傑作!ホラー短編集『などらきの首』

澤村伊智さんのホラー短編集『などらきの首』
は、霊媒師・比嘉姉妹シリーズ最新作。
「ゴカイノカイ」「学校は死の匂い」「居酒屋脳髄談義」
「悲鳴」「ファインダーの向こうに」「などらきの首」の
6編のホラー短編作品を収録。

どれも面白かったけれど、特に心に残ったのはこの3編。

父親から譲り受けた不動産で、「痛い、痛い」と謎の声
が聞こえる、さらに体に激痛が!その不動産の5階の
怪異現象に、人が居つかず。持ち主はなす術もない。
一体何が起きているのか?「ゴカイノカイ」

居酒屋で男どもが語る、「脳髄論」?
酒を飲みながら、男どもが偉そうに語っている。
いいかげん、うざいな~と思って読んでいたら
ラストで思い切りぶっとんだ!
思わずざま~みろ!でした・・・。「居酒屋脳髄談義」

祖父母の住む地域に伝わる「などらき」という化け物。
子どもの頃に意地悪な従弟に無理やり連れられ、
などらきの首が封印されているという洞窟に行った。
あるはずだった首は忽然と消えていた。高校になって
同級生の野崎と共に「首」消失の謎に挑むが・・・。
野崎初めての事件を描く!化け物の恐ろしさがひしひしと
伝わる・・・。怖かった。「などらきの首」

「学校は死の匂い」は小学校時代の比嘉姉妹が学校で続く
不気味な現象の謎を暴くというもの。
「悲鳴」はホラー映画にまつわる物語。
「ファインダーの向こうに」は心霊写真に絡めたちょっと
切なくなる物語。

どれも、背筋がす~っと冷たくなる感じ。
怖さの表現が上手すぎる!

真琴と野崎の出会い、琴子の学生時代などメインキャラクター
のエピソードが満載の短編集。

『などらきの首』
著者:澤村伊智
出版社:KADOKAWA(文庫)
価格:¥640(税別)