最強の女スパイ小説第2弾!これ以上ないほど危険任務『十三階の神-メシア』

「女性秘匿捜査官・原麻希」
「警視庁‘女性犯罪’捜査班 警部補・原麻希」
「警視庁53教場」、「新東京水上警察」など
多くの警察小説のシリーズを描きつづける吉川英梨さん。

どのシリーズもめちゃめちゃ面白く、
1作品読んだら必ずはまってしまう。
作品に登場する女性刑事たちはとても
魅力的で大好きだ。

シリーズ第1弾『十三階の女』で衝撃的な
登場を果たした、最強の女スパイ・黒江律子。

公安の中でもエリート中のエリートが集められた
精鋭部隊、組織は警視庁の「十三階」に属し、
国家をテロリストや異分子から守るため、
時に非合法で非情な手段に出る。
盗聴・盗撮・身分偽装など何でもやる。

そんな黒江律子に与えられた新たな任務は、
禁断の暗殺指令だった!?

かつて地下鉄で大規模テロを起こし、
教祖はじめ、多数の信者が死刑判決を
受けた「カイラス蓮昇会」。
その教祖の死刑執行が迫り、警察は対応に
苦慮していた。

そんなとき律子の母がカイラスの後継団体に
入信してしまい、律子は窮地に陥った。
何とか母を止めなくては・・・。
しかし、相談できる上司の古池は行方不明に
なっていた。

ところが、校長と呼ばれている上司から
カイラス後継団体に潜入し、その裏の
教祖の正体を探れとの指令が入る。
裏の教祖は、若い女性を侍らせているという。
なんと、その上司は律子の妹を潜入させるよう
迫る。

抵抗した律子だったが、妹はあっさり引き受け
まんまと潜入に成功する・・・・。

オウム真理教事件を彷彿とさせる背景で、次々
と試練を与えられる律子。
律子が唯一心を開くことのできる、上司・古池
もおらず、十三階の誰も信用できない、
誰が味方で誰が敵なのか?それすらわからない
そんな状況でも律子は必死で仕事を続ける。

今作の怒涛のストーリー展開に、読んでいる
こちらも巻き込まれてしまいそうになる。
いったいどうなるのか?
さらに、クライマックスのどんでん返しは、
今までにないほどの驚きが待っている!

律子の途方もない頑張りにちょっと切なくなってしまった。

しかし!次回作も期待大~!

『十三階の神-メシア- 警視庁公安部特別諜報員・黒江律子』
著者:吉川英梨
出版社:双葉社(文庫)
価格:¥680(税別)

面白すぎてノンストップ!「逃亡刑事」

中山七里さんの警察ミステリー「逃亡刑事」が
面白すぎて止まらなかったです!

中山作品の中でも特に、
悪徳弁護士・御子柴シリーズや
渡瀬警部補、犬飼刑事が登場する
警察小説が大好きですが、
「逃亡刑事」の主人公、高頭冴子警部の
キャラが際立っていて、彼らがかすんで
しまいそうです!

千葉県警捜査一課で検挙率トップの班を
率い、アマゾネスと異名をとる、
強行犯係の係長の高頭冴子警部は、
正義感が強く、信念もって捜査にあたる
絶対的な上位下達で係をまとめる。
捜査能力にも長け、部下からの信頼も厚い。
身長180㎝、柔道・剣道いずれも強い
そんじょそこらの男どもなど朝飯前に片付ける!

施設に預けられ、そこで子供たちを指導する
教官に虐待をされた8歳の少年は、母親に
会うため、施設を脱走する。
その途中、少年はとんでもないものを目撃する!
危険な目にあいそうだったが、なんとか
その場を逃げ切った。

少年が脱走した翌日、閉店したカーディーラーの
店舗内で、単独で麻薬密売ルートを探っていた
刑事の銃殺死体が発見される。

捜査にあたったのは、高頭班。
高頭は広域暴力団宏龍会の幹部・山崎と
交渉し、麻薬ルートの情勢を探った。
山崎によると、謎の麻薬ルートがあるという。

事件を目撃した少年は、犯人の顔を見ていた。
少年の証言を参考に、押収物を調べると
千葉県警がぶっ飛んでしまうくらいの
危ない事実をつかむ。

ところが、事件の真相を知った高頭は、
真犯人に嵌められ、警官殺しの汚名を着せられる。
自分の無実を証明できるのは、その殺人を目撃
した8歳の少年ただ一人!

高頭は少年を連れ警察組織から逃亡する!
県警内部を敵に回し、高頭は逃げ切れるのか?

アマゾネス・高頭警部があまりにもかっこいい!
警察の正義のために命の危険も顧みず、真相を
暴こうとする姿勢に拍手喝采!

また、二人が逃亡中に出会う人情厚い人々が
彼女たちをサポートする。
何が正しくて、何が悪なのか?
高頭は彼らとの出会いの中で人間として
警察官として成長するのだ。

めちゃめちゃ面白く、時間を忘れて読み
ふけりました。
高頭班の活躍、もっと読みたいです!

『逃亡刑事』
著者:中山七里
出版社:PHP研究所(文庫)
価格:¥780(税別)

過酷な運命を背負う刑事を描く!『ブラッド・ロンダリング』

吉川英梨さんといえば人気の警察小説
シリーズが何作もあります。
「警視庁53教場」、「新東京水上警察」
「警部補・原麻希」「十三階の女」。
どのシリーズも面白くてはまります。
シリーズ1作目を読んでしまうと、
次から次へと読みたくなるのです。

また、シリーズでない作品は、社会的
メッセージが強いかなと感じます。
「雨に消えた向日葵」は少女誘拐事件を
通して、日本社会の病理に斬り込み、
心が揺さぶられました。

そして、最新作『ブラッド・ロンダリング』は、
過酷な運命を背負わされた人たちの悲痛な叫びが、
胸に響きます。

警視庁刑事部捜査一課に新人刑事が配属された。
彼の名前は、真弓倫太郎。父親も祖父も警察官。
しかし、彼には絶対に知られてはならない秘密があった。

その日、マンションの駐車場の車に真っ逆さまに
突き刺さった死体が発見された。
男の身元はすぐに判明。雑誌記者で、遺書が
遺されており自殺と断定される。
しかし、遺体の靴に残っていた塗料が気になった
警視庁刑事部捜査一課の二階堂汐里は
事件性があると感じた。

汐里は、なかなか心を開かない倫太郎を気遣う。
そして、グイグイと捜査に引っ張り込む。

記者の周囲を探っている内に、ある人気女優の
スキャンダルを追っていたことが判明する。
そして、女優が所属する芸能事務所では最近に
なってその女優のマネージャーが辞めたことが
わかった。
だが、そのマネージャーも自殺死体で発見される!

事件性ありと見た汐里たちは、本格的に捜査を
開始。やがて一つの集落を消滅させた凄惨な
大火事にたどり着く。

都会で起きた二つの変死事件、
かたや、奈良の限界集落で起きた自殺事件。
そして過去に起きた凄惨な火災事件。
三つの事件が繋がった時、あまりにも哀しい
真実が浮かび上がる・・・。

捜査の過程で発覚した、大火災事件。
加害者家族が背負ったあまりにも過酷な運命。
どこに行こうと必ず暴かれる。逃げ場はない。

また、不可解な行動を続ける新人刑事・真弓倫太郎。
一体彼はどんな秘密を抱えているのか?
倫太郎が語った「僕は刑事になってはいけない」
という言葉の意味は?

婚約者を殺され心に深い傷を持つ、汐里。
今だ癒えぬ哀しみと苦しみを抱えつつ、
仕事を続けている。それを周囲に悟られぬように
男っぽく振る舞うが、本当は優しさに満ちている。

そんな汐里に好意らしきものを抱く倫太郎だったが…。

ブラッド・ロンダリング──
過去を消し去り、自らの出自を新しく作りかえる血の洗浄。
そこまでしなければならないほど、この国の
加害者家族は生きられないのか?
本人には何の罪もないのに!?
その怒りが、痛みが、叫びが心にガツンと響く。

歪み切った正義に支配された今の日本。
それが、どれだけの人を傷つけているのだろうか?
そんな中でも、傷ついた人の心に寄り添う
優しさが随所に描かれている。

ラストに汐里たちの上司・柿内が、悩む倫太郎に
かけた言葉にしびれた!!
この物語の終わりにふさわしい思った。

『ブラッド・ロンダリング 警視庁捜査一課殺人犯捜査二係』
著者:吉川英梨
出版社:河出書房新社
価格:¥1,600(税別)

緊迫感あふれる追走劇!「ダークナンバー」

クールすぎる、警視庁刑事部分析捜査係の女刑事と
野心家で超上昇志向・TV局の女性記者が
タッグを組んで、連続放火犯を追う。
緊迫度MAXの本格警察小説。

警視庁刑事部分析捜査三係の渡瀬敦子は、
プロファイリングで捜査本部のサポート
を行う。

現場の刑事たちからは、「プロファイリング」
は全くあてにされていないが、渡瀬は絶対に
引かない強さを持っている。

そんな渡瀬は、東京小金井市~小平市~
西東京市で起きている連続放火事件を追っていた。
監視カメラとプロファイリングで事件の
発生予測地点を示すが、外れるばかりで
捜査本部からの反発が強くなっていた。

一方、ある事件報道のミスで閑職へ飛ばされた
東都放送報道局の土方玲衣は、記者復帰を狙い
中学の同級生だった、渡瀬に接触する。

難事件に挑む女性捜査官―。視聴者の注目を
集める内容を看板番組「ニュース・Ⅹ」で
取り上げることを思いついたのだ。
渡瀬には土方にNOと言えない弱みがあった。

土方は渡瀬の番組をより盛り上げるため、
連続放火事件と同じころ埼玉県で発生していた、
連続路上強盗致死傷事件を調べていた。

やがて、土方は二つの凶悪事件がある線で
繋がっているのではないかと気づく。
二人は情報共有し、この事件の背後にある
驚くべき事件の真相にたどり着く・・・。

そして、衆議院選挙の開票日、土方は
前代未聞の事件中継を画策する!!

複雑にからむ二つの事件。
次第に明らかになる犯人像。
犯人の目的は一体何なのか?

さらに、クライマックスの犯人追走劇は、
土方、渡瀬、犯人と3人の視点で描かれ、
それぞれの思惑が交差し、緊迫感が半端ない。
土方と渡瀬の執念は犯人確保につながるのか!?

警察捜査の過程の面白さ、意外な犯人像と
事件の真相に驚愕しつつ、
渡瀬と土方、二人の女性の仕事に対する
強い思いが心に突き刺さった作品。

『ダークナンバー』
著者:長沢樹
出版社:早川書房
価格:¥960(税別)

昭和・平成の豪華作家陣が描く警察小説アンソロジー『葛藤する刑事たち』

警察小説の黎明期から覚醒期まで
3期に分け、その時代の警察小説
作家による傑作短編を集めた。
警察小説がどのようにの進化して
きたのかが読めます!

第一期(黎明期) 
松本清張『声』
新聞社の女性電話交換手は、深夜に繋いだ
電話先から不審な男性の声を聞いた。
耳朶に残る、不審な男の声・・・。

藤原審爾『放火』
ある社長の建築中の家が放火された。
若い巡査は初めての放火事件で張り切るが、
聞き込みをしてゆくと意外な事実が浮かび
上がる。

結城昌治『夜が崩れた』
暴力団と関わりのあった兄を持つ
刑事の婚約者。その兄が強盗殺人
事件を起こした。刑事は単独で事件を
追うが・・・。

黎明期の警察小説の面白さは、刑事たちが
徹底して現場にこだわる捜査。チーム力で
捜査を行う警察小説の醍醐味を味わえる。
特に松本清張の「声」は、印象に残る
ストーリー展開。
また、小説に登場する事件も現在に
通じるところがあり、今読んでも新鮮に感じる。

第二期(発展期)
大沢在昌『老獣』
新任の警官が老婆の許を訪ねる。
彼はこの街を守れるか・・・?
不思議な世界観が印象に残った。

逢坂剛『黒い矢』
女性が夜帰宅途中、ボーガンの矢が刺さるという
事件が発生した。御茶ノ水署の斉木と
梢田は捜査に駆り出される。
犯人はすれ違った暴走族のはずだったが・・・
人気の御茶ノ水署シリーズ。

今野敏『薔薇の色』
ジャズバーの一輪挿しに活けてある薔薇の花。
いつもは赤いバラだが、時々、違う色の薔薇が
ある。その意味は?交機隊の速水が出した
問いに、安積班の須田と村雨が推理を展開する。
果たして安積班長はどう答える・・・?
安積の推理に誰もがうなる。
大好きな短編。東京湾臨海署安積班シリーズ。

発展期は、それぞれ警察小説にシリーズ化が
生まれ、そのキャラクターたちの魅力と、
事件要素、そして推理、リアルな警察捜査の
過程が描かれて面白さが増した。

第三期(覚醒期)
横山秀夫『共犯者』
銀行強盗の通報訓練のはずが、実際に
銀行強盗が起こってしまった!
「顔FACE」の平野瑞樹巡査が主人公。

月村了衛『焼相』
対テロ用に開発された歩行型軍用有人兵器を
着用した極悪犯が、児童を人質に立て籠もり
事件を起こした!
SITとSAT、攻防の行方は・・・!
近未来警察小説、「機龍警察」シリーズの短編。

誉田哲也『手紙』
女性会社員が殺害された。姫川玲子は
その捜査本部で女性警官とパートナー
を組む。姫川はこの頃から上昇志向が
強く、コンビを組んだ女性警官を出し抜いて
真相を暴くことに成功する。
女刑事・姫川玲子の若かりし頃のエピソードだ。

この頃は、多くの女性刑事が登場する。
男性社会の警察組織の中でいかに生き抜くか?
平野瑞樹のようなタイプや、姫川の
ようにタフに生き抜く強さが描かれる作品もある。
また、複雑な警察組織内部に焦点をあてた
作品が多く生まれた。「機龍警察」は特に
特捜部と刑事部との軋轢が非常にリアルに
描かれ、さらに近未来のSF的な面が見事に
融合した傑作だと感じる。

思う存分警察小説が堪能できる短編集だ!

『葛藤する刑事たち 警察小説アンソロジー』
著者:村上貴史編集
出版社:朝日新聞出版
価格:¥800(税別)

女刑事・原麻希再登場!「警視庁捜査一課八係 警部補・原麻希レッド・イカロス」

捜査一課八係・八班に異動となった
原麻希の新たな活躍を描く!

「女性犯罪」捜査班にいた原麻希は、捜査一課
八係に異動となった。
係長は麻希の元恋人だった広田達也だ。
さらに、以前「女性犯罪」捜査班で一緒だった、
鍋島も一緒だ。

そこへ平成生まれの手塚大翔巡査部長が配属されてきた。
何かあればすぐにスマホで調べ始める手塚を見て、
広田は渋い顔をする。「スマホ刑事」などと揶揄
する始末。

だが、広田の刑事としての矜持を見た手塚は、
スマホで調べるのも大事だが、刑事は足を
使って捜査をするという広田の言葉で一歩踏み出す。

気弱だった手塚は、広田の言葉で徐々に刑事として
目覚めてゆく。

そんな経緯の中、ある住宅街で年配者の不自然な
連続孤独死が発覚する。
事件性があると判断した麻希は、八係のメンバーで
捜査を開始。

そこで、連続孤独死の一人の女性の遺品から
ノートが発見される。そこには「米村さん
ごめんなさい」と綴られていた。

捜査が進むにつれ、連続孤独死事件の裏に、
過去に日本中を震撼させた悪質な詐欺事件が
関わっていたことが判明する。

麻希たちの捜査、手塚が必死で集めた情報、
誰も期待してなかった鍋島の意外な活躍で
事件の全貌が明らかになるかと思えたが….。

それは予想だにしない巨悪と繋がっていた!

この作品、いつもと感じが違う思ったら、
原麻希の猪突猛進の捜査シーンよりも、
手塚の活躍に焦点を充てている感じ。
手塚の成長も描かれて新鮮だ。

八係の捜査は、誰もが違う方向から調べて
いたのに、最後にピタッとはまって思わず
凄い!!と叫んでしまった。

警視庁捜査一課八係シリーズ、最高に面白いです!

『警視庁捜査一課八係 警部補・原麻希 レッドイカロス』
著者:吉川英梨
出版社:宝島社
価格:¥640(税別)

最強の女スパイ登場!『十三階の女』

「女性秘匿捜査官・原麻希」
「警視庁‘女性犯罪’捜査班 警部補・原麻希」
「警視庁53教場」、「新東京水上警察」など
多くの警察小説のシリーズを描きつづける吉川英梨さん。

どのシリーズもめちゃめちゃ面白く、弱そうに見える
けど、覚悟を決めたらやたらに強くなる女性たちが
とても魅力的で大好きだ。

『十三階の女』は今までの女性刑事とは全く違う。
公安の女性刑事が主人公。

警視庁の公安秘密組織に属する、公安の中でも
エリート中のエリートが集められた精鋭部隊、
組織は警視庁の「十三階」に存在する。

国家をテロリストや異分子から守るため、
時に非合法で非情な手段に出る。
盗聴・盗撮・身分偽装など何でもやる。

その十三階で最強と言われる女性刑事・黒江律子は
新人でありながら、突出した仕事ぶりで
上司の信頼も厚かったが、テロリスト
「名もなき戦士団」から情報を得るため、
ハニートラップを仕掛けたものの失敗!
北陸新幹線を爆破されてしまう。
己の未熟さを痛感した律子は、仕事から離れる。

だが、「十三階」は律子を見捨ててはいなかった。

「名もなき戦士団」を壊滅させるため、新たな
ターゲットを絞り、律子は再びハニートラップで
男を惹きつける。彼の心を自分に向けるため、
様々な情報を引き出し、取引に使う。
次第に男にのめり込んでゆく律子。
男を本当に愛してしまったのかだろうか?
任務に没頭するあまり、壊れてゆく律子・・・。

律子の行動は、どこまでが演技でどこまでが本気なのか?
嘘と真実の狭間で主人公自身が激しく揺れ動いている。
そして、読んでいる方も翻弄される。

愛したかもしれない男との壮絶な騙し合いで疲れ果てる
律子。弱く脆い、そんな風に思えたがクライマックスで
彼女の強さが爆発する!

今までのシリーズで登場した女性刑事と一線を画す。
職務に対する凄まじいまでの熱量が、律子の魅力。

この作品で新たな女性刑事像が確率されたようだ。
めちゃめちゃ面白かった。
次回作が待ち遠しい~。

『十三階の女 警視庁公安部特別諜報員・黒江律子』
著者:吉川英梨
出版社:双葉社(文庫)
価格:¥713(税別)

最強の女刑事・淵神律子シリーズ第2弾『スカーフェイスⅡデッドリミット』

「SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室」、
「生活安全課0係」シリーズなど、今人気の
警察小説を描き続ける、富樫倫太郎さんの
異色の警察小説、「スカーフェイス」。

前作が非常に面白かったので、シリーズに
ならないかなと思っていたら、第2弾が発売されました。

律子の荒っぽさは変わらず、警視庁内部でも
敵が多い淵神律子。

しかし、特別捜査第三係のメンバーは、淵神の
優秀さを知っている。

ある時、一人の男が人体の一部とパソコン持って
警視庁に出頭してきた。
それらを詰めたバッグの中から一枚のメッセージが
出てきた。そこには「淵神律子以外のものはさわるな」
と書いてあった。

淵神は、出頭してきた男に覚えがない・・・。
過去の事件が関わっているのか?

そしてパソコンの映像には、生き埋めにされた
若い女性の姿と48時間後には酸素が無くなるという
カウントダウン表示があった。
早急に動かなければ女性が死んでしまう!

淵神をメインとする捜査態勢に捜査一課の面々は
激昂するが、上からの指示で矛を収めざるを得ない。

重要データへのアクセス権をとりつけた、淵神は
特別捜査第三係の円・藤平とともに捜査を開始。
やがて、被害者二人の身元が判明する。

被害者はある「AV」で繋がったのだ・・・・。

律子はこの捜査に没頭する。しかしその裏では
もう一つの事件が進行していた。

警察小説としては非常に面白い。
だから、次々とページが進んでしまう・・・。

ちょっとしたはずみで底辺に落ちた女性たち。
小さな夢を持ちつつ、それを叶えようと必死な女性たち。
そんな彼女たちを言葉巧みに誘い、最悪の場所へと陥れる!
人の心を持たない、ケモノのような人間たちの
所業に淵神たち刑事は言葉もない・・・。

衝撃を通り越し、心に痛みが永遠に残る哀しいストーリーだ。

『スカーフェイスⅡ デッドリミット 警視庁特別捜査第三係・淵神律子』
著者:富樫倫太郎
出版社:講談社(文庫)
価格:¥780(税別)

驚異のデビュー作!探偵小説にニューヒロイン誕生「虚の聖域」

すごい新人さんが出ました!
元警察官の松嶋智左さんが描いた、
『虚の聖域 梓凪子の調査報告書』は
第10回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作です。

ある事件を起こし、警察を辞めた梓凪子は、
小さな探偵事務所の調査員になっていた。

そんな凪子の元へ調査の依頼が舞い込んだ。
それは、姉・未央子からの依頼だった。
女手一つで育てた息子・輝也がビルの屋上から転落して
亡くなった。その事件を調べて欲しいと言うのだ。
犬猿の仲の姉・未央子の依頼は断りたかったが、
凪子にとっては、たった一人の「甥」のこと。
仕方なく調査を始めるのだった。

警察では自殺と判断されていた。
しかし、学校でイジメがあったかも知れないと
判断した凪子。学校で調査をするが、教師らは酷く冷淡だった。

そんなある日、凪子は凶器をもった男たちに襲撃される。
ただのいじめによる飛び降り自殺ではないと確信した凪子は、
事件の背後に隠された真相を暴く決意をする。

決して責任を認めない学校側、なにかを隠している姉。
なぜか不可解な行動を繰り返す輝也の同級生・・・。
事件を解く鍵は、彼らの「無言」の中にしっかりと
横たわっている。それをどう起こしてゆくのか?

ハードボイルドタッチで描かれているが、凪子の過去や背景が
しっかりと描き込まれていて、ただただかっこいい女性探偵もの
とは違うイメージ。そんな凪子にシンパシーを感じてしまった。

事件の背景は「中学生の死」。いじめがテーマなのかと思い
読み進めると、全く違う展開を見せる。
謎の提示とストーリー展開が非常に上手く、最後の最後まで
何が起こるかわからない!
ミステリー小説として充分堪能できた!

探偵小説にニューヒロイン誕生。
ぜひシリーズ化してほしいと思う。

『虚の聖域 梓凪子の調査報告書』
著者:松嶋智左
出版社:講談社
価格:¥1,700(税別)

「アゲハ」の戦慄再び!『警視庁‘女性犯罪’捜査班 警部補・原麻希 蝶の帰還』

女性刑事が主人公の大人気警察小説シリーズ
「女性秘匿捜査官 原麻希」。
その続編とも言うべき新たなシリーズ
「警視庁‘女性犯罪’捜査班 警部補・原麻希」。
こちらも非常に面白い!!!
すでに4冊が発売中で、最新作は「蝶の帰還」です。

捜査のためなら、猪突猛進!
天才的刑事の感とキレッキレッの洞察力で
事件の本質を見抜く原麻希。
旦那は元公安刑事、15歳も年上ですでに退職。
しかし、今作はこの旦那が現役の公安刑事として
活躍した暗い過去も登場。妻には言えない秘密が
あった。

警視庁捜査一課の広田は娘の授業参観のあと、
下北沢で女性遺体が見つかったと連絡が入る。
急遽現場に駆け付けた広田は、そこが以前、
原麻希とともに巻き込まれた殺人事件の
現場だと気づく。
妙な胸騒ぎを感じる広田・・・・。
すると今度は広田の娘が何者かに誘拐されてしまう!!

すべてが8年前の「アゲハ」事件と酷似していると
気づく・・・。
アゲハの再来なのか・・・?

警視庁は広田の娘を誘拐した犯人が「アゲハ」で、
秘かに日本にもどっていたアゲハが再び国外逃亡を
企てていると推察する。さらに「FBI」施設への
テロを計画しているという疑いも出てきたため、
公開捜査に踏み切った。

一方、広田と麻希は別ルートでアゲハの行方を
追っていた。そしてついにアゲハの元に
辿り着く!
だが、そこには想像を絶する展開が待っていた!

アゲハこと、戸倉加奈子が再び登場。
8年前に逮捕されたあと彼女がどうなったのか?
麻希の夫、原則夫はどう関わったのか?
彼らの秘密が暴かれる。

すさまじい疾走感で怒涛の展開を見せる。
アゲハと麻希の対決。
2転3転する事件の真相。
その面白さはクライマックスまで止まらない!

シリーズ最高傑作!

『警視庁「女性犯罪」捜査班 警部補・原麻希 蝶の帰還 上下』
著者:吉川英梨
出版社:宝島社(文庫)
価格:上下各¥590(税別)