今野敏さんの本格的インテリジェンス小説「キンモクセイ」は緊張感が半端ない!

今野敏さん新刊「キンモクセイ」は本格インテリジェンス
警察小説ということで、ワクワクしながら読みました。

法務官僚の神谷道雄が殺された。

警察庁警備局の隼瀬は、神谷が日米合同委員会に関わって
いたことと“キンモクセイ”という謎の言葉を
残していたことを探り当てる。

そして、神谷殺害事件について専任捜査を命じられる
隼瀬だったが、警視庁は突如捜査本部を縮小、さらに
公安部も手を引くことになった。

やがて、隼瀬の協力者で後輩の岸本行雄の自殺死体が発見される!

コードネーム「キンモクセイ」をめぐる「闇」と
日米合同員会の不可解な動き、そして公安組織「ゼロ」の暗躍・・・。
一体何が起こっているのか?

隼瀬は、同僚の水木とともに事件の真相を探ろうとするが・・・・。
触れてはならない「なにか」に触れたことで追われる隼瀬。

誰を信じていいのかわからない。しかし自らの命を守るため、
何が出来るか?をつきつめ、命をかけて警察官として
正しいことを成そうとする、隼瀬の姿が胸を打つ。

隼瀬逃亡の過程は、ハラハラドキドキもので、
無事に事件が解決することだけを祈ってしまう。
また、警察官僚として隼瀬が成長し覚悟してゆく過程も素晴らしい。

緊張感MAX!手に汗握る
著者初の警察インテリジェンス小説!

『キンモクセイ』
著者:今野敏
出版社:朝日新聞出版
価格:¥1,600(税別)

ユーモアたっぷり!警視庁FCシリーズ第2弾「カットバック」

今野敏先生のちょっとユーモアが入った警察小説
「警視庁FC」シリーズ。第1弾はまんまと騙されました。
第2弾は「カットバック」。こちらも面白かったです。

警視庁FC班は、都内で映画やドラマの撮影があった
ときに召集される特命班だ。

あるとき、特命の招集がかかった。
20年続いている国民的刑事ドラマ「危険なバディー」が
映画化されることになり、その警備のためだった。

班で一番若い楠木(くすき)肇は、地域総務課に
所属する、あまりやる気が感じられない巡査だ。
(時々、ハッとするような推理で周りから驚かれる)
特命班のリーダーは、通信指令本部の管理官・長門達男。
他に、組織犯罪対策部の山岡巡査部長、交通機動隊の
白バイライダー・服部、都市交通対策課の島原静香らが
メンバーだ。

人気ドラマの映画化ということと、人気俳優の二人と
ゲストヒロインの女優が出演することで、かなりの
野次馬が出現するだろうと予測した長門は、映画
撮影の管轄署・大森署へ協力を請う。

俳優たちと特命班が大森署署長への挨拶を終え、
ロケがスタートする頃、撮影現場で本物の死体が
発見された!潜入捜査官役の俳優が脚本通りの
場所で殺害されていたのだ!

新署長率いる大森署、捜査一課も合流し捜査を始めた
警察だったが・・・。捜査の行方はどうなる!

「FC班」が大森署員と合同捜査!?
大森署と言えば、署長は竜崎か?と思いきや、
すでに異動後だった!新署長は目の覚めるような
美人キャリア。天然を装っているが・・・・
貝沼副署長以下、美人署長に翻弄されているような・・・。

さらに戸高刑事も登場し、「隠蔽捜査」シリーズファン
にはたまらない展開だ!!

「隠蔽捜査」と「FC室」のコラボレーション!
思わず笑える展開もあり!
ユーモア交えた警察小説です!

『カットバック 警視庁FCⅡ』
著者:今野敏
出版社:毎日新聞出版
価格:¥1,600

痛快任侠シリーズ最新作!今度は銭湯だ『任侠浴場』

今野敏さんの痛快任侠シリーズの最新作が発売されました!
「任侠書房」「任侠学園」「任侠病院」に続く第4弾です!
任侠道に篤い、阿岐本組の親分が今度は銭湯の立て直しに
乗り出す!!!

今時、とても任侠道に篤いヤクザの親分・阿岐本。
困った人をほっとけない上に、文化事業好きな性格で
兄弟の盃を交わした永神が持ってくるその手の話に
ついつい首を突っ込んでしまう・・・。

ある日、また永神がやってくると、代貸・日村は嫌な予感がした。
今度は赤坂の路地裏にある古びた銭湯について相談された。
今時銭湯なんて・・・。
銭湯の経営者も最初は辞めるつもりだったが、
もう一度頑張って銭湯を続けたいと言っている・・・。
経営者の心意気を買った阿岐本は、銭湯の再建に乗り出す。

これまで出版社、高校、病院などの再建に関わってきた阿岐本。
そのたびに振り回される組員たち・・・・。
組員は迷惑がっていないかと、いつも心配になる代貸・日村。
しかし親分の決意には逆らえない。
組員一丸となって、銭湯立て直しに向かうのだった。

任侠シリーズは全て読んでいるが、読み終わるといつも
爽快な気分になる。
最新作の「任侠浴場」は日本の文化の一つである街の
銭湯の生き残りをテーマにしている。
最近はインバウンドで来日する外国人によって、
日本の文化の良さを再認識させられるが、
「任侠浴場」を読んでいると、古き良き日本文化は、
やはり日本人が守っていかなくてはならないなあとひしひと感じる。
そしてそれを守ってゆくのは家族。家族の在り方も問うこの作品は、
本当に大切なものは何かということを、義理人情に篤いヤクザの親分
阿岐本が教えてくれる!!
彼の言葉が心に沁みて、胸があつくなる。
お待たせのお馴染み「任侠」シリーズ第4弾!

『任侠浴場』
著者:今野敏
出版社:中央公論新社
価格:¥1,500(税別)

松江・出雲も登場する!アクションエンターティメント「特殊防諜班」シリーズ

今野敏さんの「特殊防諜班」シリーズは、
松江・出雲が登場する、アクションエンターティメント作品。

「連続誘拐」「組織報復」「標的反撃」
「凶星降臨」「諜報潜入」「聖域炎上」
「最終特命」の7作品。

このシリーズは、紀元前10世頃、十支族に治められていたイスラエル王国が
アッシリアの侵攻によって崩壊。残された十支族は歴史から消えますが、
なんらかの伝手で、日本に渡来したのでは・・?という
「ユダヤ人渡来伝説」がバックボーンにあります。

そしてその十支族が持ち続けた「秘密」が日本の何者かに
伝承されたのではないか?
その「謎」と「秘密」をめぐり、秘密組織「新人類委員会」が
日本に闘いを仕掛けてきます。

それに立ち向かうのが、このシリーズのヒーロー・真田武男です。

主人公の真田は陸上自衛官。過酷な訓練で知られる
レンジャー部隊の実地訓練でたった一人で戦車部隊を
制圧してしまうほどの実力を持つエリートだった。

だが、孤高を貫く真田は軍ではやっかいもの扱いだった。
そんな真田に興味を抱いたのは、陸幕第二部別室・室長の
早乙女だった。
早乙女は、スパイ天国と言われる日本を他国からの間接的侵略や
テロの脅威から守るために、ある組織を立ち上げようとして
いた。それが、「特殊防諜班」だ。
早乙女は真田をスカウトし、二人だけの組織を立ち上げた。
そしてその組織は、日本の最高責任者と直結しており、
「首相の代理人」と異名をとる。

シリーズ第1弾では、宗教団体教祖の奇妙な誘拐事件を
探る真田。そこで雷光教団の東田夢妙斎と出会う。
東田夢妙斎を探るその過程で、真田はイスラエル大使館ザミルと
出会う。一方、雷光教団の教祖に危険を感じた、
出雲在住の謎の修験者・芳賀舎念は雷光教団に孫の恵理を
潜入させた!

真田・ザミル・恵理はこの事件をきっかけに運命的に
出会い、十支族の「秘密」を狙う、謎の集団との
死闘に巻き込まれていく!!

東京・出雲・松江を舞台に次々と襲い来る強敵。
しかし、真田とザミル、そして、芳賀舎念・孫の恵理は
闘いを経るごとに絆が深められてゆく!

勧善懲悪のシンプルでわかりやすいストーリーに
神秘的な歴史を織り交ぜ、読ませる作品。
さらに空手の師範である著者が描くアクションシーンは
まるで映画のようにかっこよく、息づかいまで聞こえてきそうな
臨場感!

シリーズ1作目を読むと、はまってしまう!
アクションエンターティメントの傑作。

「特殊防諜班」シリーズ全7巻
著者:今野敏
出版社:講談社(文庫)
価格:¥600~¥680(税別)

竜崎伸也意外な一面に気づく!隠蔽捜査シリーズ第7弾「棲月」

待ちに待った、「隠蔽捜査」シリーズの新刊が発売されました。
シリーズ第7弾「棲月」です。

今野先生の人気シリーズの新作が続々発売でファンは嬉しい悲鳴です。

「棲月」では、竜崎の身辺がざわつきはじめます。

その日、竜崎は息子から留学について話があると言われる。
息子の留学に気をとられながら通勤し、署内を見ると、
珍しく署員の数が少ないことに気づく。
警務課長に問うと、電車が止まっているという。
事故なのか?だがシステムがダウンしたとの事だった。
私鉄が原因不明のシステムトラブル?・・・。

竜崎は、念のため生安でサイバー事件に詳しい
署員を鉄道会社に向かわせた。
だが、弓削方面本部長からクレームが入る。
さらに、銀行でもシステムがダウンしたとの
連絡が入った!
2件連続のシステムダウン・・・。
これは偶然ではない。竜崎はサイバー事件だと直感した。

ところが今度は警視庁の生安部長から強烈な横槍が入った。
誰に対しても、原理原則を貫く竜崎は平然と横槍をかわす。
謎のシステムダウン事件は、警視庁サイバー犯罪対策課へ
引き継がれた。
そして、その夜公園で男性の遺体が発見された。

原因不明のシステムダウン、そして謎めいた殺人事件・・・。
殺害された少年の周りを探ってゆくと、奇妙な「都市伝説」に辿り着いた。

「棲月」はミステリーの色の強い警察小説となっていて、いつもよりも
謎解きが楽しめる。
さらに、竜崎の危険を察知する能力には目を瞠る。
縦割りの警察組織を原理原則でぶった斬るシーンは
何度読んでも気持ちが良い。
胸がすっとする。
仕事のストレスなどどこかへ飛んでいってしまう・・・。

しかし竜崎の身辺にも変化が訪れる・・・。
それを知った竜崎の心の変化に自分自身が驚くシーンがある。
やはり竜崎は面白い。
清らかな正義感に署員の誰もが心酔している。
そのシーンにうるっときてしまった。

次回「隠蔽捜査」シリーズの新たな局面が楽しみで仕方ない。

『棲月 隠蔽捜査7』
著者:今野敏
出版社:新潮社
価格:¥1,600(税別)

安積班の原点!東京湾臨海署安積班シリーズ最新作「道標」

2018年最初に読んだ作品は、今野敏先生の
東京湾臨海署安積班シリーズ最新作です。
タイトルは「道標」。今回は短編集です。

若き安積剛志の姿が初々しく描かれています。

安積班シリーズはこの最新作で17作目になる。
この作品で初めて安積剛志刑事が、なぜ誰からも信頼を置かれる
刑事に成長したのかが描かれていて新鮮だ。

安積は、刑事になりたくて警察官になった。
明確な目標のもと刑事を目指す安積の教場時代、
交通機動隊隊長の速水と同期で、教場時代の二人の出会い、
柔道の試合でのエピソードが素晴らしい。

卒配で中央署地域課に配属になった安積は、俗にいう
お巡りさんとして地域を巡回し小さな揉め事を
処理してゆく過程で一人の青年と出会う。
その青年との触れ合いに安積の誠実さと優しさが
あふれている。刑事を切実に希望する安積に
上司が仕掛けた「罠」を見事にかわした安積の心意気が
かっこ良すぎる!

安積が刑事になって初めての大きな事件は、強盗犯の
潜伏先へのウチコミ(家宅捜索)だった。
安積は、先輩刑事・三国とコンビを組むことになるが、
三国は安積の異動について少し斜に構えていた。
その理由を安積に聞かれとまどった。
しかし、安積のまっすぐさと屈託ない態度に
三国は安積を見直すようになる・・・。

この3編は、安積が刑事時代、先輩や周りの人たちから教えられた
ことを吸収し、一人前の刑事に成長してゆく過程が描かれている。
しかし、それだけではなく、安積の清らかさは、
先輩刑事の心を動かし、周囲を変えてゆく力を持っている。

やがて班長として班をまとめてゆく安積だが、
常にこれで良いのかと問う。
仲間たちは、そんな安積とともに仕事ができる
ことを嬉しく思っている。

そして鑑識の石倉係長が、安積班から依頼された調査を
真っ先に行うその理由もこの短編集で明かしている。

まさに、心に熱い刑事魂を持つ安積刑事の出来るまでが
様々なエピソードで描かれ、ファンにはたまらない1冊。

新しい年の初めに気持ちが晴れ晴れする作品を読んだ!
今年は良いことがあるかも!

『東京湾臨海署安積班 道標』
著者:今野敏
出版社:角川春樹事務所
価格:¥1,600(税別)

警視庁強行犯係・樋口顕シリーズ最新作「回帰」

今野敏先生の人気警察小説シリーズ
「警視庁強行犯係・樋口顕」シリーズの最新作
「回帰」を読みました。
このシリーズは、「隠蔽捜査」(新潮社)「東京湾臨海署・安積班」
(角川春樹事務所)「警視庁捜査一課・碓氷弘一」(中央公論新社)
シリーズと並ぶ、今野作品、警察小説シリーズベスト4の中の1作です。

どのシリーズにも癖のある刑事が登場します。
(一番のクセモノは「隠蔽捜査」の竜崎ですが・・・。)
このシリーズの主人公・樋口顕は「熱い情熱を秘めた静かなる男」
と言ったイメージで、はまさきは安積警部補の次に好きな人物です。

今回は、テロリストが絡んでくる爆破事件。
四谷にある大学の近くで、自動車の爆発事故が起こった!
警視庁強行犯係の樋口は早速現場へ急行した。
大学関係者2名が死亡、多くの怪我人が出た爆発事故は、
調査の結果、「爆弾」によるものだと判明する。

宗教テロが疑われる中、現場近くで中東系の若い男がいた
との目撃情報が出た。
その男は現場近くの大学の学生のようだった。
樋口たちはさらに情報収集に動き出すが、上司である
天童管理官から、かつての部下で今は国際テロ組織に
入ったと噂される、因幡から連絡が入ったと打ち明けられる。

このタイミングでそのような噂のある男と会うと言うのは
警察官として危険ではないのか・・・?
樋口は危惧したが、因幡は「テロを防ぎたい」と
言ったという。
この爆発事件の捜査本部には、公安部も参加している。
本部としては公安に出し抜かれる前にどんな情報でも
欲しいところだ。天童と樋口は二人で因幡に会うことにした。

そして、捜査本部では、目撃された中東系の学生の
取調が行われていた。

テロの脅威を前に日本の警察はどう動くのか?
テロを防げるのか?
目撃された中東系の学生を拘留し捜査官たちは先走る。
これ以上犠牲者を出したくない思いはわかる。
しかし証拠もはっきりとしない現状で、この学生が
テロの一員なのか・・・?断定して良いのか?
迷う刑事たちの前で、樋口は警察官として決断を下す。
その姿勢に胸が震えます・・・。

事件の様相は、目撃者の証言でさらに混迷を極める・・・。

練りに練られた事件の展開、捜査員たちの動き、
関係者の証言から次第に真実にたどり着く過程は
何度読んでも面白い!

『回帰 警視庁強行犯係・樋口顕』
著者:今野敏
出版社:幻冬舎
価格:¥1,600(税別)

萩尾警部補シリーズ待望の第2弾「真贋」!

シリーズ第1弾「確証」は、2013年に「確証~警視庁捜査3課」
というタイトルでドラマ化され、大ヒット!!

それからほんとに待ちました!!!
第2弾「真贋」も面白かったです!!!

警視庁捜査三課で窃盗事件を担当する、萩尾秀一警部補は、
盗犯捜査のベテランだ。そんな彼の相棒は女性刑事・武田秋穂だ。
まだ若いが、萩尾から盗犯捜査のイロハを吸収しようと必死だ。
今や、萩尾の‘頼れる’相棒となっている。

目黒区内で窃盗事件が発生したと無線が入った。
目黒署の管轄だが、萩尾は秋穂ともに現場へ向かった。
萩尾は窃盗の手口をみて、「獲物がある場所だけを狙う」
‘ダケ松’の仕業と見抜いた。

ダケ松は職質をかけられときとっさに逃げ出したらしい。
萩尾は、逮捕されたダケ松に話を聞きに行った。
ダケ松の態度を視て萩尾は、その供述に疑問を持つ。
どうやらダケ松には弟子がいるらしい・・・。
その疑念をそらすように、ダケ松は大物故買屋の名前を明かした。

同じ頃、渋谷のデパートで、陶磁器展が開催されるとの
連絡が入った。そこには国宝の「庸変天目」が一緒に
展示されるらしい・・・。
萩尾はダケ松の話から、大物故買屋がその陶磁器展に
絡んでくるのではないかと睨む・・・。

国宝が展示される陶磁器展に民間警備、萩尾達捜査3課。
さらに、警視庁捜査二課第2係(詐欺・背任・横領の捜査専門)の
捜査員・舎人刑事まで加わり陶磁器展の行方を見守るが、
そこで大事件が勃発する。

「国宝」の真贋に二転三転する捜査。
果たして真犯人は?そしてその手口とは?

盗みの職人VS盗犯捜査の職人!
職人同士のかけひきが見もの!
そして、秋穂の成長に目を見張る。
自信をつけた秋穂が、先輩の舎人刑事を
呼び捨てにするところはとても面白いです。

『真贋』
著者:今野敏
出版社:双葉社
価格:¥1,600(税別)

女子大生が未解決事件を捜査!?「継続捜査ゼミ」

次々と新作が発売になる、今野敏先生。
ファンとしては嬉しい限りです!!

しかも警察小説に限らず、警察小説ものに近い
変化球の作品がとにかく面白い!

最近読んだ中では「サーベル警視庁」が面白かったのですが、
今回の作品は、女子大生がゼミの勉強で携わった未解決事件の
真相を突き止める!今までにない設定のミステリー「継続捜査ゼミ」。
とても面白かったです。
登場したゼミの生徒たちがとても魅力的だったので、ファンとしては
ぜひぜひシリーズ化してほしい作品です。

元刑事で警察学校の校長職を最後に退官し、
女子大のゼミの講師になった、小早川。
そのゼミの名称は「刑事政策演習ゼミ」。

受講生は5人の女子大生。それぞれに個性的な女子たちだ。
小早川は、目黒署の組織犯罪対策課刑事総務課係の安斎刑事に
未解決事件の資料の依頼をしていた。
ゼミで勉強するにしても、やはり実際の資料から学びとるのが
一番だろうと考えていた。
そして、未解決事件の一つ、「老夫婦殺害事件」を取上げた。
当時の捜査資料を元に、それぞれが意見を交わす。
小早川は、様々な指摘をしながら講義を進めてゆくが、
やがて、彼女たちの指摘の鋭さに、彼女たちならこの未解決事件の
真相に辿りつけるかも知れない・・・と思い始めた。

当時の捜査官たちが気づかなかった点、見逃していた点、
疑問に思った点を洗い出してゆくと、新たな事件の様相が見えてきた・・・。
そして、ゼミの時間内に切がつかないと、大学近くのレストランで食事を
しながら話し出す。

そんな頃、運動部系の更衣室から、運動シューズの片方だけが
無くなるという事件が多発。
さらに、小早川と親しくなった、別のゼミの教授から身に覚えのない
写真が送られてきたと相談を持ちかけられた・・・。

学内で起こる身近な事件を、ゼミの女子大生たちと共に解決しつつ、
未解決の殺人事件も捜査してゆく。しかも大学の授業でだ。

今までの警察小説には無い、斬新な設定に興奮しつつ、
なぜ犯人はつかまらなかったのか?
何が原因だったのかをつきつめてゆく。
その過程がとても面白かった。

シリーズ化期待!!

『継続捜査ゼミ』
著者:今野敏
出版社:講談社
価格:¥1,600(税別)

警察の草創期の捜査を描く!「サーベル警視庁」

今野敏先生の最新刊は、明治時代の警察を描いた作品。
「サーベル警視庁」です。

時は明治38年、日露戦争まっただ中。
警視庁内でもその話で持ちきりだ。

そんな時、不忍池で変死体があがったと連絡が入った。
警視庁第一部第一課の面々たちは、早速不忍池に向かった。

警視庁第一部第一課は、鳥居部長、(幕末の怪物・鳥居耀蔵の縁者らしい・・)
を筆頭に、仙台出身の葦名警部、服部課長以下、岡崎上位巡査、柔術の猛者・久坂、
剣術の達人・岩井、私服刑事(でか)・荒井巡査という面々。

不忍池で発見された変死体は、帝国大学の教授らしい。
第一発見者は富山の薬売りだという。
岡崎たちは、その薬売りから事情を聞こうと、所轄の本郷警察署
に向かう。しかしはすでに放免された後だった。
そんなに簡単に放免しても良いのか?多少違和感を感じる岡崎たち。
殺害された、帝国大学講師は高島と言った。高島は急進派で日本古来の
文化を排斥し、諸外国にならうべきだと強く発言していた。
同じ日、陸軍大佐も高島と同じような手口で殺害されたとの知らせが入った!!

明治時代の警察署が現代の警察の基礎になりつつある感じだ。

維新の立役者は、薩摩・長州、その出身者が明治政治を牛耳っている。
そういう影響が色濃く残り、様々なところで取沙汰されている様子が
非常によくわかる。
警察内の権力バランスもやはりそうだ。
また、この時代では、維新とは言わず、瓦解と言う言葉を使って
江戸と明治の境目を語っていたようだ。
幕末から明治維新後の様子を市井の側から語れているのは
とても新鮮に映った。

興味深かったのは、伯爵の孫で探偵の西小路や、一般市民を
警察の協力者として捜査に加わっているところがとても
面白いと思った。

特に実在の人物を架空の人物に絡ませ捜査をすすめる
過程に感激した。
明治時代に活躍した人たちの名前が数多く登場する。
知っている人物の名前が捜査上であがってくると
思わずニヤけてしまった。

明治時代の警察小説ではあるけれど、とても新鮮に感じた。
今野節はここでも炸裂しています!!

『サーベル警視庁』
著者:今野敏
出版社:角川春樹事務所
価格:¥1,600(税別)