「警視庁犯罪被害者支援課」シリーズ第3作「二度泣いた少女」が泣ける!!!

堂場さんの警察小説シリーズ中でも特に大好きなシリーズです。
「警視庁犯罪被害者支援課」。

犯罪の被害者になった人、またその家族を支援する警察官の視点で
描かれた異色の警察小説。
被害者の気持ちを優先することで、捜査本部と衝突し邪魔者扱い
されることも度々あるが、支援課の面々は負けていない!!

二度泣いた

閑静な住宅街で男性が殺害された!
第一発見者は、その男性の娘である、
青木那奈という中学生の少女だった。

犯罪被害者支援課の村野が、電話でその
女子中学生の名前を確認した時、
同僚の松木優里は衝撃を受ける!
その少女は、8年前にも父親を殺害されていた!
松木が支援課に赴任した頃に担当した事件だったのだ!
そんな少女が、今度は義父の死体を発見したとは!?

松木は珍しく動転していた。そんな松木を現場に連れてゆく
事は出来ず、村野は若い女性刑事・安藤とももに出掛けた。
母親が倒れ、死体の発見者である那奈は病院にいた。

そこで村野が那奈に感じた違和感。
それはあまりにも気丈だということだ。
母親は倒れたというのに、まだ中学生の少女は
凛として母親を守ろうとしていた。

その違和感は、所轄の刑事も感じていたらしく、
さらに、8年前の事件のこともあり
那奈にきびしく事情を聞いたようだ。
そして、事件当日の那奈の行動に不審な点が
出てきたために、那奈に疑惑の目が向けられる・・・。

捜査本部は、所轄の刑事の那奈に対する印象と、
事件当日のアリバイがはっきりしないため、
那奈の犯行ではないかと疑い、その線で動いていた。

しかし、支援課の面々は那奈を疑惑からはずそうと必死。
真犯人を突きとめるために独自に動くことを決意。
そうなれば、捜査本部と全面対決だ。
だが、支援課課長・本橋は陰で支援課の面々が動きやすい
ように、バックアップをしていた・・・。

今回の事件は8年前の事件と繋がっているのか?
なぜ、義理の父親は殺されたのか?
支援課のメンバーが調べた断片的な事実がある1点で
繋がり、事件の真相が見えてくる!

那奈への松木の気遣いや、被害者を守ろうとする村野たちの
懸命な姿・・・。
そして、健気な女子中学生の姿に切なくなってくる。
人の優しさに胸が熱くなる警察小説だ。
このタイトルの意味はとても深い!!

実は、捜査の過程で男子中学生が連絡が取れなくなっている!との
事件で、警視庁失踪課の名前が挙がる。
登場するのは、もちろん高城賢吾だ。
シリーズをまたいでの人気キャラクターの顔出しは、ファンにとっては
たまらない!

シリーズ3作目にして一番の傑作だと思う。

『警視庁犯罪被害者支援課3 二度泣いた少女』
著者:堂場瞬一
出版社:講談社(文庫)
価格:¥770(税別)