ミステリー界の伝説、連城三紀彦さんの傑作短編集「連城三紀彦レジェンド」

ミステリーの読書会で、連城三紀彦さんの作品を紹介されました。
はまさき、あまり連城作品を読んだ事がなく、
一番印象に残っているのは長編の「造花の蜜」です。

ほかにどんな作品があるのか?読んでみたくなったので、
綾辻行人氏、伊坂幸太郎氏、小野不由美氏、米澤穂信氏4名の
人気作家さんたちが厳選した、連城さんの傑作ミステリー集
「連城三紀彦レジェンド」を読みました。

連城レジェンド

綾辻行人さんおススメの「依子の日記」
戦争直後、東京から長野へ引っ越した作家夫婦。
そこへ、出版社の編集者という女性が現れ、
妻の秘密を盾に作家である夫を奪ってしまう・・・。
だが、作家夫婦は秘かにその女を殺害する計画を立てる。
女性の恐ろしさを描いたミステリ。「叙述トリック」の魔術師と
異名をとった連城氏の出発点となった作品。
もうひとつ綾辻さんおすすめの「親愛なるS君へ」
これは、ちょっと恐い。
フランスで実際に起きた事件をヒントに描かれた
とっても怖いミステリー。この作品のヒントは
タイトルにもなっている‘S君’。
強烈なラストが忘れられなくなる!

伊坂幸太郎さんのおススメ「眼の中の現場」。
妻を事故で失った医者の元へ若い男が訪ねてきた。
その男は妻の愛人だったという・・・。
医者はなんのために男が自分に会いにきたのか?
想像がつかない。
しかし、男は妻について語りだした。
得体の知れない訪問者に対する医者の恐怖が伝わってくる。
そして、男が医者を訪れた真相が予想をはるかに超え、驚く。
さらに伊坂さんのおススメ「母の手紙」。
伊坂さん曰く、この本を読み始めた時点で母が告白する真実を
想像できる人はいない、とおっしゃています。
そうです。ほんとに思いもよりません。絶対に最後まで読まないと
わかりません。よくこんなこと考えたなと思ってしまいました。

小野不由美さんおススメの作品「桔梗の宿」。
六軒端と言われる遊興町の娼家が連なる川端で男の死体が発見された。
男の手には白い桔梗の花が握られていた。
捜査に赴いた若い刑事は、その娼家で出会った一人の娘に心を
奪われる。その娘は、何かを知っているように見えた・・・。
娼家で起きた殺人事件、若い刑事と娘の淡い恋心・・・。
切なくなるようなミステリー。

米澤穂信さんおすすめの「花衣の客」
狂おしいほどに恋心を抱く女性や、はかない恋心などを
描き、恋愛小説にも定評のあった連城さん。
この作品は、その狂おしいほど人を愛した二人の
女性の恋の行く末がミステリータッチで描かれている。
読んでいくと女性二人の恋心や葛藤が痛いほど伝わってくる。
ラスト、男によって語られる真実が強烈!
男ってやっぱり・・・・。

連城三紀彦の様々な作品が楽しめる本当の傑作選。
2013年に65歳で惜しまれつつ亡くなった連城さん。
その作品の素晴らしさを味わって欲しい!

『連城三紀彦レジェンド 傑作ミステリー集』
著者:綾辻行人/伊坂幸太郎/小野不由美/米澤穂信 編
出版社:講談社(文庫)
価格:¥590(税別)