ハード・ボイルドミステリーの極致!「失踪」ドン・ウインズロウ

ドン・ウインズロウ作品を初めて読んだ。
タイトルに惹かれて手に取ったのだ。
以前から、ウインズロウの作品は非常に面白いとの
評判が高く、「このミス」の海外編のランキングは常連だ。

失踪

ネブラスカ州警察リンカーン署に勤務するフランク・デッカー刑事。
ある夏の日、ヘイリーという5歳の少女が行方不明になったと無線連絡が入った。
デッカーは要請に応え、行方不明になった少女の家に向かった。
少女失踪で動揺する母親から事情を聞き、早速捜査を開始する。
しかし、捜査から3週間経過するも、少女の行方は杳として知れず、
誰もが絶望する中、第2の事件が起きた!!!!
幼い少女の遺体が発見され、責任を感じたデッカーは、
行方不明のヘイリーを是が非でも探し出すべく、警察を辞め、
わずかな目撃証言を手掛かりに、大都市ニューヨークへと向かった。

だが、そこでデッカーを待ち受けていたのは、さらなる試練だった。

少女救出に執念を燃やす、孤高の男・デッカーの生き様。
デッカーの緻密な捜査は、回り道をしながらも、やがて
真実に行き当たる!
少女は無事に救出されるのか!?少女の行方を追うデッカーは
どんなに危険な目に合おうとも絶対に逃げ出さない!!!

また、ヘイリーらしき少女の独白が物語の合間に挿入される。
読者にヘイリーは生きていると認識させつつ、
デッカーの捜査の行方とリンクし、次第に事件の核心へと
迫ってゆく。

孤独な元刑事・デッカーの生き方がハードボイルドタッチで
描かれ、さらに少女拉致事件に関わる人間模様が
ミステリアスに描かれていて、謎解きの醍醐味も味わえる。

ウインズロウ作品の隠れた傑作と呼んでも過言ではない
ハードボイルドミステリーの一級品だ!

『失踪』
著者:ドン・ウィンズロウ/中山宥訳
出版社:KADOKAWA(角川文庫)
価格:¥1,320(税別)