隠蔽捜査シリーズ最新作、スピンオフ短編集「審議官 隠蔽捜査9.5」

今野敏さんの大人気シリーズ「隠蔽捜査」。
その新作は9編のスピンオフ短編集。
「審議官 隠蔽捜査9.5」(新潮社)。

様々な人間関係の中で、ややこしくなってくると
誰もが竜崎頼みになるところが超絶に面白かった。
「原理原則の男」、竜崎の言葉に誰もが救われる。

表題作「審議官」は、神奈川県警の刑事部長
として異動した竜崎が、米軍から特別捜査官
を迎えた件で県警本部長とともに、警察庁
長官官房に出向く。
その審議官からの理不尽な責任追及に頭を
悩ませる本部長に、竜崎はある提案をする。
という物語。
上司のご機嫌取りも、仕事のうちなのだ。

そのほか、竜崎がいなくなった後の大森署では
新任署長が道警から移動のため、着任が遅れ、
その間、貝沼と斎藤の二人が面倒くさい
管理官に翻弄されたり、大森署の新署長が
あまりにも美しい女性だったので、
管理官が足しげく通うようになり、捜査官の
戸塚の態度にいちゃもんをつけ、処分に相当
すると叱責されるなど、次々と二人の手に
負えない出来事が続く。
戸塚の態度が女性署長にどう思われるか心配
して悶々としていた貝沼。
しかし、女性署長の方が一枚上手だった・・

また、竜崎の家族も登場!
大森署管内で起きた女性の焼死体が発見された
事件で妻の冴子が内助の功を発揮!
息子が、外国の友人から預かった荷物が
覚せい剤ではないかと一人苦しむ。
娘が痴漢詐欺ではないかと疑われたり・・・。

さらに、おなじみの名脇役たちが活躍!

竜崎の行動で様々な事件や悩みことが
あっという間に解決してゆく。

シンプルに考えれば全く問題ないことなのに・・・。
と思うけれど、組織での人間関係は複雑怪奇。
竜崎のような考えかたが出来れば良いのに
といつも思ってしまう。

だからこそ、「隠蔽捜査」シリーズを読むと
いつも、とてもスッキリし読後はいい気分に
なれる。

今作も竜崎に救われた感じ。
最高に面白かった。

『審議官 隠蔽捜査9.5』
著者:今野敏
出版社:新潮社
価格:¥1,760(本体¥1,600+税)