安積班の原点!東京湾臨海署安積班シリーズ最新作「道標」

2018年最初に読んだ作品は、今野敏先生の
東京湾臨海署安積班シリーズ最新作です。
タイトルは「道標」。今回は短編集です。

若き安積剛志の姿が初々しく描かれています。

安積班シリーズはこの最新作で17作目になる。
この作品で初めて安積剛志刑事が、なぜ誰からも信頼を置かれる
刑事に成長したのかが描かれていて新鮮だ。

安積は、刑事になりたくて警察官になった。
明確な目標のもと刑事を目指す安積の教場時代、
交通機動隊隊長の速水と同期で、教場時代の二人の出会い、
柔道の試合でのエピソードが素晴らしい。

卒配で中央署地域課に配属になった安積は、俗にいう
お巡りさんとして地域を巡回し小さな揉め事を
処理してゆく過程で一人の青年と出会う。
その青年との触れ合いに安積の誠実さと優しさが
あふれている。刑事を切実に希望する安積に
上司が仕掛けた「罠」を見事にかわした安積の心意気が
かっこ良すぎる!

安積が刑事になって初めての大きな事件は、強盗犯の
潜伏先へのウチコミ(家宅捜索)だった。
安積は、先輩刑事・三国とコンビを組むことになるが、
三国は安積の異動について少し斜に構えていた。
その理由を安積に聞かれとまどった。
しかし、安積のまっすぐさと屈託ない態度に
三国は安積を見直すようになる・・・。

この3編は、安積が刑事時代、先輩や周りの人たちから教えられた
ことを吸収し、一人前の刑事に成長してゆく過程が描かれている。
しかし、それだけではなく、安積の清らかさは、
先輩刑事の心を動かし、周囲を変えてゆく力を持っている。

やがて班長として班をまとめてゆく安積だが、
常にこれで良いのかと問う。
仲間たちは、そんな安積とともに仕事ができる
ことを嬉しく思っている。

そして鑑識の石倉係長が、安積班から依頼された調査を
真っ先に行うその理由もこの短編集で明かしている。

まさに、心に熱い刑事魂を持つ安積刑事の出来るまでが
様々なエピソードで描かれ、ファンにはたまらない1冊。

新しい年の初めに気持ちが晴れ晴れする作品を読んだ!
今年は良いことがあるかも!

『東京湾臨海署安積班 道標』
著者:今野敏
出版社:角川春樹事務所
価格:¥1,600(税別)