誰にも予想出来ない!驚愕と戦慄!「そしてミランダを殺す」

昨年の各社の年末ミステリランキングで第2位
にランクインした、ピーター・スワンソン
「そしてミランダを殺す」(創元推理文庫)
を読みました。

1位の「カササギ殺人事件」も想像を絶する
展開で、泣けるくらい面白かったですが、
こちらの作品も2位になったのは惜しいくらい、
面白く衝撃的ミステリ作品でした!

IT関連起業の若き社長、テッドは、
ヒースロー空港のバーで、一人時間を
つぶしていた。
その時、一人の美しい女性に声をかけられる。
彼女の名前はリリーと言った。

テッドはリリーに全く記憶がない。
しかし、リリーは気安くテッドに話しかけてきた。
テッドは酔った勢いで、1週間前に妻のミランダの
浮気を知ったことを話し、冗談半分で「妻を殺したい」
と言ってしまう。
しまったと思ったが、リリーは「ミランダは
殺されて当然だ」と断言し、妻を殺害することの
正統性を力説。そして妻殺害の協力を申し出る。

リリーの話を聞いたテッドは、妻ミランダに対し
殺意を抱くようになり、二人は殺人計画を練った。

そして、決行の日が近づいた時、想像を絶する事件が起こる。

男女4人の語りで進行する殺人計画。
追うものと追われるものが、激しく入れ替わる展開。
そこにはサイコパスの影もちらつく!
驚愕と戦慄が交互に襲う!

超絶技巧で仕組まれた著者の罠に完全にはまる。
最後の最後まで気を抜けない、完全無欠のミステリー。

『そしてミランダを殺す』
著者:ピーター・スワンソン/務台夏子(訳)
出版社:東京創元社(文庫)
価格:¥1,100(税抜き)

定年間近いベテラン刑事の活躍!「割れた誇りラストライン2」

堂場瞬一さんの警察小説新シリーズ第2弾
「割れた誇り ラストライン2」を読了。

定年まであと9年のベテラン刑事・岩倉剛。
渋い警察小説!
すっかり岩倉ファンになってしまった。

捜査一課から南大田署へ異動になって1年。
上司は年下で元部下。多少やりにくいことはある
もののもう慣れた感じだ…。

異動後すぐにコンビを組んだ新人刑事・伊東彩香は
岩倉に鍛えられ、巣立っていった。
新たな相棒が到着する予定だが、まだ姿を現さない。
岩倉は違和感を抱いていた。

さらに新たな問題が浮上。
1年前に発生した女子大生殺人事件の容疑者で、
無罪となった田岡が実家へ戻ったという。
上司からその田岡の様子を見て欲しいと頼まれた岩倉。
北大田署の事案だからと思ったが、岩倉は承知した。

実家に戻った田岡の周りでは不穏な空気が充満していた。
裁判で無罪になったにも関わらず、田岡が犯人だと
思っている人間が多く、嫌がらせも発生していた。

そんな中、女子大生の恋人だった男が殺害される。
彼は、判決後も田岡を執拗につけまわし、騒ぎを
起こしていた。
田岡の犯行では?と疑う者もあったが、今度は
田岡が襲われてしまった!

異動の先々で事件を呼ぶとの異名を持つ岩倉。
今回も事件を呼び寄せた。

女子大生殺害事件を巡る、復讐の連鎖なのか?
それとも・・・。

岩倉の刑事の勘が冴え渡り、事件の真相が
見えてくる!
それは予想をはるかに超えたものだった。
岩倉が違和感を抱く、新たな相棒の
不気味な動きにも注目だ!

今回は、犯罪被害者支援課の村野刑事、
アナザーフェイスの大友鉄刑事もちょっと登場する。
シリーズ横断で、おなじみのキャラが登場するのは
ファンにとってはものすごくうれしい!

第3段弾が待ち遠しい!

『割れた誇り ラストライン2』
著者:堂場瞬一
出版社:文藝春秋(文庫)
価格:¥790(税別)

霊視か?幻影か?異色の海外サスペンス「視える女」

ずいぶん前に買って積読になっていたけれど、
急に海外ミステリーが読みたくなって手に取った作品。

べリンダ・バウアー『視える女』小学館。

4歳の息子ダニエルが行方不明になり、
心が病んでしまったアナは、奇妙な行動を
繰り返す日々を送っていた。
そんな妻の行動をなす術もなく見つめる夫。
目撃者も身代金要求もなく4か月が過ぎた。

その町の警察署に勤めるマーヴェル刑事は、
行方不明になった少女をずっと探し続けていた。
一時は、霊能者を頼ったこともある。
しかし、結局見つけだすことは出来なかった。
そんな時、上司の警視から妻が飼っている
行方不明の犬の捜索を命じられる。

ある日、アナは教会で交霊会があることを
知る。そこで出会った霊能者にダニエルの
事を相談しようと考える
そして、アナは交霊会に参加した夜を境に
不思議な声や光景を視るようになる。

アナに起きた不思議な兆候は、異常なこと
なのか、それとも何らかのメッセージなのか?

3件の行方不明の事件が、奇妙な接点で結ばれてゆく。

行方不明事件を捜査する警察小説、
事件の謎が深まってゆくミステリー、
この二つの要素だけでも十分に面白いが
さらに「霊視」という神秘的で
超自然的な要素がからんで独特の世界観を
創りあげている。

非常に面白かった。
マーヴェル刑事はシリーズになっている
ようなので、他の作品も読んでみたい。

『視える女』
著者:べリンダ・バウアー/満園真木訳
出版社:小学館(文庫)
価格:¥830(税別)

やっぱり恐い!スティーヴン・キング「ビッグ・ドライバー」

令和に入ってから初めて読んだ本は海外ミステリー。
スティーヴン・キングの作品を読みました。
「ビッグ・ドライバー」(文春文庫)。

キングの作品はショッキングホラーが多いので
ちょっと苦手なのですが、紹介文を読んだら
面白そうだったので読んでみました。
表題の「ビッグ・ドライバー」と「素晴らしき
結婚生活」という中編2作品が収録されています。

「ビッグ・ドライバー」

女性ミステリ作家テスは講演会の帰りに、
家路までの近道をファンの女性から教えられた。
そのルートをナビに入れ、走っていると
とんでもない場所に来てしまった。

そこで、偶然を装って近づいてきた超大柄な男。
テスは、その男に拉致されひどい暴行を受け、
殺害されそうになる。しかし、何とか生還を
果たしたテスは、自分自身が受けた心と身体の
傷を癒すには、復讐しかないと考える….。

「素晴らしき結婚生活」

30年近く連れ添った夫婦。
お互いに深く愛し合っていた。
子どもたちも手を離れ、夫婦二人の楽しい
生活が再び巡ってきた。
夫はいつものように、仕事で出張に出掛けた。
妻は一人で過ごすことに。

ところが、妻は家のガレージで不可解なものを発見する。
夫が用心深く隠していた、ある犯罪の証拠の数々だった。
実は、夫は連続猟奇殺人犯だったのだ!
幸福の絶頂から一転!
夫が殺人鬼と知った妻は、恐怖にかられる。

夫の犯罪を知った妻の恐怖!そして壮絶な怒り!
その濃密な日々を圧倒的筆力で描く。

どちらの物語も、「恐怖」が女性目線で描かれている。
その「恐怖感」がひしひしと伝わってくる。

怖いけど面白い。だからキングの作品は1冊
読むと止まらなくなる。

「ビッグ・ドライバー」はマリア・ベロ、オリンピア・デュカキス
主演で映画化。
「素晴らしき結婚生活」は「ファミリー・シークレット」と
いうタイトルで映画化されている。

『ビッグ・ドライバー』
著者:スティーヴン・キング/高橋恭美子・風間賢二訳
出版社:文藝春秋(文庫)
価格:¥724(税別)

第11回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作「幻の彼女」が凄い!

島田荘司さん選の「ばらのまち福山ミステリー文学賞」。
この賞を受賞され、デビューしたミステリ作家さんは結構多い。
今年は11回目。
受賞作は、酒本歩さんの「幻の彼女」(光文社)です。

色々なところで取り上げてありました。これは絶対に
読まないと!と思い、先週いっき読みしました。

ドッグシッターの風太のもとへ、元カノ・美咲の訃報が
届いた。自分と同じくらいだからまだ30代だ。
若すぎる死に驚く風太。友人の雪枝と飲んでいた時、
その話をすると他の元カノにも連絡してみたらと言われる。

風太は、蘭とエミリのことを思い出し、連絡取ろうとした。
しかし、二人にも連絡がつかず消息がつかめなかった。

風太の心に得体の知れない不安が広がっていった。
いったい3人はどうなったのか?

風太はドッグシッターの仕事を中断し、3人の行方を追う。
彼女たちの友人、住んでいた家、通っていた学校など…。
しかし、彼女たちはまるで存在しなかったかのように
全ての痕跡が消えてしまっていた。

日々、憔悴してゆく風太を心配する雪枝と、
風太の同級生・裕一郎は、彼をサポートし彼女たちが
消えた謎を追う….。

一人の男性と交際していた女性が、3人とも行方知れずになる?
何だこの展開?。早々に不気味な事件の予感が!
女性たちは殺されたのか?じゃ犯人は風太なのか?

読みながら、様々な推理が頭の中で炸裂する!
伏線となるキーワードが登場すると、もしかして
こういうことなのか?とまたまた推測するが、
そのすべてがことごとく覆される!

推理する面白さと、その面白さを越えた尋常ならざる
真相に度肝を抜かれた!

凄いミステリー小説の誕生です!

『幻の彼女』
著者:酒本歩
出版社:光文社
価格:¥1,500(税別)

誰もが知っている昔話が驚愕の変化!「むかしむかしあるところに、死体がありました」

面白いミステリーが発売されました!
「むかしむかしあるところに、死体がありました」(双葉社)
著者は、「浜村渚の計算ノート」(講談社)シリーズで
おなじみの、青柳碧人さんです。

浦島太郎、鶴の恩返し、花咲かじいさん、一寸法師、
桃太郎など、私たちが昔から良く知っている昔話を
ミステリー仕立てにした、前代未聞の短編集。
その面白さは強烈!黙ってはいられない面白さだ!

これらの昔話は、本来の物語を踏襲しつつ
新たな解釈をプラス。

物語のなかの登場人物たちは、昔話同様に、
善人と悪人がはっきり分かれて描かれている。

そして、もっともっと人間くさく、
ドロドロとした人間関係を盛り込み、
より現実の世界に近づけている。

さらにこれらの物語が面白いのは、
密室、倒叙、アリバイ、ダイイングメッセージ、
クローズドサークルなど、本格ミステリーの醍醐味で
ある要素がほぼ全てこの1冊に収められているところだ。

昔話の短編集でありながら、ものの見事に読み応え
たっぷりのミステリー小説に変化させた。
この驚愕の変化にミステリーファンは狂喜乱舞!!

これは読まないと損をします!

『むかしむかしあるところに、死体がありました』
著者:青柳碧人
出版社:双葉社
価格:¥1,300(税別)

心癒される、優しいミステリー『ひゃくめ はり医者安眠夢草紙』

『シンデレラの告白』で第7回角川春樹小説賞を
受賞された櫻部由美子さん。
受賞作を読んだ時、誰もが知っているおとぎ話が
大人のミステリー小説に変化していて、そこが
あまりにも面白くて、感動!感激!しました。

その後は、謎多き画家・フェルメールの半生を
生き生きと描いた、『フェルメールの街』が
とても印象に残りました。

様々なジャンルの作品に挑戦される櫻部さん。
今度は時代小説です。
はり医者の安眠先生が、心と身体の不調の謎を
解き明かします。

眠れない日々を過ごす、染井屋の娘・音夢は、
外神田で鍼灸の治療所を開いている、はり医者
安眠の元へ診察に通っている。
安眠が施す鍼治療で徐々に良くなってきている
ように感じる・・・。
しかし、音夢はある事件がきっかけで心を固く
閉ざしたままでいた。
この世にあらざる物の怪の気配を感じるように
なってしまったのだ…。

だが、安眠のぶっきらぼうな優しさが、やがて
音夢の心を解きほぐしてゆく…。

他に、安眠と懇意にしている、振り薬屋に
降りかかった災難や、安眠の父を看病する
美しい尼・庵主さまの謎に迫る時代ミステリー。

そして、登場人物も魅力的!
音夢、安眠先生ほか、治療院の隣に住む
ご老人・飄兵衛、安眠の友人で、ちょっと
お腹の弱い同心・蒼一郎、美しい尼の庵主さま
などなど心優しき人たちが、この物語を彩っている!

著者の櫻部さんからは
「鍼灸の面白さをお伝えしたくて、安眠先生を
登場させました。皆様の心が暖かな‘気’で
満たされますように…..。」
とのコメントをいただきました。

その言葉通り、読み終わった後暖かい「気」で
包まれているように感じました。

『ひゃくめ はり医者安眠夢草紙』
著者:櫻部由美子
出版社:角川春樹事務所
価格:¥680(税別)

男気あふれる展開に痺れる!『夢胡蝶 羽州ぼろ鳶組』

シリーズいっき読みするのは、もったいないので、
じっくり読んで6巻目です。

「夢胡蝶」は吉原が舞台。
苦界に身を投じなければならなかった女性たちの
悲哀も描かれ、とても切ない展開もあります。
そして、彦弥の過去も明かされる、彦弥のかっこ
よさと哀愁が際立った巻です!

ぼろ鳶組の纏番・彦弥は、半鐘が鳴っている方向へ
奔った。そこは江戸最大の「不夜城」吉原…。

燃え盛る炎の中で、一人の遊女が押し入れに
隠れた。死にたい…ただそれだけの思いだった。
故郷に思いを馳せ覚悟した瞬間、突然男の声がした。

「お前の願いをすべて叶えてやる。だから生きろ」
遊女は男のその言葉を聞いて、自分の命を託した。

彦弥と妓楼醒ヶ井の花魁・花菊との運命的な出会い…。

吉原で不審な火事が頻繁に起き、吉原火消の
矢吉が、松永源吾率いるぼろ鳶組を訪ねてきた。
彦弥に花魁・花菊を助けてもらったことで、
矢吉は、ぼろ鳶組を頼り吉原の火事の調査を
手伝って欲しいと依頼してきたのだ。

頼まれると断れない性格の松永は、火事の真相を
探るため、彦弥・星十郎・寅次郎・武蔵らとともに
吉原に滞在することになった。

だが、吉原にいた火消たちは、彼らだけではなかった。
大名火消に定火消たちもすでに入っていたのだ。

この火事の裏には何かある…と感じた松永たちは
早速調査を開始する。

彦弥と花菊の運命的な出会いと恋模様を背景に
謎の事件が次々と起こる。

吉原で連続して起こる火付け、下手人と思われる
者の殺害事件、そして黒幕…。
星十郎と、松永の妻・深雪の推理が冴えわたる!!

そして、花菊との約束を守るため、命をかける
彦弥があまりにもかっこよく、彼の男気に
痺れてしまった。

今回登場した、吉原火消の特殊性が際立ち、
とても面白かった。同じ火消でも全く立場が違う。
しかし立場なんかくそ喰らえ!火が出たら
消すのが火消だ!松永の言葉で吉原火消も
本気になった!!

前巻以上に面白い展開に興奮冷めやらず!

『夢胡蝶 羽州ぼろ鳶組』
著者:今村翔吾
出版社:祥伝社(文庫)
価格:¥760(税別)

女子大生が未解決事件を捜査!第2弾『エムエス 継続捜査ゼミ2』

元警察官の教授の指導のもと、女子大生がゼミの
勉強で携わった未解決事件の真相を突き止める!
今までにない設定のミステリー「継続捜査ゼミ」に
第2弾が登場。シリーズ化されたら良いなと思って
いたのでとても嬉しい!

「刑事政策演習ゼミ」で5人の女子大生は、
「冤罪」をテーマにしようと考えた。

三宿女子大は、ここ最近何だか浮き足立っている
ような気がする。元警察官の三宿女子大で教鞭を
とっている小早川は、その原因が「ミスコン」で
あると同僚の教授から教わる。
女子大でミスコン・・・?そんなこともあるのか

そして、小早川は授業で「ミスコン」の反対運動を
推進する学生・高樹晶と出会う。
小早川と話がしたいと言った高樹は、2度ほど
研究室を訪ねてきた。ところがその直後、
高樹は何者かに襲われ、病院へと運ばれた。
それまで一緒にいた小早川は、傷害容疑で
警察へ任意同行させられる。

元警察官でも、容疑がかかれば警察は態度を
一変させる。小早川は現役時代、自分自身も
取り調べの時は、時に厳しい手段で容疑者に
自白を迫ったこともあった。
まさか、自分がそのような眼にあうとは!
しかも、自分には全く身に覚えがないのだ。

そして、その時、一般人が警察に容疑をかけられ
同行させられる恐ろしさを知る。

警察は正義の名のもとに、状況証拠だけで一方的に
責めたてる。
身に覚えのない事で、いくら「やっていない」
と言っても、その言葉は無視される。
何を言っても信じてもらえない状況、
その恐ろしさは尋常ではない。
一般人ならば、その厳しさに耐えきれず、
思わず自分がやったと言ってしまうだろう・・・。
そして、冤罪はこうして生れるのだ。

「冤罪」。小早川は身をもってそれを女子学生たちに
教えることになった。
そして、ゼミの女子学生たちは、疑われ続ける
小早川を信じ協力して事件の真相に迫ってゆく。

「警察の横暴」と「冤罪」が生まれる恐ろしさが
実にリアルに描かれていて、衝撃を受けた。
「冤罪」というテーマも重く、今の日本の司法の
あり方が問われる作品だと思った。

『エムエス 継続捜査ゼミ2』
著者:今野敏
出版社:講談社
価格:¥1,600(税別)

最強の女スパイ登場!『十三階の女』

「女性秘匿捜査官・原麻希」
「警視庁‘女性犯罪’捜査班 警部補・原麻希」
「警視庁53教場」、「新東京水上警察」など
多くの警察小説のシリーズを描きつづける吉川英梨さん。

どのシリーズもめちゃめちゃ面白く、弱そうに見える
けど、覚悟を決めたらやたらに強くなる女性たちが
とても魅力的で大好きだ。

『十三階の女』は今までの女性刑事とは全く違う。
公安の女性刑事が主人公。

警視庁の公安秘密組織に属する、公安の中でも
エリート中のエリートが集められた精鋭部隊、
組織は警視庁の「十三階」に存在する。

国家をテロリストや異分子から守るため、
時に非合法で非情な手段に出る。
盗聴・盗撮・身分偽装など何でもやる。

その十三階で最強と言われる女性刑事・黒江律子は
新人でありながら、突出した仕事ぶりで
上司の信頼も厚かったが、テロリスト
「名もなき戦士団」から情報を得るため、
ハニートラップを仕掛けたものの失敗!
北陸新幹線を爆破されてしまう。
己の未熟さを痛感した律子は、仕事から離れる。

だが、「十三階」は律子を見捨ててはいなかった。

「名もなき戦士団」を壊滅させるため、新たな
ターゲットを絞り、律子は再びハニートラップで
男を惹きつける。彼の心を自分に向けるため、
様々な情報を引き出し、取引に使う。
次第に男にのめり込んでゆく律子。
男を本当に愛してしまったのかだろうか?
任務に没頭するあまり、壊れてゆく律子・・・。

律子の行動は、どこまでが演技でどこまでが本気なのか?
嘘と真実の狭間で主人公自身が激しく揺れ動いている。
そして、読んでいる方も翻弄される。

愛したかもしれない男との壮絶な騙し合いで疲れ果てる
律子。弱く脆い、そんな風に思えたがクライマックスで
彼女の強さが爆発する!

今までのシリーズで登場した女性刑事と一線を画す。
職務に対する凄まじいまでの熱量が、律子の魅力。

この作品で新たな女性刑事像が確率されたようだ。
めちゃめちゃ面白かった。
次回作が待ち遠しい~。

『十三階の女 警視庁公安部特別諜報員・黒江律子』
著者:吉川英梨
出版社:双葉社(文庫)
価格:¥713(税別)