秘密に満ちた、「ホテル・ピーベリー」

最近、ツイッターのTLでよくつぶやかれている、
近藤史恵さんの「ホテル・ピーベリー」を
読みました。
近藤史恵さんと言えば、ビストロ・パ・マルの
探偵シェフシリーズがとても面白くて、気になって
いました。

今作は、ハワイ島にある「ホテル・ピーベリー」が舞台。

ある事件がきっかけで、仕事を辞めた木崎は、
傷心の心を持て余していた。
そんな彼を友人は心配し、長期の旅行を勧めた。

友人のお勧めは、ハワイ島で日本人が経営するホテル。
長期滞在は可能だが、リピーターを受け入れないのが
最大の特徴だった。

木崎は、ホテル・ピーベリーで、休暇を満喫
することにした。
ハワイの飛行場で出会った女性もピーベリーに
滞在。彼らのほかに、先客がいた。

木崎は次第に滞在中の客と打ち解けてゆく。
さらに夫がいることを知りつつも、オーナーの
女性に惹かれていった。

ホテル暮らしに慣れたころ、先客の一人が
プールで溺死する事件が起こる。
さらにその直後にはバイク事故でもう一人が・・・。

木崎を含め、宿泊客はみな秘密を抱え、嘘を
ついている。
何のためなのか・・・・?

二つの事件から、平和だったホテルの日常が
崩れてゆく・・・。
そして、今まで隠されていた嘘のかけらが
徐々に明かされ、小さな違和感は肥大し、
危険度を増してゆく・・・。

「このホテルには何かある・・・!?」
最後の最後で明かされる真相に絶句する。
不穏な空気が漂う、傑作ミステリー。

『ホテル・ピーベリー』
著者:近藤史恵
出版社:双葉社
価格:726円 (本体660円+税)

第42回小説推理新人賞受賞作短編集「その意図は見えなくて」

第42回小説推理新人賞受賞作収録のデビュー短編集。
選考委員である、大倉崇裕さん・長岡弘樹さん・湊かなえさん
絶賛で 満場一致!の推理小説
「その意図は見えなくて」読了。

学校の人気者が生徒会長に立候補した。
彼を応援する友人の応援演説は素晴らしかった。
ところが、票を開けると通常ではありえないほど
白票が多かった。
生徒会の選挙担当係は疑問を持つ。
いじめなのか?そんなはずはない・・・。
白票が意味するものとは?
小説推理新人賞受賞作「見えない意図」改題
「その意図は見えなくて」

陸上部の部室が何者かに荒らされた!
部員の一人が、誰がやったのか推理してみた。
リレー選手3人なのか?
それとも、やり投げの選手なのか?
彼の推理は合っているようで、合ってない・・・。
真犯人は誰?何が目的?
「合ってるようで合ってない」

陸上部、他校との合同合宿中、成績の振るわない
生徒が姿を消した。
いったいどこに消えたのか?
まさか女子寮!?
それは、まさにルビコン川を渡るほどの
勇気がいるのに・・・?
「ルビコン川を渡る」

中学時代の苦いエピソードを語り合う、女子生徒と
女性英語教師。当時の女友達が誤解を受けて
クラスで浮いてしまった事件。
調整役で奔走したのはクラスメートの男子生徒だった。
誤解を生むように仕向けた奴がいた・・・。
「その訳を知りたい」

大量のパンフレットが紛失した。
生徒会の委員たちが手分けして探し出すと
焼却炉の前に置いてあった。
こんなにたくさんのパンフレット、
誰が何のためにどうやってここに運んだのか?
先輩たちは様々に推理してみせるが・・・
「真相は夕闇の中」

負けられないあいつ、気になるあの子、気が付けば隣にいる彼……
高校生活の日常を切り取って謎を仕掛ける。
連作短編でどの作品もひねりが効いていて面白い。

今どきの高校生あるあるも取り入れながら、
信頼していた人に裏切られても、大人な対応の女子生徒が
かっこよく描かれていたり、誰かを守るために
奔走する男子生徒の優しさに胸を打たれたり・・・。
謎解きを堪能しつつ、高校生の友情や絆の強さに
深く心を動かされた。

様々な感情に翻弄される高校生達。
彼らの人間関係から巻き起こる
「事件」の謎を解き明かす青春ミステリー。

『その意図は見えなくて』
著者:藤つかさ
出版社:双葉社
価格:1,760円 (本体1,600円+税)

「透明人間は密室に潜む」の衝撃再び!「入れ子細工の夜」

本格ミステリ・ベスト10のランキング第1位!
2020年のミステリランキングを席捲した
「透明人間は密室に潜む」と並ぶほどの
衝撃作が誕生。

ミステリー好きの作家が描くミステリー作品の
なんと面白いこと。
それぞれ、まったく趣きの違う作品を描いて
みせた著者。
次々と生まれるアイディアに読み手は翻弄される。

私立探偵・若槻晴海は、一冊の本を追って古書街に
現れた。古風な風貌の探偵の秘められた目的とは? 
探偵の意外な正体にぶっ飛びます。
若竹七海の「市立探偵・葉村晶」シリーズへの
オマージュが随所に感じられた。
「危険なかけ」

大学入試で犯人当てをやるという前代未聞の
入学試験。論理的思考を図る目的だが・・・・。
禁断の「犯人当て入試」狂騒曲! 
凄い。捻りの効いたミステリー作品。
「二〇二一年度入試という題の推理小説」

秘密を暴露された作家、いや、捏造された作家、
嘘と真実が裏返り続ける入れ子細工の二人劇! 
奇妙な心理戦を見せつつ、コロコロと役割が変わる。
目まぐるしく二転、三転を繰り返す!
多重どんでん返しの醍醐味に浸る!
「入れ子細工の夜」

前作の「六人」シリーズを引き継ぐ。
学生プロレスの覆面レスラーがコロナ禍にマスク着用で
大集合。もはや本人確認、不能?……
そこで起きる激熱推理合戦。
なんだ!最後の最後でそれか~!?
あまりにも見事な叙述トリックに脱帽!
「六人の激昂するマスクマン」

叙述トリック、犯人当て、多重どんでん返しとなど、
多彩なトリックでワクワクしながら楽しめた。
また、ミステリー名作への愛情と造詣が深く、
作中に登場した作品を思わずメモってしまった。
「透明人間は密室に潜む」と並ぶ面白さ。

『入れ子細工の夜』
著者:阿津川辰海
出版社:光文社
価格:1,980円 (本体1,800円+税)

警視庁強行犯係・樋口顕シリーズ最新刊「無明」

今野敏先生の人気警察小説「警視庁強行犯係・樋口顕」
シリーズの最新作「無明」を読みました。
安定の面白さでいっき読みしました。

荒川の河川敷で、男子高校生の水死体が上がった。
所轄の千住署は早々に自殺と断定した。

警視庁強行犯係・係長の樋口のもとへ新聞記者が
面会を求めた。
千住署が自殺と断定した男子高校生の死についてだった。
遺族は、納得していない。遺体の首筋に
ひっかき傷があった上、旅行の計画もたてて
いたという。しかも両親が司法解剖を求めたのに
千住署の刑事に断られ、恫喝されたとのことだった。

新聞記者からの情報を受け、樋口は、直属の上司・
天童管理官に少し疑わしい点があると報告。
天童も千住署のその件に対して疑問を持っていたようで
別行動で千住署に探りを入れるように樋口に指示した。

樋口は部下の藤本とともに千住署へ赴き、
その件を担当した係長に話を通す。
現場を担当した二人の刑事に案内され、自殺現場を
確認すると、さらなる疑惑がわいてきた。

樋口は、自殺だと納得できない。藤本にもそう指摘される。

そんな時、小松川署の管内で強盗殺人事件が発生。
樋口班のメンバーも特捜本部に参加。
しかし、天童からは続けて別行動を指示された。

樋口の度々の来訪に、業を煮やす千住署の面々。
自殺と断定した捜査にケチをつけるのかと猛反発され、
さらに、本部の理事官からは、千住署から手を引き、
小松川署の特捜に行けと激しく叱責された。

これまでは、署内で争うことなく、他部署や上司とも
うまくやってきた樋口だったが、今回はどうも
上のやり方が気に食わない。

組織のルールや秩序を守ることが、殺人事件かもしれない
案件をうやむやにするより大切なことだろうか?
それは違うだろうと、遺族が納得する捜査をし、
何があったのか事実を見つけることが最優先だ!
そう悟った樋口は、警察の組織論を振りかざす
上司に自らの信念をぶつける。

味方が数人しかいない四面楚歌の状況で、樋口は
絶対に引かない。
覚悟を決めた樋口の強さに心が震えた。

読み終わったとは、じわじわと樋口の言葉が
心にしみてくる。

このシリーズで一番好きな作品となった。

『無明 警視庁強行犯係・樋口顕』』
著者:今野敏
出版社:幻冬舎
価格:1,760円 (本体1,600円+税)

味わい深いからうま長編「カレーの時間」。

日ごろ、ミステリーしか読まないが、
何かのきっかけに文芸小説を読むこともある。
その作品が寺地はるなさんの「カレーの時間」。
版元さんプッシュで読んでみたら、なんとも
言えない味わい深い物語だった・・・。

娘3人を男手一つで育てた、昭和一桁世代の祖父。
頑固で声が大きくて、気に入らないことがあると
すぐに怒鳴る。娘たちからも疎まれている。

80歳を過ぎて、一度心臓の病気で倒れたことも
ある祖父。一人暮らしをさせるのは心配
だからと孫の僕が同居することになった。
絶対に無理だと母や叔母たちには言ったのに・・・。

一緒に暮らしてみると、やはり文句ばっかり・・
男は男らしくしろ!と顔をみれば言ってくる。
令和の時代に、何を時代遅れなことを言ってるんだ!
内心、憤りを隠せない。

そんな毎日に辟易していたが、祖父の家の裏手に
ちょっと可愛いシングルマザーらしい女性と
息子が住んでいて、胸がときめく・・・。

それにしても、とにかく祖父といると事件に
巻き込まれる。あ~っと思ったときは、
祖父が大量に買い込んでいるレトルトカレー
をアレンジして食べる。なかなかいける~。
事件のあとはケロッとして祖父も喜んで食べた・・・。

終戦後、食品会社に勤め、レトルトカレーの
販売担当をした男。同僚が必死に開発した
レトルトカレーを営業するが一向に売れない・・・。
なんで売れないんだ?時々同僚にあたる。

知人の紹介で結婚したものの、妻の気持ちが
ずっとわからずにいた。でも娘たち3人は、
可愛くてしょうがない。
しかし、ある日妻は出て行ってしまった。
子どもを残して・・・。

祖父が孫に語る物語は切なくて切なくて・・・
なぜ妻が出て行ったのか?
残された子どもたちのために、祖父は何を
したのか?
その真相が明かされたときは、思わず涙がポロリ。

頑固一徹で一途な祖父と、優男風令和男子の
孫とのかけあいがまるで漫才みたいで面白い。
しかし、祖父の切なすぎる人生が涙を誘う。
男らしいだけじゃ足りないものがあるということを
気づけなかったのか!?

ピリッと辛みが効いた中にもほんのり甘さを
感じさせる飛び切りおいしいカレーのような物語。
じわじわと心に沁みた・・・。

作中、孫が作るレトルトカレーレシピ。
絶対に作りたくなる。

『カレーの時間』
著者:寺地はるな
出版社:実業之日本社
価格:1,760円 (本体1,600円+税)

人気警察小説シリーズ、道警・大通警察署最新刊「雪に撃つ」

佐々木譲さんの人気警察小説シリーズ
「道警・大通警察署」の最新作、9作目
「雪に撃つ」が文庫で発売!
新作、待っていました!

今作は、さっぽろ雪祭りを舞台に数々の
事件が起き、佐伯、津久井、小島らが
それぞれの部署で事件を追う展開!

さっぽろ雪祭りの数日前のJR長万部駅で
妙なカーチェイスに巻き込まれそうになった夫婦。
孫を拾って自宅に帰る際、道路に蹲るアジア人女性
二人に手を貸した・・・。

さっぽろ雪祭り開幕前日、道警本部大通署管内で、
自動車の盗難事件が起こった。
盗犯係の佐伯と新宮は、その調査に向かった。

同じ日、市の中心部から離れた住宅街で
発砲事件があったと通報が入った。
機動捜査隊の津久井が臨場し、詳細を聞くと
カーチェイスがあり後ろの車から発砲された
弾が通報者の車に当たったらしいとのこと。
その後、乗り捨てられた車が発見され、佐伯の
担当した盗難車だと判明した。

一方、生活安全課の小島は、高校生の少女が
家出したと知り合いから連絡を受ける。
少女の身を安じる小島は、彼女を保護する
ために、行動を起こす。

全く関わりがないように見えた三つの事件。
ところが、捜査が進むにつれてある一つの
事件に繋がり、物語が進むにつれて危険度が増してゆく。

すばやい場面切り替えと、捜査の過程が
絶妙なバランスで描かれ、ページをめくる手が止まらない。

そしてクライマックスは、これぞ警察小説!と
膝を打ちたくなるくらいの迫力。

背景には、技能実習生を取り巻く複雑な状況が
描かれ、考えさせられた。

また、佐伯たちのプライベートにも触れられている。
彼らの今後の展開が気になる。

10作目も期待大!

『雪に撃つ 道警・大通警察署』
著者:佐々木譲
出版社:角川春樹事務所(文庫)
価格:770円 (本体700円+税)

古典ミステリー名作中の名作!「バスカヴィル家の犬」

古典ミステリーはほとんど読んだことがなく、
日本映画「バスカヴィル家の犬」が近日
公開ということで、手に取ってみた。
ミステリーファンの方々は、だいたい
シャーロック・ホームズからという人が
ほとんどだと思うけれど、私の場合、
逆行している感じ。

名家、バスカヴィル家の当主・チャールズが
怪死を遂げた。
恐ろしくゆがんだ苦悶の表情を浮かべた
死体のそばには、巨大な犬の足跡が残っていた。
そして、その日住民たちはあやしく光る生物
を目撃していた・・・・。

バスカヴィル家に伝わる恐ろしい「犬」伝説。
住民たちはその伝説について噂した。

急逝したチャールズ・バスカヴィルには、
子どもがいなかった。
巨万の富と、バスカヴィル館を相続するのは、
チャールズの弟の子供。つまり甥にあたる
ヘンリー・バスカヴィル。
アメリカに住んでいる彼に、早速この報が
伝えられた。

チャールズの友人で主治医でもあった医師・
モーティマーは、ヘンリー・バスカヴィルを
心配し、ホームズにチャールズの死について
調査を依頼した。

暫くして、ヘンリーがイギリスにやってきた。
もちろん、正式な手続きを経てバスカヴィル家
の財産を相続するためだ。
しかし、滞在先のホテルで次々と異変に見舞われる。

ホームズは、ワトソンにヘンリーに張り付いて
バスカヴィル家とその村の周辺を探り報告する
ように指示。
ワトソンは不安を抱えながらも、ヘンリーたちに
同行し村へと向かった・・・。

寂莫とした荒地(ムーア)という土地と、
魔犬という不気味な伝説が融合し、事件の
恐ろしさが増している。
ホームズとワトソン以外、登場人物がすべて
怪しく見えてくる・・・。読者を翻弄しているのか?
切れ味鋭いホームズの推理は、読む者の度肝を抜く。
そして、クライマックスの怒涛の展開は圧巻!
これ一冊ではまってしまった。
他の昨品も読んでみたくなった。

日本映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」は
どんな物語になるのか?楽しみ。

『バスカヴィル家の犬』
著者:アーサー・コナン・ドイル/深町眞理子訳
出版社:東京創元社(文庫)
価格:792円 (本体720円+税)

戦慄の展開!「死刑にいたる病」

大ヒット映画公開中の「死刑にいたる病」の原作
櫛木理宇さんの「死刑にいたる病」(ハヤカワ文庫)読了。
映画の評判がとても良いので、原作が凄く
読みたくなり、手に取りました。
読み始めてすぐに物語の中に引き込まれていました。
そして、連続殺人鬼の毒気にあてられ、
背筋がゾッとしました。

ハイティーンの子供たち20人以上殺害し、
自宅の庭にその死体を埋めていた殺人鬼・榛村。

彼は逮捕されたが、警察はそのうちの9件しか
立件できなかった。
それでも9件の殺人で死刑はほぼ確定。
しかし榛村は、9件目の殺人を頑なに否定していた。

そんな時、鬱屈した日々を送る大学生・筧の
もとに榛村から手紙が届いた。
9件目の冤罪を証明して欲しいと・・・。

実は筧は中学生のころ、榛村が経営していたパン屋の
常連で、筧は榛村にとても懐いていた。
筧は子供のころ、地元でも有名な「神童」と呼ばれ
父と祖母から多大な期待をかけられていた。
ところが、有名進学校へ入学すると授業について
ゆくのが出来なくなり落ちこぼれた。
父親から選民意識を叩きこまれた筧は、
落ちこぼれた自分をひた隠していた。

そんな筧の苦悩を知ってか知らずか、榛村は
筧にとても親切だったのだ。

榛村はシリアルキラーの本性を隠し、いい人を
演じ続け、町の住人の心を掴んでいた。
だから、住人たちは筧の不審な行動を
チラッと目撃しても何の疑いも持たなかった。

それゆえ、榛村の素性を知った住人たちは、
彼が殺人鬼だと信じられず、警察に抗議したほどだった。

筧はそんな榛村を信じ、彼の9件目の冤罪を証明する
ために、榛村を知る周囲の人物から情報を集め、
検証を繰り返した。
9件目の犯行は可能だったのか・・・?

筧の調査を通して、榛村の過去が明らかになる・・・。
榛村は恐ろしい性質を持っていた。

榛村はどのように殺人鬼になったのか?
その様子が徐々に明らかになる過程は、ゾッとする。
典型的なサイコパスとして描かれており、
自分の都合の良いように周囲の人間を巻き込む様子が
とても巧く表現されている。

自分も筧の立場だったら、こうなってしまうかもと
思った。

このような人間は、生まれた時から悪なのか?
それとも環境がそういう人間を育ててしまうのか?
今でもはっきりとは言えないようだが、
やはり、環境がそうさせたのではと思ってしまう。

最後の最後まで読ませる展開とクライマックスの
不気味な展開に唖然としたが、とても面白かった。

また、映画のキャスティングは、どの登場人物も
俳優さんたちがはまりすぎていて、凄いと思った。

『死刑にいたる病』
著者:櫛木理宇
出版社:早川書房(文庫)
価格:814円 (本体740円+税)

超豪華執筆陣!傑作短編揃い!「Jミステリー2022SPRING」

超豪華執筆陣によるミステリーの短編集が
発売になりました!!!!
東野圭吾・今村昌弘・芦沢央・青柳碧人・
織守きょうや・知念実希人
この輝けるラインナップ!ミステリー好き
にはたまりません!
しかも、文庫書下ろしです。新作です!

個人でリノベーションを手掛ける真世は、
ある女性から、築20年以上のマンション
のリノベーションを依頼された。
しかし、真世は女性に対し何となく
違和感を感じてしまう。
詳細を打ち合わせるために、真世は叔父の
カフェバーを使わせてもらうことに。
しかし、この叔父はただ者ではない。詮索
好きでおせっかい。今回も叔父が余計な
推理を働かせ、女性の秘密を暴こうと画策・・・。
東野マジック炸裂!二転三転の展開は圧巻。
短編なのに凄い読み応え!
「リノベの女」東野圭吾

どうしても別れたくない女性の部屋へ話を
聞いて欲しいと言って上がり込み、感情に
任せ女性を殺してしまった健吾。
後始末で頭を巡らせているときインターホンが
鳴った。どうすればいい?
弁護士と名乗る男が、健吾の隙をついて
女性の部屋へやってきた。女性と約束をしていたらしい。
弁護士は、健吾に色々と質問をしてくる。
これは、刑事コロンボ的展開・・・!と思っていたら
やられた!ありえない展開と結末に絶句。
今村さんじゃないと思いつかない展開!凄い…。
「ある部屋にて」今村昌弘

頭がいい子が育つ家が、たまたま殺人犯が
育った家とイコールだった!?
保育園に通う息子の一番の仲良しの男の子は
殺人犯が育った家に住んでいた・・・・。
エリートの道を歩き続け挫折を知らない
男はたった一度のつまずきで、人生を投げ
殺人犯となった。
その男はまだ捕まっていない・・・。
「家」を巡る‘噂’に翻弄される家族の
姿を描く!ひたひたと近づいてくる
恐怖を見事な心理描写で表している。
「立体パズル」芦沢央

ネズミで地雷撤去!?そんな研究をしている
研究所で爆発事故が起こり、研究所副所長が死んだ。
早速、自称頭がいい警察官・由赤丸警部は
部下とともに調査を始める。
自殺願望が強い女性所長や、爆死した
副所長と反目していた第一発見者の
女性所員など、怪しげな登場人物たち。
由赤丸警部の推理が冴えわたり、驚愕の真相が
明らかになる!
マジックのような密室トリック!
ユーモアとシリアスの絶妙な匙加減。
「むかしむかしあるところに死体がありました」の
著者が描く、瞠目のミステリー。
「叶えよ、アフリカオニネズミ」青柳碧人

出張から戻ってきた夫は、リビングで倒れている
妻を発見。どうも死んでいるようだ。
幼い息子は大丈夫か?息子は隣の和室で眠っていた。
警察に聴取されるが、疑われていると感じた。
果たして夫が犯人なのか?
意外な目撃者の登場で、あまりにも予想外の結末!
夫婦とは何?とちょっと考えさせられるミステリー。
「目撃者」織守きょうや

神の使いの黒猫。地縛霊をあるべき場所に
連れてゆくのが役目。普段は人間の飼い猫と
して暮らしているけれど、地縛霊が出そうな
気配を感じると行動を起こす。
飼い主が旅行に出ることになり、早速行動を
開始。すると強い「腐臭」に導かれ辿り着いた
先に若い男性が首を吊ろうとしていた・・・。
これは地縛霊になると思った黒猫は男に向かって
いった。驚いた男は気絶。黒猫は彼の記憶の
中に入り込み、自殺しようとした理由を探る
すると・・・・。
愛する人への思慕を断つことが出来ず悩み
苦しむ男の姿があった。
この新作短編、なんと途中で終わってる!
続きは、最新作「死神と天使の円舞曲」で
とあった。
あ~またしてもやられた。新作買わないと!
「黒猫と薔薇の折り紙」知念実希人

どの作品も面白すぎてイッキ読み。
こんな豪華なアンソロジー集、読まないと損しますよ~。

『Jミステリー2022SPRING』
著者:東野圭吾/今村昌弘/芦沢央/青柳碧人/織守きょうや/知念実希人
出版社:光文社(文庫)
価格:1,320円 (本体1,200円+税)

推理小説の面白さが半端ない!「土屋隆夫推理小説集成8穴の牙/深夜の法廷」

土屋隆夫先生は、1949年に推理小説作家として
デビュー。有名なのは、ドラマ化された
千草検事シリーズ。多くの作品がドラマ化
され、人気を博しました。
「影の告発」で日本推理作家協会賞を受賞。
ミステリー小説を読むようになってから
土屋先生作品に出合い、その面白さに
はまってしまいました。

東京創元社から「土屋隆夫推理小説集成」が
全8巻で発売され、本書はその完結巻。
なぜかこの本だけ、本棚から発掘。
読んでみたら止まらなかったです。

「穴の牙」
妹を殺された復讐のために完全犯罪を
もくろんだ兄がはまった穴とは?。「穴の設計書」

夫の出張中に行き倒れそうになった元上司を家に
あげてしまった妻がはまった罠。「穴の周辺」

優しい夫の異変に気付き、夫の出張中に一人
思い悩む妻が陥った罠、そして夫も・・・。「穴の上下」

強盗犯の仲間割れから大金を隠し場所を知った
元刑事。悪魔のささやきに負けてしまい・・・。「穴を埋める」

身に覚えのない強盗殺人事件の容疑者に
されてしまった男。罠を仕掛けたのは・・?「穴の眠り」

男に貢ぎ続ける女、それを当たり前のように
受け取る男。彼らがはまった穴とは?「穴の勝敗」

学生時代に特訓と称して、後輩を苛め抜いた男。
定年間近、その男の上司としてやってきたのが!?「穴の終曲」

以上の7編の短編は、何気ない日常を切り取っているが、
そこには至るところに罠が張り巡らされている。
欲望の赴くままに行動する人間たちが陥る‘穴’。
その愚かしい姿が絶妙なタッチで描かれる。

「深夜の法廷」
幼いころからその美貌で、周囲の人々を魅了してきたヒロイン。
しかし、彼女は自分を裏切ったもの、いじめたもの
には容赦なく制裁を下してきた。
その性格は大人になっても変わらずにいた・・・。
幸せな結婚をした彼女だったが、夫が不倫を
していることを知る。
激しい怒りを内に秘めた彼女。
自分を冷静にコントロールし、夫と不倫相手に
制裁をくだすべく、完全犯罪を計画する・・・・。
彼らを陥れようとする計画が緻密過ぎる。
読んでいるともしかしたら計画成功するかも・・・
と思ってしまった。

そのほか、中編「地図にない道」「半分になった男」を収録

「半分になった男」は、ある資産家の娘の婿になった
男が精神分裂症を患い自殺を図った。
しかし数年後、ある新聞社に投書があった。
自殺した男は殺されたのだ・・・と。
投書の内容から殺人事件をロジカルに推理。
その過程が見事!

昭和時代に描かれた作品もあるが、作品の
古さを感じさせない。
文明の利器が進歩しても犯罪を犯す人間の心理は
いつの時代も変わらないと思った。

短編、中編が何作も収録され、700ページ超の
厚さだが、その厚さ、長さを全く感じさせない、
面白さに引き込まれ、時間を忘れて読みふけった。

『土屋隆夫推理小説集成8 穴の牙/深夜の法廷』
著者:土屋隆夫
出版社:東京創元社(文庫)
価格:2,090円 (本体1,900円+税)