心をざわつかせる衝撃サスペンス!「不審者」

「代償」「悪寒」など、ヒットを飛ばしている
伊岡瞬さんの文庫最新刊「不審者」を読みました。

平凡な家庭を脅かす存在。
それは何なのか?
徐々に追い込まれていくヒロインの心の
動きがリアルに描かれ、怖くなりました。

折尾里佳子は、夫と息子、そして夫の母親と
4人暮らし。
夫は、中堅食品会社に勤務、里佳子は在宅で
子供を見ながら小説などの校正を行っている。
子どもの幼稚園のママ友やバスで一緒になる
バスママ友など、ちょっとやっかいな人間
関係も時に心を乱されるが、平凡で、幸せな
毎日だった。

ところがある日、夫がサプライズで一人の客を
家に招く。
その人物は、二十年間以上行方知れずだった、
夫の兄だと言う。
義兄は起業家で、独身だと語る。
しかし、義母は息子本人だと信用していない
様子。そのせいで、里佳子は不信感を募らせる。

里佳子の心配をよそに、夫は義兄を居候させる
ことに。最初は、人見知りしていた息子も
義兄になつき始める。

それ以降、里佳子の不信感は次第に膨れあがる。
そして、里佳子の周囲で不可解な出来事が
多発するようになる。

行方不明だった義兄の登場で、平和な家庭の
均衡が崩れてゆく・・・。
その平和を守るために、義兄と対峙しようと
する里佳子だったが・・・・。

日常の平和を脅かすものへの嫌悪感の
描き方が半端なく、これでもかとヒロインを
追い詰める!

そして、義兄の正体とは?

一つの悲劇をきっかけにすべてが反転する。
その驚愕!!
怒濤のクライマックスに息を詰め、すべての
真相が明るみになったとき、思わず悲鳴の
ような声が出てしまった。

予想をはるかに覆される結末に唖然・・・。

『不審者』
著者:伊岡瞬
出版社:集英社
価格:¥836(本体¥760+税)

手に汗握るノンストップミステリー『逃げる女』

骨太な社会派ミステリーを描き続ける
青木俊さんの最新作、
「逃げる女」を読みました。

2017年刊行の「潔白」では、冤罪で一つの
家族を不幸のどん底に突き落としておきながら、
決して「間違い」を認めない、警察、検察
さらに日本の司法の在り方に憤りを感じた。

そして、この「逃げる女」からは、青木さんの
「怒り」のようなものが、ヒロインを通して
感じられた。

青木さんの作品は、フィクションでありながら
ノンフィクションのようなリアルさと迫力が
あり、問題提起されたテーマは心に強く残る。

札幌市内のマンションでフリーの記者が殺害され、
容疑者として、久野麻美の名前が浮上した。
その葬儀に出席した久野に、道警捜査一課の
生方吾郎は張り付いていた。

しかし、彼女は葬儀場を出た後、警察の追尾を
受けながらもその姿を消してしまう。
札幌、旭川、釧路と張り巡らされた捜査網を
かわし、北海道を脱出しようとする久野麻美。

生方は所轄で新米刑事の溝口直子とコンビを
組み、久野を追い続ける。
状況証拠は久野が犯人だと示している。
生方たちは、それを信じ絶対に確保する!
その強い思いを抱きどこまでも追う。

久野麻美と彼女を追う警察との手に汗握る
逃走劇!
だが、その先には思いもよらぬ真実が
隠されていた。

必至で逃げるヒロインと執拗に追う警察。
その構図から察するに、ある事件が隠蔽され、
その秘密を知ったヒロインを警察が抹殺
しようとしている?
それは警察関係者が絡んだ事件、または、
大物政治家か?その関係者か?
様々な推理をしてみるが・・・。

意図的に警察が捜査できない状況に追い込む。
そんな恐ろしいことが実際にあるのか?と
疑ってしまうけれども、この本を読み進んで
いくと、次第にそういうことが本当にあるかも
しれないと思えてくる。
「人を殺しても逮捕できないヤツがいる」
の本当の意味とは?

まさかまさかの真相に驚きの連続、そして
次第に膨らむ、この国の政治に対する怒り。

社会派ミステリー小説だからこそ描けた。
この作品の深すぎるテーマに心を抉られた。

『逃げる女』
著者:青木俊
出版社:小学館
価格:¥1,760(本体¥1,600+税)

やっぱり、衝撃の面白さだった!「むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました」

むかし話×ミステリー「むかしむかしあるところに
死体がありました」青柳碧人(双葉社)の第2弾!
「むかしむかしあるところにやっぱり死体がありました」
を読みました。
やっぱり、衝撃的な面白さでした。

「竹取探偵物語」
仲の良い男性ふたりに育てられたかぐや姫。
美しすぎる女性に成長した彼女に、言い寄って
くる公達たち。そんな男たちにに厳しい条件を
出したかぐや姫。しかし彼女には別の目的が
あった・・・!

「七回目のおむすびころりん」
わざとおむすびを転がして穴に落とし、
ねずみからお宝を盗もうと画策する
悪いおじいさん。なんと転がった先で
恐ろしいことが!!ところがおじいさんは
鐘の音で元居た場所に戻っていた。
性悪なおじいさん、何度も試すが
同じことを繰り返す。
いったい何がどうなってるんだ・・・?

「わらしべ多重殺人」
観音さまからお告げをもらった貧しい男は、
旅の途中、出会った者が持っているものを
次々と交換。みかん、美しい布、死にそうな馬、
そして屋敷・・・。観音様のお告げで出世した
男の話は村中に広まり、男はわらしべ長者と
言われるようになった。
ある日、古井戸から男の死体が発見される。
わらしべ長者と他殺死体。いったいどんな
繋がりが・・・・?

「真相・猿蟹合戦」
いたずら好きの猿に言いくるめられ、
柿の種を植えた蟹。たわわに実った
柿の実を、猿に投げつけられ死んで
しまう。そんな蟹には仲の良い友達がいた。
猿は蟹の友達の奸計によって死んでしまう。
という人間世界の「猿蟹合戦」のお話とは
全く違う真相があった!?
さらにその真相がなんと!「ぶんぶく茶釜」
に続く~。

「猿六とぶんぶく交換犯罪」
かちかち山のお話は、いたずら好きのタヌキが
一人の老女を死なせてしまい、その老女と
仲の良かったうさぎが激怒。タヌキを騙して
老女の復讐をするというお話。
しかし、この話にはとんでもない裏話が
隠されていた!

どのお話も、私たちが知っている昔話を
ほんわかしたお話から、ドロドロとした
欲望渦巻く物語に変化させている。
そして、新たな解釈をプラスし昔話とは
全く違う物語へと繋いでいる。

前作にはなかった探偵役の登場に
ループミステリー、多重殺人、交換犯罪など
ミステリー度は前作よりもアップ!
特に「真相・猿蟹合戦」から「猿六とぶんぶく
交換犯罪」は圧巻の展開!面白すぎて止まらなかった。

「むかしばなし」をよくぞここまで面白く
してくれました!

読まないと絶対に損をします!

『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました』
著者:青柳碧人
出版社:双葉社
価格:¥1,485(本体¥1,350+税)

予想だにしない展開に絶句!ミュッソ「夜と少女」

「ブルックリンの少女」「パリのアパルトマン」
「作家の秘められた人生」と、ギヨーム・ミュッソ
のミステリーにはまり、読み続けている。
新刊の「夜と少女」も当然のごとく手に取って
読んでみた。

この作家、描くたびに面白さが増す。
「謎」の引き出しがどれくらいあるのだろう・・・。
どの作品もまったくテイストが違っていて
読むたびに新鮮に感じられる。

1992年、コートダジュールの名門高校で
美貌の少女・ヴィンカが突如姿を消した。
当時、彼女と噂のあった哲学教師・
アレクシスと駆落ちしたとみなされ、
捜査は打ち切られた。

それから25年間、彼らの姿を見た者はいない・・・。
ヴィンカに思いを寄せていたトマは、
人気小説家となっていた。
その親友・マキシムは政治家となった。
二人はヴィンカ失踪の事件に関わる秘密
を抱えながら25年の時を過ごした。
その恐るべき秘密は巧みに封印されたはずだった。

ところが、彼らが卒業した高校で創立50周年の
記念祭が催され、その機会に体育館を解体し、
新たな校舎建設の着工式行われることになると、
事態は急変する。

そのニュースを聞き、愕然とするトマとマキシム。
彼らの恐るべき過去が暴かれるのか?

少女失踪の裏で何があったのか?
過去と現在を交互に描きながら、
子どもたちの罪、そして苦悩が浮き彫りになる。
さらに、子どもたちを救おうとする
大人たちの危険極まりない思惑・・・。

多くの伏線を緻密に配し、クライマックスに
向かって見事に回収されてゆく。
しかし、その衝撃度は生半可なものではない。
ミュッソにしか描けない超弩級の結末に
またしても、やられた!

『夜と少女』
著者:ギヨーム・ミュッソ
出版社:集英社(文庫)
価格:¥1,210(本体¥1,100+税)

翔んでる!?警察ミステリー「相棒はJK」

「巡査長 真行寺弘道」(中公文庫)、
「DASPA 吉良大介」(小学館)
など、社会派ミステリーを描く、
榎本憲男さんの新刊「相棒はJK」は
なんと!女子高生が主人公。
意外な設定にちょっと驚きました。しかし、
キャラクターたちがとても魅力的で面白い。

警察大学校を首席で卒業した、鴨下俊輔警部補。
キャリア組の中でも「超」がつくエリートだ。

警視庁刑事部刑事部長から直々に声を
かけられ、刑事部長直轄の組織・
刑事部捜査第一課特命捜査係へ異動となった。

その係には、数々の難事件を解決した実績を
持つ中心人物がいた。
その人物が鴨下とバディを組むのだ。
鴨下はどんな人物なのかとワクワクしながら
特命捜査係に向かう。
ところが、紹介された人物はなんと!!!
女子高生の花比良真理(しんり)だった。

原理原則に忠実な性格の鴨下は驚愕する。
女子高生が事件の捜査をするなんて、
警察組織がそんなことを許すなんて
言語道断!と納得できない。

こんな刑事を真理はどう思ったか。
彼女は、「この世には二種類の刑事がいる。
ドンな刑事とピンな刑事だ」と言った。
鴨下はどっち・・・・
この例えがめちゃめちゃ笑えた。

しかも特命捜査係のメンバーはどうも
落ちこぼれの集まりのような気がするが・・・。

鴨下は半ば強制的に女子高生とバディ
組まされる。そして超個性的な仲間とともに
女性失踪事件の謎を追うことに・・・。

やがて、鴨下は、捜査の過程で真理の隠された
秘密に気づく・・・。

哲学・宗教的な要素も織り交ぜながら
物語は進んでゆく。
また、随所に榎本節が垣間見られ、
「DASPA」「巡査長真行寺弘道」
の社会派ミステリーに通じるものがあり納得。

警察官として「白黒」はっきりつけたがる
鴨下と、それじゃ救える命も救えないと詰め寄る
真理とのやりとりが印象に残る。

イケメン・エリート刑事と訳あり女子高生
の活躍が斬新!
シリーズ化強く望みます!

『相棒はJK』
著者:榎本憲男
出版社:角川春樹事務所(ハルキ文庫)
価格:¥858(本体¥780+税)

戦慄のサスペンスミステリー「すべてのドアを鎖せ」

世界20か国で翻訳されたベストセラー
日本初登場の作家、ライリー・セイガ-著
「すべてのドアを鎖せ」を読みました。

何が起こっているんだろう・・・?
不安を掻き立てられるような構成に
魅了され、いっき読み!
物凄く面白かった。

仕事を首になった日、彼の浮気が発覚!
激怒し、ショックのを受けたジュールズは、
彼のアパートから出て行った。

そんなジュールズは、マンハッタンに
ある高級アパートメントの求人広告に
飛びつく。

それは、マンハッタンに100年近く建つ
「バーソロミュー」というビルの空き
部屋の番人という仕事だった。

短期間の契約で月に4千ドルの報酬
失業中の上、身寄りもないジュールズに
とっては破格の条件だった。

ただし、居住するにあたっての条件は
非常に厳しいものだった。
来客禁止、外泊禁止、居住者の邪魔に
なることはご法度。

ジュールズの親友・クロエは高額な
報酬と奇妙な条件の話を聞いて、絶対に
おかしい、怪しいと言った。
そして、かつて「バーソロミュー」で
起きた事件や、噂を掲載したニュース
サイトをジュールズに送るが・・・。

クロエの気遣いをありがたいと思いながらも
ジュールズにとってこの仕事は最後の希望だ。
そんなに簡単に諦めることはできない。

全ての条件をのんで、その空き部屋に入居した。

ところが、その夜奇妙な音を耳にする。
ジュールズはその夜から建物の不気味さに
悩まされるのだった・・・。

不安に陥ったジュールズは、自分と同じ
番人としてアパートに住んでいる人たちと
ともに、この高級アパートメントに
ついて調べはじめるが、仲良くなった
番人の一人が消息をたってしまう!

ジュールズが危険を顧みずに、密かに
調査を続ける過程の描写は、危機感を
どんどんあおっていき、とんでもない
ことが起こるのではないかと、ドキドキ
してしまう。

そして、建物の歴史の裏に隠された
戦慄の真相に愕然とする!!

ホラー!サスペンス!スリラー!
ノンストップですべての怖さを
味わえる!

『すべてのドアを鎖せ!』
著者:ライリー・セイガ-
出版社:集英社(文庫)
価格:¥1,375(本体¥1,250+税)

斜線堂有紀さんの「廃遊園地の殺人」が面白い!

ミステリー界に衝撃をもたらした、斜線堂有紀
さんの「楽園とは探偵の不在なり」(早川書房)。
その衝撃が去らないうちに、この
「廃遊園地の殺人」(実業之日本社)が発売!

二十年前、プレオープン中に銃乱射事件が起こり、
閉園に追い込まれた、テーマパーク・イリュジオンランド。

廃墟コレクターの資産家・十嶋庵は、このパークを
買取り、廃墟マニアのために条件付きで解放した。

廃墟マニアのコンビ二店員・眞上は、狭き門を
くぐり抜け、廃遊園地に招待された。
そこには眞上の他に、イリュジオンランドの
元従業員たちも招かれていた。

十嶋は彼らに『イリュジオンランドは、宝を見つけた
ものに譲る』と伝言した。

この廃遊園地の元従業員ほか、招待客たちは、
宝さがしを始めるが、翌朝串刺しになった
血まみれの着ぐるみが見つかる。
着ぐるみの中で死んでいたのは、元イリュジオン
ランドの経営陣、主道だった・・・。

次々と起こる殺人、犯人はこの中にいるのか?
そして、事件の動機とは何なのか・・・?

廃遊園地で起こる事件と、20年前にイリュジオン
ランド建設に関して、天衝村で起こっていたことの
回想シーンが交互に描かれ、事件の真相に
近づいてゆく・・・。

そして、最後に真実を見つけ出すのは!?

謎解きの過程がとても面白く、読み応えが満点!

『廃遊園地の殺人』
著者:斜線堂有紀
出版社:実業之日本社
価格:¥1,980(本体¥1,800+税)

第67回江戸川乱歩賞受賞作「北緯43度のコールドケース」が面白い!

2021年、第67回江戸川乱歩賞受賞作です!
今年は2作品が受賞しました。

10月に発売された伏尾美紀さんの
「北緯43度のコールドケース」。
この作品、著者の伏尾さん、
長編ミステリー初挑戦、そして乱歩賞
初応募で、初受賞の快挙を成した作品。

デビュー作なのに、まるでベテラン作家
のような風格を感じました。

博士号を持ちながら、30歳で北海道警察の
警察官となった沢村依理子は、その異色の
経歴ゆえ、少し浮いた存在だった。

依理子は、北海道警察本部刑事企画課に
所属していたが、警部補昇進を機に
中南署の強行犯係に異動となった。

そこで、ベテラン刑事・瀧本に師事する。
警察は今でも男性優位社会。しかも
異色の経歴を持つ依理子になんとなく
周囲からのあたりはきつい。
しかし、瀧本は依理子に対し男女の区別なく
捜査方法や取り調べのやり方など丁寧
に教えてくれた。
依理子は瀧本を尊敬するようになる。

ところがある事件の被疑者の取り調べで
瀧本の態度が一変する。

それは、5年前に未解決となっていた誘拐事件の
被害者であった少女の遺体が発見されたことが
きっかけだった。
盗犯係が任意で引っ張て来た窃盗犯が
少女の遺体に関する供述を始めたのだ。
瀧本はその取り調べを強引に始めた・・・。
依理子はその姿に激しい衝撃を受ける。

5年前の女児誘拐事件の犯人と思われる
男はすでに死亡している。誰もが共犯者
を疑った。そして再び捜査本部が設置
されたが、またしても未解決に終わってしまう。

しばらく後、5年前の誘拐事件の捜査資料が
漏洩してしまう。
あろうことか、依理子は漏洩犯としての
疑いをかけられる。

自分の身の潔白を証明しようと、必死で
捜査にあたる依理子。
その過程で、依理子は信じがたい事実を知る・・・。

組織の不条理に翻弄されつつも、正義を
追い求める依理子。
それは孤独な闘いだ。

彼女の切なすぎる過去、家族との確執、
同僚との絆、先輩刑事への思い。

誘拐事件の謎解きの過程が緻密な伏線を
配し描かれると同時に、依理子の背景も
丁寧に描かれ、グイグイと読ませられる。

一人の女性の葛藤と、苦悩を乗り越え
刑事として成長してゆく主人公の
姿がまぶしい。

これがデビュー作か!?と突っ込みたくなる
くらい読み応えたっぷりで読後の満足感も
半端ない!

傑作!!!!本格警察ミステリー。

『北緯43度のコールドケース』
著者:伏尾美紀
出版社:講談社
価格:¥1,925(本体¥1,750+税)

第67回江戸川乱歩賞受賞作「老虎残夢」は傑作!

2021年、第67回江戸川乱歩賞受賞作です!
今年は2作品が受賞しました。

9月に発売された桃野雑派さんの「老虎残夢」は、
これまでの乱歩賞の概念を打ち破る斬新な
設定がいくつもあり、大変楽しんで読む
ことが出来ました。

舞台は、中国「南宋」の時代。
幼い頃に両親を失い、心に決して癒えぬ傷を抱える
蒼紫苑は、医師で武術の達人、碧眼の梁泰隆を
父と仰ぎ、師と尊敬し、女の身でありながら、
ただひたすら武術に励んでいた。

しかし、紫苑は誰にも言えぬ秘密を抱えていた。
それは、一緒に暮らす、泰隆の養女・恋華と
愛し合っているということ。

二人の恋は、破滅を意味するのだ。

泰隆は、己が体得した武術の秘儀を伝授
するため、最も信頼できる武侠三人を招いた。
その宴席では誰もが昔話に花を咲かせた。

ところが翌日悲劇が起きる!
泰隆が孤島の別邸で死んでいたのだ。
そこは、簡単にいくことが出来ない。
圧倒的な密室だった・・・・。

亡くなった泰隆以外は、紫苑。恋華、
そして泰隆が招いた3人の武侠しかいない。
泰隆を殺した犯人はこの中にいるのか!?

紫苑と恋華には秘密があり、それは殺害
動機にもなり得る。
3人の武侠にもそれぞれ何らかの秘密が
あった。しかし・・・。

彼らは事件の謎を解いてゆく・・・。
やがて、とてつもない泰隆の秘密が
明らかになる!

ロジカルに事件の謎を解き明かしてゆく
過程のワクワク感。

さらに、最強の武侠登場と武術では軽攻、
内功、外攻など、およそ想像もつかない
アクションが繰り広げられ、手に汗握る
緊張感が半端ない。

それに加えて、女性同士の恋愛(百合)
要素も加味され、今までの乱歩賞には
なかった斬新な設定に驚きの連続!

選考委員絶賛も当然だと思う!
「文句なく面白い」傑作ミステリー!

『老虎残夢』
著者:桃野雑派
出版社:講談社
価格:¥1,870(¥1,700+税)

堂場作品初!女性刑事が主人公「聖刻」

これまで数々の警察小説のシリーズを
描いてきた堂場瞬一さん。
この「聖刻」(講談社)で初めて
女性刑事が主人公として描かれます。

朝のワイドショーで長く司会を務める
人気司会者の息子が、元恋人を殺害した
として自首してきた。

捜査一課の女性刑事・柿谷晶は、
取り調べを行うが半落ちだった。
犯行は自供するが、動機の追求を
すると黙秘してしまう・・・。

晶は、犯行動機を探るため、被疑者の
家族を聴取する。
しかし、家族はネットの誹謗中傷に
悩まされていた。
さらに、被疑者の父親は、息子の
事件の責任をとり、ワイドショーの
司会の仕事を辞め、テレビの仕事も
引退すると宣言した。
それでもネット上では説明責任が
果たされていないなど、身勝手な中傷が
まるでこれこそが正義だといわんばかりに
拡散されていたのだ。

事件を起こしたのは加害者なのだ。
その家族だからと言って、理不尽に
責められる・・・。そんなことが
許されていいのか?

「正義」という名のもとの「悪意」
がどんどん拡散され、加害者家族を
追い詰める・・・。

事件の真相を探るため、被疑者の家族に
張り付く晶だが、自らの過去と重なり、
いつの間にか心を寄せるようになる。

そして、犯罪被害者支援課の村野たちと
協力し、尽きることのない被害者家族への
「悪意」と闘いながら捜査を続ける晶。

だが、またしても悲劇が起きてしまう!

加害者と被害者の狭間で苦悩する柿谷。
事件の真相にたどり着くことは出来るのか?

事件の被害者に寄り添う村野たち支援課
メンバーの働きから事件の真相に迫った
「警視庁犯罪被害者支援課」シリーズ。

しかし、犯罪被害者遺族と同じくらい
加害者家族にも寄り添う必要がある
のではないかと問題提起をした本作。

加害者家族に向け、ネット内で繰り
広げられるすさじい誹謗中傷。
何の権利があってそこまで貶めるのか?

加害者家族をも護らなければならない。
著者の切実な思いがあふれる。

そして、「警視庁犯罪被害者支援課」が
新たな局面をむかえる。
傑作警察サスペンス!

『聖刻』
著者:堂場瞬一
出版社:講談社
価格:¥1,870(¥1,700+税)