昭和・平成の豪華作家陣が描く警察小説アンソロジー『葛藤する刑事たち』

警察小説の黎明期から覚醒期まで
3期に分け、その時代の警察小説
作家による傑作短編を集めた。
警察小説がどのようにの進化して
きたのかが読めます!

第一期(黎明期) 
松本清張『声』
新聞社の女性電話交換手は、深夜に繋いだ
電話先から不審な男性の声を聞いた。
耳朶に残る、不審な男の声・・・。

藤原審爾『放火』
ある社長の建築中の家が放火された。
若い巡査は初めての放火事件で張り切るが、
聞き込みをしてゆくと意外な事実が浮かび
上がる。

結城昌治『夜が崩れた』
暴力団と関わりのあった兄を持つ
刑事の婚約者。その兄が強盗殺人
事件を起こした。刑事は単独で事件を
追うが・・・。

黎明期の警察小説の面白さは、刑事たちが
徹底して現場にこだわる捜査。チーム力で
捜査を行う警察小説の醍醐味を味わえる。
特に松本清張の「声」は、印象に残る
ストーリー展開。
また、小説に登場する事件も現在に
通じるところがあり、今読んでも新鮮に感じる。

第二期(発展期)
大沢在昌『老獣』
新任の警官が老婆の許を訪ねる。
彼はこの街を守れるか・・・?
不思議な世界観が印象に残った。

逢坂剛『黒い矢』
女性が夜帰宅途中、ボーガンの矢が刺さるという
事件が発生した。御茶ノ水署の斉木と
梢田は捜査に駆り出される。
犯人はすれ違った暴走族のはずだったが・・・
人気の御茶ノ水署シリーズ。

今野敏『薔薇の色』
ジャズバーの一輪挿しに活けてある薔薇の花。
いつもは赤いバラだが、時々、違う色の薔薇が
ある。その意味は?交機隊の速水が出した
問いに、安積班の須田と村雨が推理を展開する。
果たして安積班長はどう答える・・・?
安積の推理に誰もがうなる。
大好きな短編。東京湾臨海署安積班シリーズ。

発展期は、それぞれ警察小説にシリーズ化が
生まれ、そのキャラクターたちの魅力と、
事件要素、そして推理、リアルな警察捜査の
過程が描かれて面白さが増した。

第三期(覚醒期)
横山秀夫『共犯者』
銀行強盗の通報訓練のはずが、実際に
銀行強盗が起こってしまった!
「顔FACE」の平野瑞樹巡査が主人公。

月村了衛『焼相』
対テロ用に開発された歩行型軍用有人兵器を
着用した極悪犯が、児童を人質に立て籠もり
事件を起こした!
SITとSAT、攻防の行方は・・・!
近未来警察小説、「機龍警察」シリーズの短編。

誉田哲也『手紙』
女性会社員が殺害された。姫川玲子は
その捜査本部で女性警官とパートナー
を組む。姫川はこの頃から上昇志向が
強く、コンビを組んだ女性警官を出し抜いて
真相を暴くことに成功する。
女刑事・姫川玲子の若かりし頃のエピソードだ。

この頃は、多くの女性刑事が登場する。
男性社会の警察組織の中でいかに生き抜くか?
平野瑞樹のようなタイプや、姫川の
ようにタフに生き抜く強さが描かれる作品もある。
また、複雑な警察組織内部に焦点をあてた
作品が多く生まれた。「機龍警察」は特に
特捜部と刑事部との軋轢が非常にリアルに
描かれ、さらに近未来のSF的な面が見事に
融合した傑作だと感じる。

思う存分警察小説が堪能できる短編集だ!

『葛藤する刑事たち 警察小説アンソロジー』
著者:村上貴史編集
出版社:朝日新聞出版
価格:¥800(税別)

竜崎、神奈川県警刑事部長として着任!『清明 隠蔽捜査8』

待ちに待った「隠蔽捜査」シリーズ新作
「清明 隠蔽捜査8」を読みました。

大森署署長から、神奈川県警の刑事部長として
新たな局面を迎える竜崎伸也。どうなる!!?

神奈川県警刑事部長に着任した、警察官僚では
かなり変わり者ととらえられている、竜崎伸也。

着任早々、事件が起きた!
東京と神奈川の県境で、男性の死体遺棄事件が発生した。
県境ということもあり、早速伊丹に連絡する。
警視庁主導で町田署に捜査本部が設けられた。

竜崎は、伊丹にすべて任せるつもりだったが、
参事官から指摘され、結局捜査本部に顔を出すことに。

つい最近まで仕事を一緒にやってきた
警視庁の面々だったが、妙なやりにくさを感じる。

捜査本部では、事件の情報が集まりつつあった。
当初、身元不明だと思われた被害者は中国人だと判明。

神奈川県独特の問題も発生する。
横浜中華街を中心とする、中国人の組織だ。

悩ましい様相を呈してきた事件。
そんな時、竜崎の妻が交通事故を起こしたと
一報が入る。
すぐさま所轄に顔を出した竜崎だったが、
立場をわきまえろと今度は妻から指摘が!
ドライバーズスクールでの自損事故。
スクール側から壊れた塀や車の弁償をしろと言ってきた。
そこに登場したのは、神奈川を知り尽くした警察OB。
彼はドライバーズスクールの校長だった!

立ちはだかる中国の壁、そして公安の影も
ちらつく。
竜崎はどう動くのか?

原理原則の男だったはずの竜崎。
しかし、すこしずつ変わってきている。
丸くなったのかと指摘されるほど。
そうなのか?

そうではない。
竜崎は人の話をきちんと聞いた上で、
問題解決のためには何が一番重要なのか
きちんと判断する。
間違いは認める、部下を大切に思う。
正しいと思ったら、だれにも忖度しない。
言うべきことを言う。

それは、少しも変わっていない。
それが心地よい。

神奈川県警の面々…
本部長の佐藤、ものわかりの良さをアピール
している風に見えるが….。
そして、参事官の阿久津。
なんと、彼は‘警察’の原理原則で、
竜崎をやり込めた!強者!阿久津参事官!

益々面白くなる、いっき読み必至の警察小説

『清明 隠蔽捜査8』
著者:今野敏
出版社:新潮社
価格:¥1,600(税別)

お祓い師・鬼龍光一&安倍隆景と少年事件課の富野刑事が活躍!『呪護』

今野敏先生の大人気警察小説シリーズの最新刊「呪護」です。

お祓い師・鬼龍光一&安倍隆景と警視庁少年事件課の富野刑事が
常識では考えられない事件を解いてゆく、オカルト系警察小説。

シリーズも「陰陽」「憑物」「鬼龍」「豹変」(角川文庫)
番外編で「パラレル」(中公文庫)が発売されていて、
とても面白いシリーズ。

さてさて新作「呪護」も相変わらず面白い!

都内の私立高校で、傷害事件が起きた。
男子生徒が、男性教師を刺したのだ。
身柄はすぐに拘束され、男子生徒は取調を受ける。
男性教師と女子生徒が淫らな行為を行っている
ところを目撃した男子生徒は、女子生徒が襲われて
いると思い、思わず教師を刺したと言う。

警視庁少年事件課・富野刑事は、現場に居合わせた
女子生徒に事情を聞くと、男子生徒の供述とは
違う奇妙な話をした。

富野の中に違和感が生まれる…。

刺された男性教師が入院している病院へ向かう富野の前に
お祓い師の鬼龍光一と安倍隆景があらわれた。

この二人がいるということは、この事件は常識では
解決できない事件ということだ….。

富野はまたしても、ありえない事件に首を
突っ込むことに….。

このシリーズの最大の魅力は、祓い師の鬼龍と安倍の
漫才のように軽妙な会話。そしてその二人に振り回される
富野刑事というキャラ設定だ。
さらに、事件の背景が陰陽師系の裏歴史にまつわる
もので、表に出ている歴史好きにも非常に興味深く
読ませる、今野先生の博識さが際立っているところだ。

祓い師の二人曰く、富野はナガスネ彦やアビ彦のトミ氏の
末裔で、二人より位が上で、こんな事件を呼び寄せて
しまうのだという。

今回の事件も、背景には陰陽師系が絡んでいるようだ。
江戸幕府と平将門伝説の関連性、北斗七星と魔法陣、
さらに山手線の秘密など、わくわくする要素が
盛りだくさん。
そしてこの要素が事件とどう繋がってゆくのかが
最大の読みどころ。

そして今回やっと、富野刑事を理解する刑事が現れる。
この手の話に目がない、強行犯係の橘川だ。

新たなキャラも加え、規格外の面白さで迫る
オカルト系警察ミステリー!

『呪護』
著者:今野敏
出版社:KADOKAWA
価格:¥1,700(税別)

女子大生が未解決事件を捜査!第2弾『エムエス 継続捜査ゼミ2』

元警察官の教授の指導のもと、女子大生がゼミの
勉強で携わった未解決事件の真相を突き止める!
今までにない設定のミステリー「継続捜査ゼミ」に
第2弾が登場。シリーズ化されたら良いなと思って
いたのでとても嬉しい!

「刑事政策演習ゼミ」で5人の女子大生は、
「冤罪」をテーマにしようと考えた。

三宿女子大は、ここ最近何だか浮き足立っている
ような気がする。元警察官の三宿女子大で教鞭を
とっている小早川は、その原因が「ミスコン」で
あると同僚の教授から教わる。
女子大でミスコン・・・?そんなこともあるのか

そして、小早川は授業で「ミスコン」の反対運動を
推進する学生・高樹晶と出会う。
小早川と話がしたいと言った高樹は、2度ほど
研究室を訪ねてきた。ところがその直後、
高樹は何者かに襲われ、病院へと運ばれた。
それまで一緒にいた小早川は、傷害容疑で
警察へ任意同行させられる。

元警察官でも、容疑がかかれば警察は態度を
一変させる。小早川は現役時代、自分自身も
取り調べの時は、時に厳しい手段で容疑者に
自白を迫ったこともあった。
まさか、自分がそのような眼にあうとは!
しかも、自分には全く身に覚えがないのだ。

そして、その時、一般人が警察に容疑をかけられ
同行させられる恐ろしさを知る。

警察は正義の名のもとに、状況証拠だけで一方的に
責めたてる。
身に覚えのない事で、いくら「やっていない」
と言っても、その言葉は無視される。
何を言っても信じてもらえない状況、
その恐ろしさは尋常ではない。
一般人ならば、その厳しさに耐えきれず、
思わず自分がやったと言ってしまうだろう・・・。
そして、冤罪はこうして生れるのだ。

「冤罪」。小早川は身をもってそれを女子学生たちに
教えることになった。
そして、ゼミの女子学生たちは、疑われ続ける
小早川を信じ協力して事件の真相に迫ってゆく。

「警察の横暴」と「冤罪」が生まれる恐ろしさが
実にリアルに描かれていて、衝撃を受けた。
「冤罪」というテーマも重く、今の日本の司法の
あり方が問われる作品だと思った。

『エムエス 継続捜査ゼミ2』
著者:今野敏
出版社:講談社
価格:¥1,600(税別)

「機捜235」、渋い!バディもの!

2019年に入っても今野敏先生の新作が続々発売に!
ファンとしては嬉しい!

そして、警察小説最新作「機捜235」を読みました。
とても面白かったです。
(カバー表紙と中の表紙のかっこよさにも感動!)

機捜とは通称で、機動捜査隊のこと。
主に、重要事件の初動捜査を行う部署。
捜査中の不測の事態に備え、所轄の
若い刑事が配属されることが多い。

渋谷署に分駐所をおく警視庁第二機動捜査隊の
高丸は、事故で現場を離れた相棒・梅原の代理が
決まったと上司から言われ、新しい相棒から
報告を受けた。

縞長と自己紹介をした男は、白髪頭で定年間近の
ロートルだった。
なぜこんな年寄りがいまさら機捜に配属になるんだ・・・?

高丸は不安と不満を抱えながら、縞長とともに
「密行」を行うことになる。

高丸は、ベテラン刑事とどうコミュニケーションを
とっていけば良いのか悩む。
刑事としてはベテランでも、機捜では高丸が先輩なのだ。

そんなことを考えながら、渋谷の街を覆面パトで
巡回していたら、コンビニ強盗が発生したと連絡が入った。
高丸たちは現場へ急行。犯人は、店の従業員に
怪我を負わせ逃走していた。
縞長は、目撃者に話を聞いて帰してしまった。
だが、人着は縞長がしっかり聞いていた。

コンビニ強盗事件を所轄に引き継いだあとのことだった。
縞長が突然、歩行中の男に「職質をかける」と言い出した。
高丸は驚きあきれた・・・。
しかし、そのあとさらに驚くべきことが起こった!

縞長は苦労を重ね、思いがけない実力を秘めた刑事だったのだ。

若い刑事と一癖あるベテラン刑事のコンビは、年齢と経験の
壁を越え次第に意気投合してゆく。

二人がコンビとして意気投合してゆく過程が、数々の
事件を短編で紡ぎながら描かれる。
警察捜査の過程や、「密行」と呼ばれる巡回シーンなど
とても興味深い。
そして、二人が時に見せる、警察官としての矜持。
それこそが今野流警察小説の最大の魅力。
この作品でも、その思いがはじけている!

新たな警察‘バディ’小説の誕生だ!
めちゃめちゃかっこ良くて、渋い二人の今後の活躍に期待!

『機捜235』
著者:今野敏
出版社:光文社
価格:¥1,500(税別)

今野敏さんの本格的インテリジェンス小説「キンモクセイ」は緊張感が半端ない!

今野敏さん新刊「キンモクセイ」は本格インテリジェンス
警察小説ということで、ワクワクしながら読みました。

法務官僚の神谷道雄が殺された。

警察庁警備局の隼瀬は、神谷が日米合同委員会に関わって
いたことと“キンモクセイ”という謎の言葉を
残していたことを探り当てる。

そして、神谷殺害事件について専任捜査を命じられる
隼瀬だったが、警視庁は突如捜査本部を縮小、さらに
公安部も手を引くことになった。

やがて、隼瀬の協力者で後輩の岸本行雄の自殺死体が発見される!

コードネーム「キンモクセイ」をめぐる「闇」と
日米合同員会の不可解な動き、そして公安組織「ゼロ」の暗躍・・・。
一体何が起こっているのか?

隼瀬は、同僚の水木とともに事件の真相を探ろうとするが・・・・。
触れてはならない「なにか」に触れたことで追われる隼瀬。

誰を信じていいのかわからない。しかし自らの命を守るため、
何が出来るか?をつきつめ、命をかけて警察官として
正しいことを成そうとする、隼瀬の姿が胸を打つ。

隼瀬逃亡の過程は、ハラハラドキドキもので、
無事に事件が解決することだけを祈ってしまう。
また、警察官僚として隼瀬が成長し覚悟してゆく過程も素晴らしい。

緊張感MAX!手に汗握る
著者初の警察インテリジェンス小説!

『キンモクセイ』
著者:今野敏
出版社:朝日新聞出版
価格:¥1,600(税別)

ユーモアたっぷり!警視庁FCシリーズ第2弾「カットバック」

今野敏先生のちょっとユーモアが入った警察小説
「警視庁FC」シリーズ。第1弾はまんまと騙されました。
第2弾は「カットバック」。こちらも面白かったです。

警視庁FC班は、都内で映画やドラマの撮影があった
ときに召集される特命班だ。

あるとき、特命の招集がかかった。
20年続いている国民的刑事ドラマ「危険なバディー」が
映画化されることになり、その警備のためだった。

班で一番若い楠木(くすき)肇は、地域総務課に
所属する、あまりやる気が感じられない巡査だ。
(時々、ハッとするような推理で周りから驚かれる)
特命班のリーダーは、通信指令本部の管理官・長門達男。
他に、組織犯罪対策部の山岡巡査部長、交通機動隊の
白バイライダー・服部、都市交通対策課の島原静香らが
メンバーだ。

人気ドラマの映画化ということと、人気俳優の二人と
ゲストヒロインの女優が出演することで、かなりの
野次馬が出現するだろうと予測した長門は、映画
撮影の管轄署・大森署へ協力を請う。

俳優たちと特命班が大森署署長への挨拶を終え、
ロケがスタートする頃、撮影現場で本物の死体が
発見された!潜入捜査官役の俳優が脚本通りの
場所で殺害されていたのだ!

新署長率いる大森署、捜査一課も合流し捜査を始めた
警察だったが・・・。捜査の行方はどうなる!

「FC班」が大森署員と合同捜査!?
大森署と言えば、署長は竜崎か?と思いきや、
すでに異動後だった!新署長は目の覚めるような
美人キャリア。天然を装っているが・・・・
貝沼副署長以下、美人署長に翻弄されているような・・・。

さらに戸高刑事も登場し、「隠蔽捜査」シリーズファン
にはたまらない展開だ!!

「隠蔽捜査」と「FC室」のコラボレーション!
思わず笑える展開もあり!
ユーモア交えた警察小説です!

『カットバック 警視庁FCⅡ』
著者:今野敏
出版社:毎日新聞出版
価格:¥1,600

痛快任侠シリーズ最新作!今度は銭湯だ『任侠浴場』

今野敏さんの痛快任侠シリーズの最新作が発売されました!
「任侠書房」「任侠学園」「任侠病院」に続く第4弾です!
任侠道に篤い、阿岐本組の親分が今度は銭湯の立て直しに
乗り出す!!!

今時、とても任侠道に篤いヤクザの親分・阿岐本。
困った人をほっとけない上に、文化事業好きな性格で
兄弟の盃を交わした永神が持ってくるその手の話に
ついつい首を突っ込んでしまう・・・。

ある日、また永神がやってくると、代貸・日村は嫌な予感がした。
今度は赤坂の路地裏にある古びた銭湯について相談された。
今時銭湯なんて・・・。
銭湯の経営者も最初は辞めるつもりだったが、
もう一度頑張って銭湯を続けたいと言っている・・・。
経営者の心意気を買った阿岐本は、銭湯の再建に乗り出す。

これまで出版社、高校、病院などの再建に関わってきた阿岐本。
そのたびに振り回される組員たち・・・・。
組員は迷惑がっていないかと、いつも心配になる代貸・日村。
しかし親分の決意には逆らえない。
組員一丸となって、銭湯立て直しに向かうのだった。

任侠シリーズは全て読んでいるが、読み終わるといつも
爽快な気分になる。
最新作の「任侠浴場」は日本の文化の一つである街の
銭湯の生き残りをテーマにしている。
最近はインバウンドで来日する外国人によって、
日本の文化の良さを再認識させられるが、
「任侠浴場」を読んでいると、古き良き日本文化は、
やはり日本人が守っていかなくてはならないなあとひしひと感じる。
そしてそれを守ってゆくのは家族。家族の在り方も問うこの作品は、
本当に大切なものは何かということを、義理人情に篤いヤクザの親分
阿岐本が教えてくれる!!
彼の言葉が心に沁みて、胸があつくなる。
お待たせのお馴染み「任侠」シリーズ第4弾!

『任侠浴場』
著者:今野敏
出版社:中央公論新社
価格:¥1,500(税別)

松江・出雲も登場する!アクションエンターティメント「特殊防諜班」シリーズ

今野敏さんの「特殊防諜班」シリーズは、
松江・出雲が登場する、アクションエンターティメント作品。

「連続誘拐」「組織報復」「標的反撃」
「凶星降臨」「諜報潜入」「聖域炎上」
「最終特命」の7作品。

このシリーズは、紀元前10世頃、十支族に治められていたイスラエル王国が
アッシリアの侵攻によって崩壊。残された十支族は歴史から消えますが、
なんらかの伝手で、日本に渡来したのでは・・?という
「ユダヤ人渡来伝説」がバックボーンにあります。

そしてその十支族が持ち続けた「秘密」が日本の何者かに
伝承されたのではないか?
その「謎」と「秘密」をめぐり、秘密組織「新人類委員会」が
日本に闘いを仕掛けてきます。

それに立ち向かうのが、このシリーズのヒーロー・真田武男です。

主人公の真田は陸上自衛官。過酷な訓練で知られる
レンジャー部隊の実地訓練でたった一人で戦車部隊を
制圧してしまうほどの実力を持つエリートだった。

だが、孤高を貫く真田は軍ではやっかいもの扱いだった。
そんな真田に興味を抱いたのは、陸幕第二部別室・室長の
早乙女だった。
早乙女は、スパイ天国と言われる日本を他国からの間接的侵略や
テロの脅威から守るために、ある組織を立ち上げようとして
いた。それが、「特殊防諜班」だ。
早乙女は真田をスカウトし、二人だけの組織を立ち上げた。
そしてその組織は、日本の最高責任者と直結しており、
「首相の代理人」と異名をとる。

シリーズ第1弾では、宗教団体教祖の奇妙な誘拐事件を
探る真田。そこで雷光教団の東田夢妙斎と出会う。
東田夢妙斎を探るその過程で、真田はイスラエル大使館ザミルと
出会う。一方、雷光教団の教祖に危険を感じた、
出雲在住の謎の修験者・芳賀舎念は雷光教団に孫の恵理を
潜入させた!

真田・ザミル・恵理はこの事件をきっかけに運命的に
出会い、十支族の「秘密」を狙う、謎の集団との
死闘に巻き込まれていく!!

東京・出雲・松江を舞台に次々と襲い来る強敵。
しかし、真田とザミル、そして、芳賀舎念・孫の恵理は
闘いを経るごとに絆が深められてゆく!

勧善懲悪のシンプルでわかりやすいストーリーに
神秘的な歴史を織り交ぜ、読ませる作品。
さらに空手の師範である著者が描くアクションシーンは
まるで映画のようにかっこよく、息づかいまで聞こえてきそうな
臨場感!

シリーズ1作目を読むと、はまってしまう!
アクションエンターティメントの傑作。

「特殊防諜班」シリーズ全7巻
著者:今野敏
出版社:講談社(文庫)
価格:¥600~¥680(税別)

竜崎伸也意外な一面に気づく!隠蔽捜査シリーズ第7弾「棲月」

待ちに待った、「隠蔽捜査」シリーズの新刊が発売されました。
シリーズ第7弾「棲月」です。

今野先生の人気シリーズの新作が続々発売でファンは嬉しい悲鳴です。

「棲月」では、竜崎の身辺がざわつきはじめます。

その日、竜崎は息子から留学について話があると言われる。
息子の留学に気をとられながら通勤し、署内を見ると、
珍しく署員の数が少ないことに気づく。
警務課長に問うと、電車が止まっているという。
事故なのか?だがシステムがダウンしたとの事だった。
私鉄が原因不明のシステムトラブル?・・・。

竜崎は、念のため生安でサイバー事件に詳しい
署員を鉄道会社に向かわせた。
だが、弓削方面本部長からクレームが入る。
さらに、銀行でもシステムがダウンしたとの
連絡が入った!
2件連続のシステムダウン・・・。
これは偶然ではない。竜崎はサイバー事件だと直感した。

ところが今度は警視庁の生安部長から強烈な横槍が入った。
誰に対しても、原理原則を貫く竜崎は平然と横槍をかわす。
謎のシステムダウン事件は、警視庁サイバー犯罪対策課へ
引き継がれた。
そして、その夜公園で男性の遺体が発見された。

原因不明のシステムダウン、そして謎めいた殺人事件・・・。
殺害された少年の周りを探ってゆくと、奇妙な「都市伝説」に辿り着いた。

「棲月」はミステリーの色の強い警察小説となっていて、いつもよりも
謎解きが楽しめる。
さらに、竜崎の危険を察知する能力には目を瞠る。
縦割りの警察組織を原理原則でぶった斬るシーンは
何度読んでも気持ちが良い。
胸がすっとする。
仕事のストレスなどどこかへ飛んでいってしまう・・・。

しかし竜崎の身辺にも変化が訪れる・・・。
それを知った竜崎の心の変化に自分自身が驚くシーンがある。
やはり竜崎は面白い。
清らかな正義感に署員の誰もが心酔している。
そのシーンにうるっときてしまった。

次回「隠蔽捜査」シリーズの新たな局面が楽しみで仕方ない。

『棲月 隠蔽捜査7』
著者:今野敏
出版社:新潮社
価格:¥1,600(税別)