女性刑事が見た人間の「心の闇」!「貌のない貌 梓凪子の捜査報告書」

「虚の聖域 梓凪子の調査報告書」で
ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞。
著者である松嶋智左さんは、元警察官にして
日本初の女性白バイ隊員という経歴の持ち主。
凄くかっこいいです!

その内容は、
ある事件を起こし、警察を辞めた梓凪子。
犬猿の仲である姉から依頼された、甥の
自殺事件の真相を追うと言う物語だった。
新人さんとは思えないストーリー展開、
人間描写の巧さに唸った。

そして第2弾は、梓凪子が刑事として登場。

刑事課強行・盗犯係所属となった、梓凪子。
先輩刑事にしごかれる日々。

ある日、凪子に人物捜索の案件が回ってきた。
それ私の仕事か?と内心思った。
依頼主は、若い中国人女性の宋鈴玉。
日本へ旅行に出掛けた両親と連絡がとれなくなり
中国領事館を通して、捜索の依頼をしてきたのだ。

凪子は、鈴玉と共に彼女の両親の足取りを追う。
だが、彼女らに同行している、中国領事館の
王天佑の動きが怪しい。
凪子は彼に疑惑の眼を向ける。

同じ頃、謎の連続殺人事件が発生し、凪子も捜査に
駆り出された。行方不明者の捜索と事件の捜査。
さらに、その事件で刑事課と警備課の主導権争い
にも巻き込まれてしまう。

やがて、捜査はある局面を迎える・・・
そこから見えてきたものは、日本社会が抱える暗部、
そして、人間の深い闇だった。

元警察官ということもあり、捜査の過程や
警察内部の軋轢など、非常にリアル。
また、国交問題、民泊、シェアハウスなど
今最も注目されているニュースを事件に
絡めて描いているところが、興味深い。

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『貌のない貌 梓凪子の捜査報告書』
著者:松嶋智左
出版社:講談社
価格:¥1,800(税別)