた。

彼らを迎えたのは、この施設で暮らす老女。
預言者と恐れられている。
彼女は訪問者に「あと二日のうちにこの地で
四人死ぬ」と予言した。

そして、外と唯一繋がる橋が燃え落ちた後、
予言が的中するかのように、一人が謎の死を遂げる。

またしても閉じ込められた空間で、訪問者たちは
パニックとなり、死の恐怖が彼らを襲う!
そんな中、訪問者の一人、女子高生が予知能力者
だと告白する。

42時間というタイムリミットで、剣崎らは
生き残ることが出来るのか?
事件の謎を解明できるのか?
不気味な「魔眼の匣」での連続殺人!
そしてまさかのまさかの真相に絶句する!

「屍人荘の殺人」に引けをとらない面白さだ!!!

『魔眼の匣の殺人』
著者:今村昌弘
出版社:東京創元社
価格:¥1,700(税別)

とにかく面白くて、凄い!本格ミステリ「ジェリーフィッシュは凍らない」

遅まきながら、第26回鮎川哲也賞受賞作
市川憂人さんの「ジェリーフィッシュは凍らない」を読みました。
凄く面白かった。ミステリーが好きなら絶対に読むべき!!

特殊技術で開発された、小型飛行船
「ジェリーフィッシュ」。
開発者のファイファー教授ほか技術開発メンバー
6人は、新型のジェリーフィッシュに乗り込み、
長距離の航行性能最終試験に臨んでいた。
しかし、航行試験中、閉鎖状況の艇内でメンバーの
一人が死体で発見される。
パニックに見舞われたメンバーたち。
そんな彼らをさらに悲劇が襲った!
自動航行システムが暴走!そして飛行船は雪山に
不時着した。脱出不可能となった状況下で
次々とメンバーが死んでゆく….。

飛行機の代わりに、飛行船が進化した
パラレルワールドが舞台。
そして、極寒の雪山に不時着し、脱出
不可能となった「ジェリーフィッシュ」の
艇内という斬新でオリジナリティあふれた
クローズドサークルの設定が一番の魅力!

また、切れる日系人刑事とグダグダの女性上司との
バディぶりが、この作品をよりいっそう面白いもの
にしている。

彼らの捜査の過程と、交互に描かれる艇内の殺人事件。
その流れで次第に真相が明らかになってゆくが….。

メンバー全員は殺されたのだ。一体誰が犯人なのか?

うひゃ~!!その真相が凄すぎて、何度も
行きつ戻りつしながら読んだ。
これは、再読必須です。

『ジェリーフィッシュは凍らない』
著者:市川憂人
出版社:東京創元社(文庫)
価格:¥780(税別)

新たなシリアルキラー登場か!?『SROⅧ 名前のない馬たち』

富樫倫太郎さんの「生活安全課0係り」シリーズ
はテレビドラマ化され、人気を博している。
ちょっとコメディタッチで描かれた警察小説
なので、ドラマにはピッタリ!大好きなシリーズ。

そしてさらに面白いのがこの「SRO警視庁広域捜査専任
特別調査室」シリーズだ。
久しぶりに新刊が発売された。シリーズ8巻目は
「名前のない馬たち」。

東京留置所特別病棟に入院していた
最凶のシリアルキラー・近藤房子は、
担当看護師を殺害し、脱走した。
そして、近藤の魔の手は、その看護師の
娘に近づいていた。

同じ頃、SROのメンバーにも近藤の影響が広がっていた。
誰もが疲弊していた。

そんな中、SRO室長・山根新九郎は、友人と一緒に
行った乗馬クラブで妙な事件が続いていることを知る。

関東近県の乗馬クラブのオーナーが相次いで亡くなっている
という。いずれも死因に不審な点は見られないが、
そのオーナーと一緒に必ず馬が一頭死んでいるのだ。
そんなことはめったに起きないらしい。

山根の頭の中に新たな事件のイメージが広がる….。
山根の指揮のもと、独自に調査を始めたSROのメンバー。
やがて、北海道のある牧場にたどり着く。

最凶シリアルキラー・近藤の調教ゲームは続く。
新たな殺人鬼が生れるのか?

何かを誰かをとても大切に考えることは良い。
しかし、それがひとりよがりになってはいけない。
あまりにも一つの部分しか見なかったら….?。
恐ろしいことになるかも知れない….。

8巻も面白く、堪能できました!!

『SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室Ⅷ 名前のない馬たち』
著者:富樫倫太郎
出版社:中央公論新社(文庫)
価格:¥820(税別)

日本人探偵とアメリカ人刑事が活躍!異色の「バディ」もの。

堂場瞬一さんの「over the edge」と「under the bridge」
を読みました。

NY市警緊急出動部隊の分隊長、モーリス・ブラウンは、
大手IT企業のCEOから、日本へ派遣した上級
副社長・ホワイトの捜索を依頼される。
ホワイトとブラウンは戦友だったが、しばらく
連絡をとっていなかったので、ホワイトが日本へ
行ったことも知らなかった。そのホワイトと
突然連絡がとれなくなったらしい。
表向きは日本の警察の視察という名目で来日
したブラウンは、秘かにホワイトの捜索を始める。
しかし、動き始めた矢先、何者かに襲われる。
それを助けたのは元刑事の探偵・濱崎だった。

日本でのホワイトの失踪に事件性をかぎつけた
濱崎は、ブラウンを手伝うと言った。
ただ面白いからという理由に反感を覚えた
ブラウンだったが、外国で自由に動けない
こともあり、いつのまにか二人は手を組む。
「over the edge」

マンハッタンで発生した立てこもり事件。
日本人女性が人質になったが、無事に救出された。
その事件について上層部から捜査を依頼された
NY市警のブラウンは、事件を追うことに。
一方、日本を脱出しNYに潜伏した探偵・濱崎は、
解放された人質が旧知のヤクザの情婦だったことを
知り、その立てこもり事件には裏があるとにらみ、
濱崎とブラウンの二人は、今度はNYで同じ事件を
追うことに・・・。
「under the bridge」

ヤクザとの不敵切な関係を指摘され、警察官の
辞め、探偵になった濱崎は、何でも屋のような
仕事で日々暮らしている。
片や、軍隊で厳しい訓練に耐え、その後NY市警の刑事に
なったブラウンは、まじめでちょっと融通が効かない。
そんな二人が仲良く捜査をできるわけがない。

友人同士にもなれない、お互い分かりあえないが、
なぜかお互いを放っておけない。
そんな微妙な距離感を保ちながら、事件を追う二人。

警察小説としての面白さが十分に堪能できるうえ、
まじめなブラウンと斜に構えた皮肉っぽい濱崎の
異色の「バディ」ぶりがとてもかっこよく思える。
二人の軽妙な会話も楽しめる!
ハードボイルドタッチのミステリー。

①『over the edge』
②『under the bridge』
著者:堂場瞬一
出版社:早川書房
価格:①¥800 ②¥820(いずれも税別)

「虚構推理」の世界がもっと楽しめる!「虚構推理短編集」

以前、タイトルに惹かれ手に取った、長編「虚構推理」。
鉄骨を振るい人を襲う亡霊「鋼人七瀬(こうじんななせ)」
のミステリーを一眼一足の美少女が解決するという
奇想天外な設定に驚愕した。

その「虚構推理」の短編集を発見!
一眼一足の美少女・岩永琴子の推理が存分に楽しめる!!!

怪異たちに知恵を与える巫女になった、
一眼一足の美少女・岩永琴子。
怪異たちからおひい様と呼ばれる、一風変わった女の子だ。
そんな彼女には心強い相棒がいる。
永遠に死なない恋人・桜川九郎だ。

岩永のもとへは、妖怪や幽霊たちから相談が持ち込まれる。

例えば、何百年生きる水神の大蛇から、自分が棲まう沼に
他殺体を捨てた犯人の動機は何か・・・?とか。

うなぎ屋で、店の客の一人に妻殺害の真相を暴いたり・・・。

孫を交通事故で失った男の怒りと無念の心が、
木の人形に宿り、その人形の暴走をとめてとの依頼。

日本に一台しかないギロチン台から、持ち主の
殺人の謎を解いて欲しい!?

山奥で化狸がつくるうどんを食べたために、
たまたまアリバイが出来ちゃった殺人犯に
嘘の真実を創ることになったり….。などなど。

琴子は、これらの事件や相談事を完璧なロジックで
解明し、最善の方法で導く凄い巫女。

そして綺麗に収まる話もあれば、背筋が凍る
ラストが待っている短編もある。

全て虚構の世界のお話なのに、いかにも
現実にありそうっぽく描いている。そこにとても惹かれる。

なんだか妖怪、怪異たちの方が人間らしく
描かれているところがとてもユニークだ。

私たちが普段見ている世界は、この世のほんの
一部分で、この虚構と言われる世界が
実はあるのではないか?と思ってしまう。

琴子の九郎の距離感の描き方もとても素敵。

もっと「虚構」の世界を堪能したいと思わせる短編集だ。

『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』
著者:城平京
出版社:講談社(タイガ文庫)
価格:¥720(税別)

驚愕のトリックに瞠目!「扼殺のロンド」

「十三回忌」がとても面白く、探偵・海老原の
キャラに惹かれ、続いて「扼殺のロンド」を
読みました。

小島先生の作品は、非常に凝ったトリックが
随所に散りばめられているので、読み進める
のが楽しい。

倒産した自動車工場で壁に激突したと思われる
車があり、その中から男女の変死体が発見された!
女性は腹から胃腸を抜き取られ、男性は高山病で
死んでいた。
鍵のかかった工場内、車の方はぶつかった衝撃で
ドアも窓も開かない。
犯人は如何にして犯行に及んだのか?

静岡県警の小沢刑事と笠木刑事らが捜査を
進めると、死んだ二人は姉川家のいとこ同志だと判明。

そしてその後も、姉川家の親族が次々と「密室」で
不可解な死を遂げていく。

その不可解さに刑事たちはもうお手上げ状態だ。
いったいどうやって・・・・。
そんな時、海老原が笠木のもとへやってきた。
難事件が起きた時、どこからともなく現れる、
風のような探偵だ。

そして、海老原は「密室」のトリックを
暴いてゆく…。

これでもかというくらい「謎」が仕掛けられ、
さらに凝ったトリックに圧倒される。
この謎とトリックの着想は、ひときわ異彩を
放っている。
ほんとに凄いミステリー小説!

次は「武家屋敷の殺人」(講談社文庫)に挑戦!

『扼殺のロンド』
著者:小島正樹
出版社:双葉社(文庫)
価格:¥694(税別)

知念実希人さん幻のデビュー作!そして原点「レゾンデートル」

今や人気シリーズもあり、著作多数。医学系の
ミステリー作品がほぼベストセラー入り!
そんな知念実希人さんのデビュー作「レゾンデートル」
を読みました。

読み始めてから、その衝撃的な内容に驚愕
しながらも、場面展開のうまさにぐいぐい
引き込まれ、気がついたら読み終わっていた!
そんな感じでした。
主人公たちの切なく悲しい運命に、泣けて
しまいました。

「レゾンデートル 存在理由」。
悲運の主人公はそれを手にすることが出来ただろうか。

末期癌を宣告された医師・岬雄貴は、自暴自棄に
なり、酒浸りの日々を送っていた。ある日、何気なく
ぶつかった不良たちに因縁をつけられ、暴行を
受ける。雄貴はその復讐のためだけに生きようとした。
そして、復讐を遂げるが、現場には一枚のトランプが
残されていた。

そのカードは、世間を騒がせている連続殺人鬼
「切り裂きジャック」のものと同じだった。
その後、切り裂きジャックと名乗る男から
ある依頼を受けた雄貴。ジャックとの奇妙な関係が始まる・・・。

家出同然で上京した南波沙耶は、風俗系のカメラマン佐川の
モデルをしていた。
ある日、親友の恵美からペンダントを預かる。
その後、佐川の他殺死体が見つかり、親友の恵美も何者かに
殺されてしまう!

切り裂きジャックによる連続殺人、カメラマンと少女の死。
雄貴と沙耶。
そして、事件を追う刑事!

パズルのピースのように、バラバラだった事件がやがて
ひとつに繋がったとき、ありえない真実が姿を現す!

デビュー作とは思えない傑作!

『レゾンデートル』
著者:知念実希人
出版社:実業之日本社(文庫)
価格:¥759(税別)