秋吉理香子さんの「聖母」を読みました。
「ラスト25ページ、世界は一変する。」
帯の惹句、まさにその通りでした。
翻訳の仕事をする、主婦・保奈美は
高齢で娘を一人授かった。
婦人科系の病でなかなか子供ができない
体質だったため、長い間不妊治療を行ってきた。
不妊治療中の耐え難い痛みや、何度かの
流産を経て、生まれてきた娘だった。
どんなにつらい日々や、仕事の忙しさも
娘の顔を見れば癒され、日々の活力に
なる。この子は天使だ・・・・。
そんなある日、保奈美は郊外の街で
幼稚園児が遺体で発見されたニュースを
見る。被害者は死後に性的暴行を
加えられていた。
そのニュースを聞いた保奈美は、大切な
娘は大丈夫なのかと不安に苛まれる。
警察は懸命に捜査を続けるが、犯人は
一向に捕まる気配がない。
娘を思う母の決意、「この子を守る!
そのためなら何でもする」。
保奈美は娘を守るためある行動を起こす。
読み進めるうちに、微妙な違和感に気づく。
そして段々と恐ろしい展開に繋がっていることがわかる。
しかし、そこまでだ。
ラストの予想をはるかに超えた衝撃的展開に、
唖然とし、思わず既読ページに戻ってしまった。
一体私たちは何を見せられていたのか?
緻密に練り上げられた、サスペンスミステリー。
著者が仕掛けた巧妙な罠にはまる!
『聖母』
著者:秋吉理香子
出版社:双葉社
価格:¥703(本体¥639+税)