マリア&漣シリーズ第3弾、ただ事ではない面白さ。「グラスバードは還らない」

型破りな女性刑事マリアと
スマートな日系人刑事の漣が
難解な事件を解決する、本格ミステリー。
鮎川哲也賞受賞作、「ジェリーフィッシュは凍らない」
第2弾の「ブルーローズは眠らない」に続く
第3弾「グラスバードは還らない」を読みました。

不動産王のヒュー・サンドフォードが
大規模な希少動物の違法取引に関与して
いるという情報を掴んだマリアと漣は、
ヒューが所有するガラス張りの超高層ビル
「サンドフォードタワー」に向かった。

捜査令状もなし、事前のアポイントも
ない状態で乗り込んだマリアと漣。
当然、門前払いを食らってしまう。

しかし、ヒューの調査を諦められない
マリアは単身、突破を試みる。
漣は上司の無軌道な行動に呆れつつ
タワーに入っているテナントで調査を
開始した。

その直後、タワーが爆破された!
マリアはタワーの中に取り残された!

同じ頃、ヒューの懇親パーティーに
呼ばれていたガラス製造会社の関係者
4名は、知らぬ間に拘束され窓のない
迷宮に軟禁されたことに気づく。
なぜ拘束されたのか理由がわからないまま
戸惑う4人。
「答えはお前たち知っているはずだ」
というヒューからの不気味な伝言に怯える中、
灰色だった壁が突如透明に変わり、
血だまりに横たわる男の姿が浮かび上がる!

ガラス張りの迷宮と言う特異な
シチュエーションで起こる不可能殺人!
犯人と凶器はいったいどこへ消えたのか?
想像を絶するトリックに唖然!

さらに手に汗握る、超スリリングな
タイムリミットサスペンスを絡めた
この作品、シリーズ2作品の面白さを軽く超える。

真相が明らかになるクライマックスでは
前代未聞の逆転劇に思わず絶句!

王道のミステリー展開に、マリアと漣、
二人の魅力がプラスされ面白いことこの上ない!
シリーズを追うごとに面白さが増してゆく!

次回作も期待大!

『グラスバードは還らない』
著者:市川憂人
出版社:東京創元社
価格:¥858(本体¥780+税)