「警視庁犯罪被害者支援課」シリーズとコラボ!「ラストライン④ 骨を追え」

堂場瞬一さんの3大人気警察小説シリーズ
コラボ企画第2弾は、
「警視庁犯罪被害者支援課」シリーズと
コラボした「ラストライン④ 骨を追え」だ。

ラストラインの岩倉剛と犯罪被害者
支援課の村野。
二人の刑事が火花を散らす!?

岩倉剛は、南大田署から立川中央署に
異動となった。
岩倉が異動するとなぜか事件が起こる。
岩倉は、「事件を呼ぶベテラン刑事」だ。

相棒と二人、立川中央署管内を
パトロール中、民家から白骨死体が
発見されたと通報があった。

岩倉はその現場を聞いて、10年前に
起こった女子高生失踪事件を思い出した。
調査の結果、白骨遺体は失踪した
女子高生の真中礼央と判明。

岩倉の上司は、事情を鑑み犯罪被害者
支援課の助けを借りることに。

犯罪被害者支援課の村野は、礼央の
両親に10年前の失踪事件を解決できなかった
ことを詫びた。

捜査陣の目は、礼央の交際相手だった
当時の容疑者に向けられたが、彼は
若くして癌に冒され、寝たきりに
なっていた。
そんな彼に対し、岩倉が強引に聴取
をしてしまい、父親の怒りを買う。

村野は被害者支援、さらには加害者
支援についても考えさせられる。

難事件を抱えることになった岩倉と村野。
立場は違えど、真犯人をあげることが
彼らの使命だ。

二人は反発しながらも協力し事件の
真相に迫る!

怪しい人物が次々と登場。
それらの中に真犯人はいるのか?
今作品は犯人当ても楽しめた。

コラボ企画第3弾は、「警視庁犯罪被害者支援課」
×「警視庁追跡捜査係」
8月発売!

『ラストライン④ 骨を追え』
著者:堂場瞬一
出版社:文藝春秋(文庫)
価格:¥869(本体¥790+税)

傑作!!警察小説アンソロジー「矜持」

人気警察小説作家が描くアンソロジー集を
読みました。
傑作短編揃いで、読み応え満点でした。

「熾火」今野敏
強盗犯を逮捕し自白も取れた事件だったが、
新人刑事の安積は、納得できないでいた・・・。
「警視庁臨海署安積班」、安積剛志の若き
刑事時代のエピソード。
周りの空気に流されず、信念を通す姿が
後の安積警部補に通じている。

「遺恨」佐々木譲
札幌の小さな町の交番勤務にはげむ川久保巡査。
ある日牧場主が殺害された。同日その牧場で働いて
いた中国人研修生らがが逃亡。
警察は中国人研修生が雇用問題で揉め、
牧場主を殺害したと判断した。
しかし、川久保はこの町の交番勤務だ。
本部の捜査員よりは町の人間関係を把握している。
川久保は本部とは別の角度から事件を見た・・・。
どれほど町に馴染もうと、川久保は警察官
としての正義を貫こうとする。

「帰り道は遅かった」黒川博行
タクシー強盗で、運転手が行方不明に!?
大阪府警東淀川署の黒マメコンビが事件の
行方を追う。
捜査を進めるうちに、この事件の裏にある
巧妙なカラクリに気づくが・・・。
大阪の刑事さんの漫才みたいなやり取りが
緊迫した事件を少し和らげてくれる。

「死の初速」安藤能明
マンションから男性が墜落したとの通報。
現場に臨場した、鎌田中央署・地域係の
神村五郎と西尾美加。神村は元教師。
高校で物理を教えていた。西尾はその
教え子だった。そんな二人が警察で再会。
まさか、相棒になるとは!!
神村は墜落死体を見て、違和感を感じる。
そして西尾と二人その違和感の謎に迫る
事件の真相があまりにも切なく衝撃的!!

「悩み多き人生」逢坂剛
お茶の水署生活安全係の名物コンビ。斉木斉
警部補と梢田威巡査。小学校の幼なじみで、
いつも小学生みたいな言い争いと手柄の奪い
合いをしている。今回はこの係にもう一人
配属されるという。
焦った二人は、ある事件でまたしても
お互いを出しぬこうとするが・・・・。
ラストは爆笑の展開!

「水仙」大沢在昌
新宿署の鮫島は、ある中国人女性から
殺人事件の重要情報を得る。
しかし、それには中国人女性の
思惑があった。
孤高の刑事・鮫島の刑事の勘が
冴えわたる。傑作短編。

どの作品も警察ミステリー面白さが
際立ち、事件の真相を追う刑事たちの
真摯な姿が描かれた傑作アンソロジー集。
警察小説ファン垂涎の1冊。

『警察小説傑作選 矜持』
著者:今野敏/佐々木譲/黒川博行/安藤能明/
   逢坂剛/大沢在昌
出版社:PHP研究所(文庫)
価格:¥780(税別)

「ラストライン」シリーズとコラボ!「時効の果て 警視庁追跡捜査係」

堂場瞬一さんの人気警察小説シリーズ
「警視庁追跡捜査係」の新刊
「時効の果て」は、「ラストライン」
シリーズとコラボレーションしている。

どちらも大好きなシリーズなので、
コラボになったことはとても嬉しい。
発売前からワクワクして待っていた。

31年前迷宮入りしたバラバラ殺人事件の
新証言が週刊誌の見出しを飾っていた。

追跡捜査係の西川は、「何だ?これは」
と思わず声を上げた。
その記事には犯人しか知りえない詳細な
事実が書かれていた。

追跡捜査係は、未解決の事件を捜査する
係だが、とうの昔に時効になってしまった
事件を今さら捜査することはできない。

しかし、新証言が週刊誌に掲載された
ことで警察の面子は潰され、上層部
が再捜査を命じてきた。

大学生の時にこの事件に興味を
持ち刑事になった岩倉剛は、西川に
連絡をとり、自分も再捜査に加えて
欲しいと言い出した。

そして正式に捜査が開始された。
まず、週刊誌側の責任者を聴取。
すると一人の男が浮かびあがる。

岩倉と西川はその男をマークする。
ところが、その男は何者かに拉致される。
すぐに追跡したが、拉致した男の車は
警察のマークに気づき事故を起こしてしまう。

岩倉たちがマークしていた男は骨折で入院。
謎の男は事故死してしまった・・・・。

岩倉と西川が必死で捜査するも、31年という
時間の壁に阻まれ、捜査は進まない。
さらに、謎の男の死で事件の真相に
近づくことすらできない。

二人は、31年前のバラバラ殺人事件の真相を
暴くことが出来るのか?

事件の真相を追う、二人の刑事の執念
に圧倒される。

岩倉の姿勢は後輩たちに煙たがられているようだ。
「ラストライン」で掴み切れなかった
岩倉のイメージが、この作品で西川の
目線が入ることによって、とても
頑固な奴だということがわかった。

それぞれのシリーズが交差する面白さが
際立っている!

3月は「骨を追え!ラストライン④」

次のコラボ企画は、8月発売!
「警視庁犯罪被害者支援課」と「追跡捜査係」の
コラボレーションだ。
どんな事件で誰とコラボするのか?
今から楽しみで仕方ない。

『時効の果て 警視庁追跡捜査係』
著者:堂場瞬一
出版社:角川春樹事務所(文庫)
価格:¥780(税別)

コロナ禍に挑む!「DASPA吉良大介コールドウォー」

榎本憲男さんの「DASPA吉良大介コールドウォー」は
「巡査長真行寺弘道インフォデミック」と対をなす作品。

2019年の暮れ、DASPAの吉良大介は、
ダークウエブの賭博サイトに
「2020年に東京オリンピックは開催
されるか?」
という不吉な賭けを発見する。

2020年になると新型コロナウイルスに
よる感染拡大で東京オリンピックは
2021年に延期すると発表された。

このコロナ禍で人々は不確かな情報に
よって右往左往する。
日本社会はゆるいロックダウンによる
「自粛」生活へと突入し、今まで
誰もが経験したことのない危機的状況
に追い詰められた。

そんな中、この空気感に抵抗するかの
ような発言をしたアーティストがいた。
「人は死ぬときに死ぬ」と発言し、
ライブ活動を続ける伝説的ミュージシャン・
浅倉マリが「浅倉マリと愚か者の集い」と称し、
大規模なライブ活動を開催すると発表したのだ。

吉良は、この事態に対処すべく、警視庁
捜査一課の水野玲子課長にプレッシャーを
かける。
吉良から圧力をかけられた水野は
部下の真行寺に浅倉マリの監視と
ライブを自粛するよう促した。

日本をバージョンアップするという
信念を持つ吉良大介。
コロナ禍という前代未聞の危機に
どう立ち向かうのか?

そして国家の危機に国民は国の政策に
従うべきという目線で語る吉良と
人は自由に生きることが大切だと信じる、
巡査長真行寺との対決シーンは、
「巡査長真行寺弘道インフォデミック」
本書「コールドウォー」の最大の見せ場。

コロナ禍にあり、右往左往する
国と、国の政策に期待を持てない
国民の心情というものを圧倒的な
臨場感で描き切っている。

「巡査長真行寺弘道インフォデミック」
「DASPA吉良大介コールドウォー」
2冊を読めばコロナ禍における日本社会
のリアルを感じ取ることが出来る。

また、真行寺弘道の影の相棒であるボビーや
捜査一課課長水野玲子が吉良大介とどういう
関係性にあるのかも読みどころ。

そういう意味でも、
「巡査長真行寺弘道インフォデミック」と
あわせて読むとさらにさらに面白い!

『DASPA吉良大介 コールドウォー』
著者:榎本憲男
出版社:小学館(文庫)
価格:¥850(税別)

コロナ禍の今をリアルに描く!「巡査長真行寺弘道インフォデミック」

榎本憲男さんの「巡査長真行寺弘道」シリーズ第5弾
「インフォデミック」を読みました。

このシリーズ、他の警察小説とは一線を画す、
独特の世界観がある。
一巻を読んだらクセになるほど面白い警察小説。

これまで、日本社会の闇、インドのカースト制度、
マイノリティ、日本の経済をテーマに
描かれてきた。

そして、2020年!
新型コロナウイルスの感染拡大によって
世界中に危機が訪れた。

このコロナ禍で人々は不確かな情報に
よって右往左往する。
誰もが経験したことのない危機的状況
に追い詰められた。

2020年春、新型ウイルスが世界中で猛威を振るい、
人々は不確かな情報に踊らされ、不安のみが増大。
仕事は在宅ワークとなり、出歩くな、人と会うな
イベントはすべて中止。さらに自粛警察まで
現れた。

そんな時、「人は死ぬときに死ぬ」とライブ活動を
続ける伝説的ミュージシャン・浅倉マリがメディアに
登場し、真面目に自粛している国民に向けて
過激なメッセージを発信した。

真行寺は、同居している森園みのるの
最近の様子になんとなく違和感を感じ
問い詰めると、件の浅倉マリを主催者に
白石サランの事務所「ワルキューレ」
を通じ大掛かりなライブコンサートを
企画していることを知る。

そして、真行寺は高齢な浅倉の監視と
ライブ活動の自粛を促すように、
上司の水野玲子捜査一課長に命じられた。

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、
ライブコンサートなど開催したらどうなるのか?
自由人、真行寺もさすがに白石に自粛する
よう促すが・・・・。

この件で白石との溝が出来てしまった
真行寺。そんなとき、浅倉マリが
新型コロナウイルスに感染し急死
したとの連絡が入った!

著者は5月にこの新型コロナウイルス
をテーマに描くことを決めたという。
ここに描かれたコロナ禍の状況は
あまりにもリアル。

リーダーたちの中途半端な政策に対し、
私たちの心の中の思いが代弁されていて、
真行寺の言葉や思いに共感できるところが
たくさんある。
こういう状況だから、上の言っている
ことはわかる、わかるけど・・・。
私たちのどうしようもないこの
モヤモヤっとした気持ちは、まさに
この作品にすべて描かれていると
言っても過言ではない。

さらに、5月の緊急事態宣言の後にやって
くるかもしれない、感染拡大第2波を
予言している。

物語の方向はというと、驚くべき
事態に展開してゆく!

この作品と対をなす
「DASPA吉良大介 コールドウォー」と
あわせて読むとさらにさらに面白いです!

『巡査長真行寺弘道 インフォデミック』
著者:榎本憲男
出版社:中央公論新社(文庫)
価格:¥800(税別)

日本社会のタブーに斬り込んだ!「ドクター・デスの遺産」

犬飼刑事シリーズ第4弾「ドクター・デスの遺産」
を読みました。

「安楽死」に対する著者の深い考察が
この作品をただの警察ミステリーと
して終わらせていない。
日本社会の背景がしっかりと描き込まれ
さらに問題提起されている。

警視庁本部に設置された通信指令
センターに一人の少年から通報があった。
闘病中の父が悪い医者に殺されたというのだ。
少年は昨日も同じことを通報してきた。
話を聞いた女性警官は、2日続けての
少年の訴えに同情し、捜査一課の
高千穂刑事に事情を説明した。

高千穂は、相棒の犬飼刑事に相談。
露骨に嫌そうな顔をされるが、
二人は少年の家に事情聴取に向かった。

母親は息子の勘違いだと説明したが、
近所の聞き込みにより、親子の
意見が食い違うことが発覚。
嘘をついているのは母親のようだ。

そこで、犬飼らが母親の周辺を調査すると
「ドクター・デス」という怪しい
サイトにアクセスしていることを
突き止める。

「ドクター・デス」は、安らかで
苦痛のない死を20万円で提供する
という医師が開設したサイトだった・・・。

この少年の通報を契機に、日本各地で
類似の事件が次々と明らかになる。

難航する捜査。
ドクター・デスと名乗る医師の正体とは?

海外ではすでに認められている「安楽死」。
日本では未だにタブー視されている。

しかし、苦しい痛みを伴う難病や末期がん
の凄惨さは本人もつらい、看病する家族もつらい。

愛する人の苦しみを少しでも軽減したい。
そして楽にしてあげたいと思うのは
いけないことなのか?

もし自分がそういう立場になったら
どうするだろう・・・?
「生」と「死」について、深く考え
させられる。

そして、物語中盤の驚くべき展開に
衝撃を受けた!

日本社会の歪みに「どんでん返しの帝王」が
鋭く斬り込んだ、究極の社会派ミステリー。

『ドクター・デスの遺産 刑事犬養隼人』
著者:中山七里
出版社:KADOKAWA(文庫)
価格:¥640(税別)

スーパー警察官僚誕生!「DASPA吉良大介」

「巡査長真行寺弘道」シリーズの著者、
榎本憲男さんが新たなヒーローを生み出した。

国家防衛安全保障会議DASPA・吉良大介だ。
彼の信念は、「日本をバージョンアップする」。

DASPAは、テロをはじめ、国家の
非常事態に対応するため内閣府
に設置された新たな組織。

各省庁から生え抜きのエリートが
集められた精鋭チーム。

警察庁警備局出身の吉良大介は
DASPAの要となるインテリジェンス班
サブチェアマンに抜擢されたキャリアだ。
長身でイケメンで仕事が出来る。
申し分ないが、ただ一つの欠点は
女性に弱いこと・・・。

DASPAスタート直前に、中目黒の
マンションで白人男性の変死体
が発見され、強力な毒による殺人
事件と判明する。

事件の背後で何が起こっているのか?

吉良の視点で描かれる日本政府の現状。
それがあまりにもリアル。
日本の政治の問題点が解りやすく詳細に
語られ、私たちが日本政府に対し、
日々モヤモヤと感じていることが
この本を読むことで解るのではないかと思う。

純粋に日本を良くしたいと考え
その方法を模索する吉良の姿勢は周囲から
見れば浮いた存在だととられるが、
「日本をバージョンアップする」という信念が
強く響いてくる。

また、吉良と自由人・真行寺弘道巡査長が
言葉を交わすラストシーンは特に印象的。

文句なく面白い新シリーズ登場だ!!!

『DASPA吉良大介』
著者:榎本憲男
出版社:小学館(文庫)
価格:¥820(税別)

シリーズ最高傑作と言っても過言ではない!「月下蠟人 新東京水上警察」

吉川英梨さんの「新東京水上警察」シリーズ
第5弾「月下蠟人」を読みました。

この作品は、シリーズの中で一番
心を揺さぶられました。

コロナ禍の東京。
警視庁五港臨時署強行犯係でも
皆マスク着用、感染リスクに戦々恐々と
している中、青海埠頭で死体があがったと
連絡が入り、刑事防犯課強行犯係・
係長の碇拓真は、部下の日下部と
共に現場へ向かった。

それは、不気味な光景だった。
東京湾に突き出す巨大なガントリークレーンに
死体らしきものが吊り下げられていたのだ。
慎重におろして見るとそれは蠟人形だった。
そして、その中から男性の刺殺体が発見された。
胸元には「996」という数字。
さらに、蠟人形の異様な製法・・・。
顔の完成度は完璧なのに、それ以外は
ざっくりと作ってある。
絶対にプロの仕事ではないだろう。

そんな謎めいた死体の身元を知るきっかけを
くれたのは、碇の恋人で人手不足を補う
ために助っ人に入った有馬礼子だった。

礼子のヒントから真相に迫る五港臨時署強行犯係。
しかし、捜査に集中すべき時、班長・碇の
様子がおかしい。日下部は、いつもと違う
碇の姿に不穏な空気を感じ取った。

一方、碇は今までにない重い十字架を背負う
ことに・・・・。

とにかく、冒頭からこのシリーズのファン
を驚愕させる展開!
どうなっているの!?
こんなのあり!?と思わず叫びたくなる!

そして蠟人形に固められた刺殺体の
事件の真相はあまりにも悲劇的!
さらに、碇が背負いこんだ問題も
この事件に多少なりとも関わってくるのだ。

同僚と結婚し妻の出産が間近い
日下部は、苦しむ碇を優しく気遣う。
日下部の人間としての成長が際立った本作。

事件の真相が徐々に明らかになる過程は
読んでいると胸が締め付けられる!
こんなひどいことが・・・・。

涙なくしては読めない今作。
ラストは号泣してしまった。

本当に、シリーズ最高傑作です!

『月下蠟人 新東京水上警察』
著者:吉川英梨
出版社:講談社(文庫)
価格:¥740(税別)

オレ詐欺の実態を描く!「ハイエナ 警視庁捜査二課本城仁一」

吉川英梨さんといえば人気の警察小説
シリーズが何作もあります。
「警視庁53教場」、「新東京水上警察」
「警部補・原麻希」「十三階の女」。
どのシリーズも面白くてはまります。

シリーズ以外の作品は、社会的に
メッセージ性の高い警察小説が
多いと思います。

本作『ハイエナ』はオレオレ
詐欺の実態と捜査二課の刑事の
執念が描かれた異色作。

定年間近い、警視庁捜査二課係長・
本城仁一は復興予算を横領している
復興庁の審議官を追い詰めるため、
その証拠を持ってバンコクへ逃走した
復興庁の職員を追っていた。
しかし、あと一歩というところで、
職員は証拠もろとも自殺。

バンコクまで行き、勝手な捜査を
したとして、帰国すると閑職への
異動が待っていた。
ところが本城はそれを蹴ってしまう。
そのため、辞職を迫られた。

そんな時、警察官僚として出世競争の
渦中にいる息子から、出向中に
詐欺組織に盗まれた警察手帳を
内密にとり返して欲しいと懇願された。

家庭を顧みず仕事に没頭し、息子の
面倒もあまり見てこなかった本城は
息子の隠匿に手を貸すことに。

手帳奪還の過程で本城が掴んだのは
極悪非道の詐欺の実態だった。

本城は、息子の警察手帳盗んだ
オレ詐欺の番頭・味田に迫る。

味田は殺人も厭わない恐ろしい男だ。
最終手段としてオレ詐欺組織に潜入する本城。

本城と味田の息詰まる頭脳戦に
ページをめくる手が止まらない。

本城の刑事の執念が味田を追い詰めるのか?

そして、あまりにも残酷なクライマックス。
こんな哀しい終わりがあるのか~~~~ッ

社会に幻滅している若者を集め、
オレオレ詐欺の架け子に仕立て上げる。
緻密に仕組まれたオレ詐欺のシステム。
架け子として訓練されたものたちが
巧妙な手口で高齢者を騙す。
そして騙される高齢者たち。
その描写があまりにもリアル!
ああ、こうして騙されるのか・・・・。
読んでいると恐ろしくなる。

金と権力をむさぼるハイエナたち。
このふたつの前に、正義とは
なんと儚いものか!!
しかし、それでも正義はあると信じたい!

『ハイエナ 警視庁捜査二課本城仁一』
著者:吉川英梨
出版社:幻冬舎
価格:¥800(税別)

「撃てない警官」シリーズ最新作!「消えた警官」

安東能明さんの「撃てない警官」シリーズ
最新作「消えた警官」を読みました。

綾瀬署で警務課長代理を務める柴崎は、
盗犯第二係の巡査・高野朋美とともに
事件の捜査をすることもある。
そこへ、前作より新たに加わった
上河内警部がいい味を出している!

綾瀬署管内では奇妙な事件が多発。

三年前のパトロールメモがゴミ
収集業者によって、署に届けられた。
江森という個人宅のゴミから発見
されたものだった。
何故今頃になって捨てたのか?
柴崎たちは、そのあたりが気になり
調査を始める。
その調査はやがてとんでもない事実に
繋がってゆく・・・。

高齢者福祉施設でボヤ騒ぎがあり、
入所者の女性が意識不明の重体となった。
柴崎は、部下の岩城警部補と高野巡査を
現場に派遣する。
当初は煙草の火の不始末と思われたが・・・。
女性が亡くなったことで、本格的に
捜査を開始すると、そこには想像を
絶する闇が蠢いていた。

綾瀬署交通課の事故処理が杜撰だと
クレームが入った。
ひき逃げ事件に端を発し、次々と
明らかになる杜撰すぎる事故処理の事実。
交通課でいったい何が起こっている?

女子高生が絞殺された。
管内では、ワンルームマンション
の空き部屋から仕切り板を壊し
隣室に侵入する手口の空き巣
が発生していた。
女子高生もその手口で侵入してきた
犯人と鉢合わせし、殺されたのでは?
と推察されたが、女子高生の周囲を
捜査すると意外な事実が
浮かび上がってきた!

綾瀬署生活安全課に異動してきた
小幡弘海巡査部長は、2年前に
忽然と姿を消した。
柴崎、高野、上高地の3人は
これまでの事件を解決しながら、
小幡の行方を追う。
それら事件の捜査の過程で幾度も
小幡の影を感じる柴崎。
果たして、小幡は生きているのか?

アンタッチャブルな警官失踪事件。
その裏には恐ろしい闇があった。

連作短編の強みを活かし、タイトルで
ある「消えた警官」の謎に迫る過程が面白かった。

そして、収録された物語の中の
数々の事件が非常にリアル。
ほんとにどこかで起こっているかも
と思ってしまった。

柴崎シリーズ、次回作も楽しみ!

『消えた警官』
著者:安東能明
出版社:新潮社
価格:¥800(税別)