緊迫感あふれる追走劇!「ダークナンバー」

クールすぎる、警視庁刑事部分析捜査係の女刑事と
野心家で超上昇志向・TV局の女性記者が
タッグを組んで、連続放火犯を追う。
緊迫度MAXの本格警察小説。

警視庁刑事部分析捜査三係の渡瀬敦子は、
プロファイリングで捜査本部のサポート
を行う。

現場の刑事たちからは、「プロファイリング」
は全くあてにされていないが、渡瀬は絶対に
引かない強さを持っている。

そんな渡瀬は、東京小金井市~小平市~
西東京市で起きている連続放火事件を追っていた。
監視カメラとプロファイリングで事件の
発生予測地点を示すが、外れるばかりで
捜査本部からの反発が強くなっていた。

一方、ある事件報道のミスで閑職へ飛ばされた
東都放送報道局の土方玲衣は、記者復帰を狙い
中学の同級生だった、渡瀬に接触する。

難事件に挑む女性捜査官―。視聴者の注目を
集める内容を看板番組「ニュース・Ⅹ」で
取り上げることを思いついたのだ。
渡瀬には土方にNOと言えない弱みがあった。

土方は渡瀬の番組をより盛り上げるため、
連続放火事件と同じころ埼玉県で発生していた、
連続路上強盗致死傷事件を調べていた。

やがて、土方は二つの凶悪事件がある線で
繋がっているのではないかと気づく。
二人は情報共有し、この事件の背後にある
驚くべき事件の真相にたどり着く・・・。

そして、衆議院選挙の開票日、土方は
前代未聞の事件中継を画策する!!

複雑にからむ二つの事件。
次第に明らかになる犯人像。
犯人の目的は一体何なのか?

さらに、クライマックスの犯人追走劇は、
土方、渡瀬、犯人と3人の視点で描かれ、
それぞれの思惑が交差し、緊迫感が半端ない。
土方と渡瀬の執念は犯人確保につながるのか!?

警察捜査の過程の面白さ、意外な犯人像と
事件の真相に驚愕しつつ、
渡瀬と土方、二人の女性の仕事に対する
強い思いが心に突き刺さった作品。

『ダークナンバー』
著者:長沢樹
出版社:早川書房
価格:¥960(税別)

昭和・平成の豪華作家陣が描く警察小説アンソロジー『葛藤する刑事たち』

警察小説の黎明期から覚醒期まで
3期に分け、その時代の警察小説
作家による傑作短編を集めた。
警察小説がどのようにの進化して
きたのかが読めます!

第一期(黎明期) 
松本清張『声』
新聞社の女性電話交換手は、深夜に繋いだ
電話先から不審な男性の声を聞いた。
耳朶に残る、不審な男の声・・・。

藤原審爾『放火』
ある社長の建築中の家が放火された。
若い巡査は初めての放火事件で張り切るが、
聞き込みをしてゆくと意外な事実が浮かび
上がる。

結城昌治『夜が崩れた』
暴力団と関わりのあった兄を持つ
刑事の婚約者。その兄が強盗殺人
事件を起こした。刑事は単独で事件を
追うが・・・。

黎明期の警察小説の面白さは、刑事たちが
徹底して現場にこだわる捜査。チーム力で
捜査を行う警察小説の醍醐味を味わえる。
特に松本清張の「声」は、印象に残る
ストーリー展開。
また、小説に登場する事件も現在に
通じるところがあり、今読んでも新鮮に感じる。

第二期(発展期)
大沢在昌『老獣』
新任の警官が老婆の許を訪ねる。
彼はこの街を守れるか・・・?
不思議な世界観が印象に残った。

逢坂剛『黒い矢』
女性が夜帰宅途中、ボーガンの矢が刺さるという
事件が発生した。御茶ノ水署の斉木と
梢田は捜査に駆り出される。
犯人はすれ違った暴走族のはずだったが・・・
人気の御茶ノ水署シリーズ。

今野敏『薔薇の色』
ジャズバーの一輪挿しに活けてある薔薇の花。
いつもは赤いバラだが、時々、違う色の薔薇が
ある。その意味は?交機隊の速水が出した
問いに、安積班の須田と村雨が推理を展開する。
果たして安積班長はどう答える・・・?
安積の推理に誰もがうなる。
大好きな短編。東京湾臨海署安積班シリーズ。

発展期は、それぞれ警察小説にシリーズ化が
生まれ、そのキャラクターたちの魅力と、
事件要素、そして推理、リアルな警察捜査の
過程が描かれて面白さが増した。

第三期(覚醒期)
横山秀夫『共犯者』
銀行強盗の通報訓練のはずが、実際に
銀行強盗が起こってしまった!
「顔FACE」の平野瑞樹巡査が主人公。

月村了衛『焼相』
対テロ用に開発された歩行型軍用有人兵器を
着用した極悪犯が、児童を人質に立て籠もり
事件を起こした!
SITとSAT、攻防の行方は・・・!
近未来警察小説、「機龍警察」シリーズの短編。

誉田哲也『手紙』
女性会社員が殺害された。姫川玲子は
その捜査本部で女性警官とパートナー
を組む。姫川はこの頃から上昇志向が
強く、コンビを組んだ女性警官を出し抜いて
真相を暴くことに成功する。
女刑事・姫川玲子の若かりし頃のエピソードだ。

この頃は、多くの女性刑事が登場する。
男性社会の警察組織の中でいかに生き抜くか?
平野瑞樹のようなタイプや、姫川の
ようにタフに生き抜く強さが描かれる作品もある。
また、複雑な警察組織内部に焦点をあてた
作品が多く生まれた。「機龍警察」は特に
特捜部と刑事部との軋轢が非常にリアルに
描かれ、さらに近未来のSF的な面が見事に
融合した傑作だと感じる。

思う存分警察小説が堪能できる短編集だ!

『葛藤する刑事たち 警察小説アンソロジー』
著者:村上貴史編集
出版社:朝日新聞出版
価格:¥800(税別)

女刑事・原麻希再登場!「警視庁捜査一課八係 警部補・原麻希レッド・イカロス」

捜査一課八係・八班に異動となった
原麻希の新たな活躍を描く!

「女性犯罪」捜査班にいた原麻希は、捜査一課
八係に異動となった。
係長は麻希の元恋人だった広田達也だ。
さらに、以前「女性犯罪」捜査班で一緒だった、
鍋島も一緒だ。

そこへ平成生まれの手塚大翔巡査部長が配属されてきた。
何かあればすぐにスマホで調べ始める手塚を見て、
広田は渋い顔をする。「スマホ刑事」などと揶揄
する始末。

だが、広田の刑事としての矜持を見た手塚は、
スマホで調べるのも大事だが、刑事は足を
使って捜査をするという広田の言葉で一歩踏み出す。

気弱だった手塚は、広田の言葉で徐々に刑事として
目覚めてゆく。

そんな経緯の中、ある住宅街で年配者の不自然な
連続孤独死が発覚する。
事件性があると判断した麻希は、八係のメンバーで
捜査を開始。

そこで、連続孤独死の一人の女性の遺品から
ノートが発見される。そこには「米村さん
ごめんなさい」と綴られていた。

捜査が進むにつれ、連続孤独死事件の裏に、
過去に日本中を震撼させた悪質な詐欺事件が
関わっていたことが判明する。

麻希たちの捜査、手塚が必死で集めた情報、
誰も期待してなかった鍋島の意外な活躍で
事件の全貌が明らかになるかと思えたが….。

それは予想だにしない巨悪と繋がっていた!

この作品、いつもと感じが違う思ったら、
原麻希の猪突猛進の捜査シーンよりも、
手塚の活躍に焦点を充てている感じ。
手塚の成長も描かれて新鮮だ。

八係の捜査は、誰もが違う方向から調べて
いたのに、最後にピタッとはまって思わず
凄い!!と叫んでしまった。

警視庁捜査一課八係シリーズ、最高に面白いです!

『警視庁捜査一課八係 警部補・原麻希 レッドイカロス』
著者:吉川英梨
出版社:宝島社
価格:¥640(税別)

最強の女スパイ登場!『十三階の女』

「女性秘匿捜査官・原麻希」
「警視庁‘女性犯罪’捜査班 警部補・原麻希」
「警視庁53教場」、「新東京水上警察」など
多くの警察小説のシリーズを描きつづける吉川英梨さん。

どのシリーズもめちゃめちゃ面白く、弱そうに見える
けど、覚悟を決めたらやたらに強くなる女性たちが
とても魅力的で大好きだ。

『十三階の女』は今までの女性刑事とは全く違う。
公安の女性刑事が主人公。

警視庁の公安秘密組織に属する、公安の中でも
エリート中のエリートが集められた精鋭部隊、
組織は警視庁の「十三階」に存在する。

国家をテロリストや異分子から守るため、
時に非合法で非情な手段に出る。
盗聴・盗撮・身分偽装など何でもやる。

その十三階で最強と言われる女性刑事・黒江律子は
新人でありながら、突出した仕事ぶりで
上司の信頼も厚かったが、テロリスト
「名もなき戦士団」から情報を得るため、
ハニートラップを仕掛けたものの失敗!
北陸新幹線を爆破されてしまう。
己の未熟さを痛感した律子は、仕事から離れる。

だが、「十三階」は律子を見捨ててはいなかった。

「名もなき戦士団」を壊滅させるため、新たな
ターゲットを絞り、律子は再びハニートラップで
男を惹きつける。彼の心を自分に向けるため、
様々な情報を引き出し、取引に使う。
次第に男にのめり込んでゆく律子。
男を本当に愛してしまったのかだろうか?
任務に没頭するあまり、壊れてゆく律子・・・。

律子の行動は、どこまでが演技でどこまでが本気なのか?
嘘と真実の狭間で主人公自身が激しく揺れ動いている。
そして、読んでいる方も翻弄される。

愛したかもしれない男との壮絶な騙し合いで疲れ果てる
律子。弱く脆い、そんな風に思えたがクライマックスで
彼女の強さが爆発する!

今までのシリーズで登場した女性刑事と一線を画す。
職務に対する凄まじいまでの熱量が、律子の魅力。

この作品で新たな女性刑事像が確率されたようだ。
めちゃめちゃ面白かった。
次回作が待ち遠しい~。

『十三階の女 警視庁公安部特別諜報員・黒江律子』
著者:吉川英梨
出版社:双葉社(文庫)
価格:¥713(税別)

最強の女刑事・淵神律子シリーズ第2弾『スカーフェイスⅡデッドリミット』

「SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室」、
「生活安全課0係」シリーズなど、今人気の
警察小説を描き続ける、富樫倫太郎さんの
異色の警察小説、「スカーフェイス」。

前作が非常に面白かったので、シリーズに
ならないかなと思っていたら、第2弾が発売されました。

律子の荒っぽさは変わらず、警視庁内部でも
敵が多い淵神律子。

しかし、特別捜査第三係のメンバーは、淵神の
優秀さを知っている。

ある時、一人の男が人体の一部とパソコン持って
警視庁に出頭してきた。
それらを詰めたバッグの中から一枚のメッセージが
出てきた。そこには「淵神律子以外のものはさわるな」
と書いてあった。

淵神は、出頭してきた男に覚えがない・・・。
過去の事件が関わっているのか?

そしてパソコンの映像には、生き埋めにされた
若い女性の姿と48時間後には酸素が無くなるという
カウントダウン表示があった。
早急に動かなければ女性が死んでしまう!

淵神をメインとする捜査態勢に捜査一課の面々は
激昂するが、上からの指示で矛を収めざるを得ない。

重要データへのアクセス権をとりつけた、淵神は
特別捜査第三係の円・藤平とともに捜査を開始。
やがて、被害者二人の身元が判明する。

被害者はある「AV」で繋がったのだ・・・・。

律子はこの捜査に没頭する。しかしその裏では
もう一つの事件が進行していた。

警察小説としては非常に面白い。
だから、次々とページが進んでしまう・・・。

ちょっとしたはずみで底辺に落ちた女性たち。
小さな夢を持ちつつ、それを叶えようと必死な女性たち。
そんな彼女たちを言葉巧みに誘い、最悪の場所へと陥れる!
人の心を持たない、ケモノのような人間たちの
所業に淵神たち刑事は言葉もない・・・。

衝撃を通り越し、心に痛みが永遠に残る哀しいストーリーだ。

『スカーフェイスⅡ デッドリミット 警視庁特別捜査第三係・淵神律子』
著者:富樫倫太郎
出版社:講談社(文庫)
価格:¥780(税別)

驚異のデビュー作!探偵小説にニューヒロイン誕生「虚の聖域」

すごい新人さんが出ました!
元警察官の松嶋智左さんが描いた、
『虚の聖域 梓凪子の調査報告書』は
第10回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作です。

ある事件を起こし、警察を辞めた梓凪子は、
小さな探偵事務所の調査員になっていた。

そんな凪子の元へ調査の依頼が舞い込んだ。
それは、姉・未央子からの依頼だった。
女手一つで育てた息子・輝也がビルの屋上から転落して
亡くなった。その事件を調べて欲しいと言うのだ。
犬猿の仲の姉・未央子の依頼は断りたかったが、
凪子にとっては、たった一人の「甥」のこと。
仕方なく調査を始めるのだった。

警察では自殺と判断されていた。
しかし、学校でイジメがあったかも知れないと
判断した凪子。学校で調査をするが、教師らは酷く冷淡だった。

そんなある日、凪子は凶器をもった男たちに襲撃される。
ただのいじめによる飛び降り自殺ではないと確信した凪子は、
事件の背後に隠された真相を暴く決意をする。

決して責任を認めない学校側、なにかを隠している姉。
なぜか不可解な行動を繰り返す輝也の同級生・・・。
事件を解く鍵は、彼らの「無言」の中にしっかりと
横たわっている。それをどう起こしてゆくのか?

ハードボイルドタッチで描かれているが、凪子の過去や背景が
しっかりと描き込まれていて、ただただかっこいい女性探偵もの
とは違うイメージ。そんな凪子にシンパシーを感じてしまった。

事件の背景は「中学生の死」。いじめがテーマなのかと思い
読み進めると、全く違う展開を見せる。
謎の提示とストーリー展開が非常に上手く、最後の最後まで
何が起こるかわからない!
ミステリー小説として充分堪能できた!

探偵小説にニューヒロイン誕生。
ぜひシリーズ化してほしいと思う。

『虚の聖域 梓凪子の調査報告書』
著者:松嶋智左
出版社:講談社
価格:¥1,700(税別)

「アゲハ」の戦慄再び!『警視庁‘女性犯罪’捜査班 警部補・原麻希 蝶の帰還』

女性刑事が主人公の大人気警察小説シリーズ
「女性秘匿捜査官 原麻希」。
その続編とも言うべき新たなシリーズ
「警視庁‘女性犯罪’捜査班 警部補・原麻希」。
こちらも非常に面白い!!!
すでに4冊が発売中で、最新作は「蝶の帰還」です。

捜査のためなら、猪突猛進!
天才的刑事の感とキレッキレッの洞察力で
事件の本質を見抜く原麻希。
旦那は元公安刑事、15歳も年上ですでに退職。
しかし、今作はこの旦那が現役の公安刑事として
活躍した暗い過去も登場。妻には言えない秘密が
あった。

警視庁捜査一課の広田は娘の授業参観のあと、
下北沢で女性遺体が見つかったと連絡が入る。
急遽現場に駆け付けた広田は、そこが以前、
原麻希とともに巻き込まれた殺人事件の
現場だと気づく。
妙な胸騒ぎを感じる広田・・・・。
すると今度は広田の娘が何者かに誘拐されてしまう!!

すべてが8年前の「アゲハ」事件と酷似していると
気づく・・・。
アゲハの再来なのか・・・?

警視庁は広田の娘を誘拐した犯人が「アゲハ」で、
秘かに日本にもどっていたアゲハが再び国外逃亡を
企てていると推察する。さらに「FBI」施設への
テロを計画しているという疑いも出てきたため、
公開捜査に踏み切った。

一方、広田と麻希は別ルートでアゲハの行方を
追っていた。そしてついにアゲハの元に
辿り着く!
だが、そこには想像を絶する展開が待っていた!

アゲハこと、戸倉加奈子が再び登場。
8年前に逮捕されたあと彼女がどうなったのか?
麻希の夫、原則夫はどう関わったのか?
彼らの秘密が暴かれる。

すさまじい疾走感で怒涛の展開を見せる。
アゲハと麻希の対決。
2転3転する事件の真相。
その面白さはクライマックスまで止まらない!

シリーズ最高傑作!

『警視庁「女性犯罪」捜査班 警部補・原麻希 蝶の帰還 上下』
著者:吉川英梨
出版社:宝島社(文庫)
価格:上下各¥590(税別)

猟奇殺人犯を追う超酒好き女刑事!?「スカーフェイス警視庁特別捜査第三係・淵神律子」

「SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室」、
「生活安全課0係」シリーズなど、今人気の
警察小説を描き続ける、富樫倫太郎さんの
異色の警察小説です。

連続猟奇殺人犯・ベガを追いつめた、淵神律子と先輩刑事。
だが、先輩刑事はベガに刺され大怪我を負ってしまう。
たった一人で犯人と対峙する淵神だったが、犯人の素早いナイフ
さばきで顔と腹に傷を負ってしまう。そのショックで拳銃を撃ち損じ、
あと一歩というところで取り逃がしてしまった。
大失態をしでかした淵神・・・。
ベガ逮捕に執念を燃やす、淵神は、その思いを忘れないように、
顔の傷はそのまま残した。

それから4年後、最強の女刑事に成長した淵神は、
次々と凶悪犯を逮捕してゆく。
だが、その荒っぽいやり方は、警視庁内部でも
問題視されるようになっていった。

淵神は、仕事のストレスを強い酒を飲むことで発散していた。
自分では認めていないが、アルコール中毒だった。
不遇な家庭環境の中で育ち、最愛の弟を亡くし、
心に深い傷を背負ったまま、刑事という職業を選ぶ。
まるで自分自身を痛めつけるような無謀な選択・・・?
だが、ルームメイトの看護師・景子の優しさが
淵神の唯一の癒しだった。
そして、景子にも誰にも言えない過去があり、
その重さに耐えきれずにいた。

物語は2部構成。「スカーフェイス」は、
淵神律子の刑事として能力の高さと強さが描かれる。
他の男性刑事に嫉妬されるほどだ。
だから、女刑事を認めない男性刑事からは憎まれる。
「警視庁特別捜査第三係」は、未解決の事件ファイルを
整理する閑職。そこへ左遷された淵神は、新たなスタッフとともに、
ベガの事件を追うことを決意する。

主人公・淵神律子のキャラクターが物凄くリアル。
男社会の中で、結果を出さなくてはならない女性の
苦悩や焦り、能力はあるのに認められない
という激しい憤りが手に取るようにわかり、
共感せずにはいられない!

そして、因縁の猟奇殺人犯・ベガの正体に迫ってゆく
展開がスリリングで面白い!

こちらもシリーズ化して欲しいほど、魅力的な主人公と
ストーリー。

『スカーフェイス 警視庁特別捜査第三係・淵神律子』
著者:富樫倫太郎
出版社:幻冬舎
価格:¥1,600(税別)

警部補・原麻希の切ない過去が明らかになる。「警視庁‘女性犯’罪捜査班 警部補・原麻希 氷血」

女性刑事が主人公の大人気警察小説シリーズ「女性秘匿捜査官 原麻希」。
その続編とも言うべき新たなシリーズが始まっています。
「警視庁‘女性犯罪’捜査班 警部補・原麻希」です。
すでに3冊が発売中で、この「氷血」がシリーズ最新作です。

捜査のためなら、猪突猛進!
天才的刑事の感とキレッキレッの洞察力で事件の本質を見抜く原麻希。
旦那は元公安刑事、15歳も年上ですでに退職。最終階級は警視正。
優しく温かい目で麻希を見守る。
この夫婦には、夫の息子とその後に出来た中学生の娘がいる。

今回は、休暇で麻希の実家がある北海道へ家族3人でやってきた。
麻希の夫・則夫は結婚して十年以上も経過しているのに、いまだに
麻希の父親にきちんと挨拶をしておらず、今回はそれが目的だった。
3人は麻希の実家できちんと義理を果たすと、観光に出かけた。
その観光中に寄った札幌の公園で、氷漬けとなった女性の遺体を発見する。

その女性は、以前東京に住んでいた頃に「女性犯罪」」捜査班に
ストーカー被害の相談に訪れていたことが判明した。
麻希は捜査に加わることになる。
道警の生活安全部ストーカー対策室室長は、瀧正義警部だった。
麻希は、瀧を紹介されたときに衝撃を受ける!

瀧は全く覚えていないようだが、瀧は麻希にとっては恩人なのだ。
麻希が警察官になったのは瀧の影響だからだ。
麻希は高校生のとき、忙し過ぎる両親の代わりに3人の兄妹の
面倒をみてきた。良い子に成りすぎたのが高校生でブチギレ不良になってしまった。
その時、瀧正義巡査に出会う。瀧は生活安全課少年係で、荒れた子どもたちに
真正面から向き合う、頼もしい巡査だった。
麻希も瀧に叱られると素直に従った。

しかし、今の瀧正義は昔の面影は全くない。
明らかにおかしい。覚せい剤の常習者のような顔つきだった。
だが、道警の誰もが瀧を空気のように扱っていた。
アンタッチャブルな存在になっていたのだ。

道警は以前から、警官たちの汚職が取りざたされていた。
銃や覚せい剤の検挙率をあげるために、暴力団を使い外国から
密輸させ、それをいかにも押収しました体で実績に挙げると
いうことを組織ぐるみでやっていた。

麻希は、今回の被害者は瀧が殺したのではないかと疑うが・・・。
しかし、瀧は誰かに操られているようにも感じる。

麻希は瀧を助けようと、女性殺害事件の真相を徹底的に暴こうと決意する。
それがどんな結果になってもだ。
また、夫の則夫も道警の膿を出すために協力を要請される。

道警での麻希の孤独な闘い。
瀧と麻希の切ない過去。それらが交互に描かれる。
これまでのシリーズにはなかった展開に、ワクワクする。
事件解決までの怒涛のクライマックスは圧巻!!

『氷血 警視庁‘女性犯罪’捜査班 警部補・原麻希』
著者:吉川英梨子
出版社:宝島社(文庫)
価格:¥590(税別)

最強の女性コンビ登場!「ガンルージュ」

「機龍警察」シリーズの月村了衛さんの描くアクション小説が、
とても面白く、読み終わった後の爽快感がたまらない。
特に昨年発売された、「槐-エンジュ」「影の中の影」の2作品が
そうだった。
何だか気持ちがざわついた時に、映画「ダイ・ハード」を視て
スッキリした気分になった・・!そんな読後感。

そしてこの「ガンルージュ」も上記の2作品に勝るとも劣らない面白さ!
特に主人公の女性二人の強烈なかっこよさに思わずニヤリとしてしまう!

ガンルージュ

ある田舎の中学校の体育教師・美晴は、およそ教師らしくない振る舞いで
PTAから目の敵にされていた。
しかし、男勝りでケンカにはめっぽう強い美晴は生徒から信頼されていた。
そんな美晴は、秋来祐太郎の母・律子がなんとなく気になっていた。
秋来律子は、そこらにいる普通の保護者たちとは異質の雰囲気を醸し出していた。
美晴は、動物的直感で秋来律子はただ者ではないと感じ取っていたのだ。

ある日曜日、律子は祐太郎と買い物に出掛ける約束をしていたが、祐太郎は
幼馴染の麻衣に呼び出され出掛けてしまう。だが約束の時間には戻ると言った。

祐太郎はいつも遊ぶ神社で麻衣と逢っていた。もう一人、友達が来るという。
だが、その友人から来れないとの連絡が入る。祐太郎は母と約束しているからと
帰ろうとしたとき、地元民が「別荘御殿」と呼んでいる方向から
何かが破裂したような音が聞こえてきた。
祐太郎と麻衣は、鉄砲の音ではないかと疑う。子どもっぽい好奇心から麻衣は
祐太郎が止めるのも聞かず、「別荘御殿」へと向かってしまう。
二人がそこで目撃したのは、スーツ姿の屈強な男たちの血まみれの死体だった!
彼らを襲撃した者たちは、貧相な老人を拉致し逃走しようとしていた。
祐太郎たちは、彼らに見つからないように逃げようとするが、
すぐに見つかってしまった!
そして、足を怪我して動けない老人を二人で抱えろと命じられ、
襲撃者たちに拉致されてしまう。

一方、約束の時間になっても戻ってこない祐太郎を心配した
律子は、祐太郎たちがよく遊んでいる神社に向かった。
その途中、美晴と出会う。いつになくあわてている律子をみた
美晴は律子と一緒に祐太郎を探すことに!
そして二人は「別荘御殿」の惨状を目撃!すべてを察した律子は
祐太郎たち救出に動く!

秋来律子は一体何者なのか?
拉致された男は?襲撃者の正体は?
そして、祐太郎たちは無事に生きてもどることが出来るのか?

そんなこと、ハッピーエンドに決まっているだろう!と突っ込みたく
なるけれど、わかっているけれど!読んでいくと主人公二人の過去や
律子の正体など次第に明らかになる下りは面白い!!
アクションシーンは映画のようだし、次はどうなる?どうなる?
祐太郎と麻衣は・・・?ワクワク、ドキドキの展開でページを捲る手が止まらないのだ!

何も考えず、ただめちゃめちゃ面白い小説が読みたい!
スカッとする小説が読みたい!人におススメ!
読み応えたっぷりのアクション警察小説であり、スパイ小説です。

『ガンルージュ』
著者:月村了衛
出版社:文藝春秋
価格:¥1,500(税別)