誉田哲也さんの新・女刑事が渋い!「ドルチェ」

誉田哲也さんと言えば、「ストロベリーナイト」の
警視庁捜査一課・姫川玲子警部補があまりにも人気。
映画化・ドラマ化もされたし、当然だと思います。

しかし、もう一人、女刑事を主人公にした警察小説を発見!
はまさき、どちらかというとガツガツした姫川ちゃんより
こちらの渋い女性刑事が好きかな。
練馬署強行犯係・魚住久江。42歳、独身。
元警視庁捜査一課の優秀な刑事だったが、理由あって所轄に勤務。

ドルチェ

「袋の金魚」「ドルチェ」「バスストップ」
「誰かのために」「ブルードパラサイト」「愛したのが百年目」
以上の6編からなる短編集。どれもなかなかの読み応えで奥が深くて、
読み終わった後、ホッとする、心が温かくなってくる。

「袋の金魚」は子どもが死亡して母親は行方不明・・・!?
「ドルチェ」は男女間の恋のもつれに傷害事件が発生!その真相が切ない!
「バスストップ」は痴漢の疑いをかけられた男性。だがその真相はさらに切なく胸に迫る!
「誰かのために」は、傷害事件を起こした男性。いまどきの若者の典型だが、彼には秘密があった!
「ブルードパラサイト」は妻に刺された男。だが男には妻をそうさせた理由があった!
「愛したのが百年目」は、飲酒運転で友人をはねてしまった男。だが真相は!?

捜査一課での多忙な日々、心が荒む事件ばかりで魚住久江の心は病んでいったのかも
知れない。
練馬署強行犯係に異動後、魚住は、事件の被害者はもちろん、事件を起こした
加害者にも寄り沿い、表面だけでは窺い知れない事件の真相を暴いてゆく・・・。

派手な展開は無いが、渋くて深い警察小説。

『ドルチェ』
著者:誉田哲也
出版社:新潮社(文庫)
価格:¥550(税別)